42/60カミーノのアルベルゲの理不尽!西洋人東洋人…。
5/27(木)→オスピタル・デ・コンデサ ヨガレッスン 5.5km/€30 公営 少人数@5×3
朝、オレンジをナイフでむいて食べました。
ナイフの使い方が上手になりました。
アラン先生が、言いました。
「出発が遅れても構わないのなら、ヨガのレッスンをしてあげるよ。」
わあ、やってみたい~!
アルベルゲの軒下のコンクリートに使い捨ての紙シーツを広げました。
その上に座りました。
デイリーヨガ
1)ストレッチ、寝っころがって身体を伸ばす。
2)膝を交互に曲げるストレッチ、手で押さえる。
3)寝たまま胸呼吸3段階、浅い、中、深い。
4)両足を左右にひねる腰のストレッチ。
5)あぐらで座り腹式呼吸、浅い、中、深い。
6)座って腰と腕をねじるストレッチ。
7)背中をまるめたキャット姿勢。
8)背中を反ったドッグ姿勢。
9)身体を逆さまにするストレッチ、キャンドル。
10)伸びてお辞儀して片足ついて寝る動作。
11)寝ころがってストレッチ。
ハイ、膝を胸に引き寄せて~。
ハイ、キャンドル。ろうそくのように身体を立てて~。
アラン先生は、私たちのへなちょこぶりを正してくれました。
これらをするのに、だいたい10分間を要しました。
あ〜、すっきりした!
アラン先生はフランスでも毎日、そしてこの巡礼暮らしの中でも、場所を見つけては、このヨガプログラムをやり続けているのでした。
ゴムパチンコ・ハッピー
Denはセブレイロの売店で手に入れた、木の枝のゴムパチンコが、嬉しくてうれしくて、たまりません。
いつでも使えるようにと、バックパックにぶら下げながら歩きました。
向こうの畑や、山の下に向かい、パチーン、パチーンと石を飛ばしながら歩きました。
こういうことって、なかなか日本では出来ないことです。 そもそも、ゴムのパチンコなんて近頃じゃ、売っていないね。危ないからダメ!って言われちゃうものね。
パチンコ片手に持ってワクワク。
パチーン★ピョーン!!
歴史民族学者 アラン先生の授業
今日はアラン先生も一緒に歩きました。
セブレイロ峠は霧がかかり、肌寒く雨が降りそうでした。
アラン先生は、歴史民俗学者でした。草や建物、歴史、なんでも詳しく、またフランス語、英語、スペイン語、ロシア語ができるという博学ぶりでした。
山道の非常食
アラン先生は、ゼンマイの丸まったところを、摘んで食べてみせました。アラン先生がするように真似してそのままパクッと食べてみました。
うん?ナッツみたいなコクがある。苦くないのね。
「そう、アーモンドの味がするでしょう。」とアラン先生は言いました。
うん、そう言われてみればそうかも!
「山道で食料が無くなった時、覚えておくといいよ。」と言いました。
石垣が両側にある道
石垣が両側にある道が増えてきました。アラン先生は言いました。
「ここは羊や牛を飼っている村だよ。特に羊は横に草があると道草したり脱走しちゃうからね、石垣の道を作って移動させるんだよ。」
西の探し方
木が壁のように切り立っているところが見えると
「この辺りは西から強い風が吹くんだよ。西風を防ぐために、西向きに防風林があるんだよ。サンチャゴは西にあるから、迷ったら防風林の向きをみて歩けば、西に向かうことができるよ。」ということでした。
馬の巡礼者
後ろから、かっぽかっぽと音がしてきました。
「ブエン・カミーノ」と挨拶を交わしました。
ブエン・カミーノ!
