13/60サンティアゴ巡礼カメラ忘れ事件、巡礼仲間のリスペクト!
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「中学校に行けないなら、スペインをひたすら歩く旅に出てみない?」と15歳の次女と10歳の弟を連れ、スペインのサンティアゴ巡礼(カミーノ)へ行くことにしました。初日にガイドブックを失くし、スマートフォンも使えなくなるという状況に陥り、私たちはまるで中世の巡礼者のように道にある黄色い矢印だけを頼りに歩きました。かかった日数は60日、歩いた距離は930kmでした。その後長女と夫と2回ほどカミーノの一部を歩きました。
4/28(水) →ログローニョ / イースターバーニーチョコの朝食 10km/ €29 大聖堂が素敵 公営 @€5 ×2人
朝、7時 に起きました。
すでに多くの巡礼者たちは出発していました。
ウサギチョコ、耳から食べる?足のほうから食べる?うーん、悩むな~‼
Den
Chai
朝からのんびりしてしまったため、 アルベルゲを出るのが一番最後になってしまいました。
3人が玄関のドアを出た直後、アルベルゲの鍵は閉まり 、オスピタレロは立ち去っていきました。
朝8 時 でした。
アルベルゲに忘れ物!
私たちは歩き出しました。
手のひらの影を見ながら歩くDenでした。
チョコレートパワーで元気よく歩き出したのですが…
角を2つ曲がったところで
アルベルゲの玄関のドアを叩きましたが、 誰も出てきませんでした。
そうよね…、さっきオスピタレロは行っちゃたものね