颯爽と通り過ぎていきました。
アラン先生が言いました。
「馬で巡礼する人は、相当のお金持ちだよ。馬の行く場所、行く場所にトラックが合わせて停まり、巡礼者の荷物と馬の餌を、連日運んでいるのだよ。」と言いました。
なるほど!なんか貴族っぽい雰囲気はそれね~。
巨大ヤコブ像
曇り空の下、お山にお花がいっぱい。
それらの花は、近付いてみるとこんな感じです。
巨大ヤコブ像が現れました。
サンチャゴはどっちだ~?
あっちだよ~!
元気なニワトリたちは知ったこっちゃありません。
ココ、ケッコー!
トイレを探してどこまでも…
休憩にしました。そのタイミングで
わたし、トイレいってくるね。
ところが、少し戻るつもりが、意外とベストプレイスが見つかりません。
あれー、だめね。あー、ここもいまいち…。
ここならバッチリ!
という木の陰を見つけると、人は考えることは同じ。
やはり、形跡がいくつも残っていたのでした…。
ママ、遅いよ~!!
ごめ~ん!
男子ならどこでもよさそうですが
女子はそういう訳にはいかないのよ~!
お腹が痛いDen
パチンコをぶんぶん振り回し歩いて、調子のいいスタートだったのですが
Denは体調が今ひとつでした。
お腹がイタイ~
もう、大丈夫。痛いの治まった。
工事現場を通りました。
ちょっと止まりたい。お腹痛い…。
もう大丈夫…。
Denはときどき、お腹がシクシクと痛むようでした。
「ここに座って休もう。」天気も今一つでした。
Denは、歩くのが遅くなっていました。
古い石の教会を通りました。
今日はセブレイロから5.5㎞歩いたところのアルベルゲで休むことにしました。
アルベルゲ開き待ちは定員ピッタリ!
そのアルベルゲは「寄付」と町と宿のプリントには書いてありました。
私たちが着いたのはam 11:45でした。
お昼前だというのに、もう巡礼者が並んでいました。
定員は22人ですが、うち1人分は身体の不自由な人のためでした。
私たちでぴったり21人でした。
何人かの巡礼者が、後ろに並ぼうとやって来ました。
すると、その度にみんなで「もう、いっぱいだよ〜!」と声を上げるようでした。
それで、後から来た人にわかるようにとアラン先生は、紙とペンを取り出し、張り紙を作りました。
フランス語、英語、スペイン語で書きました。
日本語でも書くようにと、ペンを渡されました。
並んでいる人はみんな西洋人でした。
『私たちで21人です。ゴメンナサイ!』
日本語の字の形が不思議に見えるようで、並んでいる人たちは、順番にその張り紙を眺めに来ました。
それを貼ってから、4人ほどアルベルゲに立ち寄り、張り紙を見て
「アァー…。」とため息をつき、次の町へと向かっていきました。
2時間以上待ち、アルベルゲが開く
14時、オスピタレラのおばちゃんが来ました。
私たちみんなは、2時間以上待ちました。
アルベルゲの玄関が開きました。
クレデンシャルにスタンプを押してもらい、黒い帳簿に名前を書き、紙シーツを受け取りました。
寄付だと思っていたら、1人€5(ユーロ)でした。
まあ、いいね。今日はDenの調子が良くないから横になって休めればそれでOKね!
先にアルベルゲの中へ、アラン先生が入って行きました。
次に私たちの番になりました。
するとおばちゃんは、首を振りました。
どうも、スペイン語で
「あんたたちは泊められない。」と言っているようでした。
え〜っ?なぜ?ぴったり21人のはず、だからベッドはあるのに⁈
すでにおばちゃんの目線は、私たちの後ろにありました。玄関が開いてみんなが入った時
いつの間にか最後尾に、西洋人のおじさん二人が並んでいたのでした。
おばちゃんは私たちを断り、後から来たその人たちを泊めようとしていました。
えっ!私たち、ずっと並んでたのに⁉
私たちは2時間以上並んで待っていました。
しかも、今日はDenの体調が悪いのです。
プリーズ!おばさん、お願い!泊めてください!
「どうか、お願いします!」と身振り手振りで必死に訴えました。
「ダメダメ!」
おばちゃんの目線は私たちを突き抜け、後ろの2人のクレデンシャルを受け取ろうと手を伸ばしました。おじさんたちも私たちの前に進みました。
えっ~、ずっと待っていたんだよ!
私は、前に出た二人のおじさんたちの横に張り付いて、制しながら
「Long time waiting!」と言ってみました。
ロング・タイム ・ウェイティングッ!
おばちゃんの態度は頑なでした。どうも、英語は通じないようでした。
「だめだめ!」それは、スペイン語でもわかりました。
ええっ、本当にダメなの?
そんなの理不尽だっ!
「遅いね、どしたの?」とアラン先生が戻ってきました。
すぐに様子を見てとり、私に代わっておばちゃんに話してくれました。アラン先生は、英語で話しましたが、やはりまるで伝わりませんでした。
アラン先生は、スペイン語で話し直しました。
するとすぐに激しい口論となりました。
おばちゃんは、私たちを泊められない理由をいいました。
「5 kmしか歩いていないからダメ!」ということでした。それは、クレデンシャルに押された直前のアルベルゲのスタンプで分かるようでした。
すると、アラン先生は
烈火の如く怒りました。
「私だって同じ所から来たんだ。5㎞しか歩いていないだろう、私は泊まって良くて、なぜこの子たちはダメなんだ?」と言うと黒い帳簿を
バンッ!
と叩きました。
「子どもが体調が悪くて、腹痛をおさえてここまで歩いてきたというのに。2時間以上も並んでいたというのに。後ろの人に譲る理由がどこにあるっ?」
と怒鳴りました。
おばちゃんはアラン先生をニラみつけると、苦虫をつぶすような表情で、私たちに最後のベッドチケットを渡しました。
よかった~!
ありがとう、アラン先生!
後ろに並んでいた二人のおじさんは、手のひらを小さくひろげるゼスチャーをして、アルベルゲを後にしました。
スプーン1つ無いキッチン
2Fの部屋へ、荷物ともらった紙シーツを持って上がりました。
シャワーを浴びてさっぱりしました。なかなか良いシャワーでした。熱いお湯が出てリフレッシュ!
昼寝するね。
DenだけでなくChaiも横になりたがっていました。昨日のセブレイロ峠までの歩きは雨の中だったので、疲れがかなり残っているようでした。二人は寝袋に潜り込みました。
私はキッチンを見に行きました。すると、最新式のコンロが付いた素晴らしいキッチンがありました。
わお!食材を使える!荷物を軽くできる~!
キッチンの収納引き出しを開けました。驚いたことに、何も無い!鍋ひとつ、スプーン1つ無いのでした。
これじゃ、料理はできないじゃない…。
と独り言を呟いているところへ、アラン先生が来ました。
「さっきは、怒りが静まらなくってごめんなさい、皆んなを驚かせちゃったね。
差別に本当に腹が立ったのだ。
しかし私は、どんなに怒っても15分で気持ちを整えるようにしようと決めているんだ。
1時間も怒っていたら今日という日に申し訳ない。一日の起きている時間が18時間だとしたら、18分の1の時間をむだにしてしまう訳だからね。と言いました。
昨日の雨で、ChaiもDenも疲れていたから本当に助かりました。ありがとう!
アラン先生が居なかったら、私たちはこの先のアルベルゲまで歩かなければなりません。もしそこも満員だったらその先まで…。いつもなら、仕方がないと頑張れるのですが、今日のこのDenの体調では厳しいものがありました。本当に救われました。
そして、あまり考えたくはないのですが、今日のこの事件は、私たちが東洋人だからなんだろうか…。
ChaiとDenには、このことについて、あえて言及しませんでした。この先、行動が委縮してはイヤだな、と思ったからです。
そして、たまたま一人のおばちゃんの態度で、スペインの印象が悪くなるのもイヤだな、と思ったからでした。
それから、アラン先生はキッチン引き出しや棚を確認すると、何か考えたように外へ行ってしまいました。
村の探索
17時半ごろ、Den が起きてきました。
腹痛がおさまったDenを連れ、近くを散策に行くことにしました。
この村は、家が15軒ぐらいしかありませんでした。
小さな教会の前で写真を撮っていると、
うわあ!あふれんばかりの牛の群れ!
道路狭しと押し寄せてくるのでした。
うひゃひゃー!、牛に轢かれる~。
向こうから来た車もバックして路地に入り、牛の道行きを妨げないようにしていました。 のどかだね~。
こんな牛の行列は、日本ではあり得ないないだろうナ…。
危ないとか、ウンチが落ちて臭いとか、不衛生だとか…。 だいいち、車が待っていられないよね。牛が通り抜けるまで…。
小さな女の子がこっちを見ていました。
あら、また別の牛の群れ。お家に帰る時間なんだね。今18時でした。
この村には食料品店が無いことが分かり、アルベルゲに戻ることにしました。
昨日のセブレイロで調達した食料で、何とかしようね。
鍋と調達!
私たちがアルベルゲに戻ると
なんと、アラン先生が片手に鍋を持っているではないですか! それ、どうしたの?
「近所の民家にお願いして借りてきたのだよ。」と言いました。
そして、このアルベルゲに調理用品が全くないことには理由があるということを突き止めてきました。
アラン先生が鍋を借りながら、ご近所から仕入れてきた情報によると…
さっきのおばちゃんの妹家族が、この数件先でバルをやっているのだそうです。ここに、キッチン用具があると、自炊してしまい、バルに来るお客がいなくなってしまうから、すべて取り払って料理を作らせないようにしているのだというのです。
そして、アラン先生は言いました。
「この村は若い人がみんな街に出てしまって、高齢な人たちで切り盛りしているから、古い考えの人もまだまだ多くいるのだよ。」古い考えとは、肌の色や国の違いで態度を変えるという事でした。
Chaiも聞いていました。 すご~い!、村の事情をそこまで突き止めたとは、、、。
サバイバルな食卓
食材をキッチンに持っていきました。
借りてきた鍋でパスタを茹でました。
トマトソース、にんにく、タコとツナの缶詰で
パスタが出来あがりました。
しかし、お皿がありません。
四角い缶の蓋と本体を分離したものと、ワインの紙パックを切って盛りつけました。
ワインもグラスがないので、トマトソースの瓶を洗い、それをグラスにして飲みました。
サバイバルな食卓だね! でも、すごく美味しいよ。 空き瓶グラスで飲むワインも最高!
すると、3人のスペイン人のお姉さんたちが
「鍋を貸してください~。」と声を掛けてきました。
どうぞ、どうぞ~!
彼女たちもパスタを茹で、タッパーや蓋に盛り付けて食べていました。
セブンハーフ
3人のお姉さんは夕食のあと
「一緒にトランプしましょうよ。」と誘ってくれました。
トランプゲームが始まりました。
セブンハーフと言うスペインでポピュラーなカードゲームを教わりました。
◎セブンハーフの遊び方
手持ちのカードが合計7.5に一番近い人が勝ちというゲームです。
まず、1から3までのカードと、絵札だけを用意します。他は使いません。
1から3までのカードは、その数のまま計算します。絵札は0.5として計算します。
始め、皆に2枚ずつ配ります。残りのカードを真ん中に置きます。
次からは、真ん中のカード残りから順番にカードを貰うかパスをするかを決めます。
自分で、要らなければパスします。7.5を超えるとアウト(おしまい)になってしまいます。
カードをもらうか、やめるかを自分で駆け引きをします。
みんなOKになったら、いっせいに見せ合います。
合計して7.5に一番近い人が勝ち。
役のないポーカーみたいでした。
これ、単純でおもしろいね。
Denマスターした!
私は、カードゲームをしながら、食堂のテーブルでうとうとしてきました。
今日はお開きにするね。
おやすみなさ~い。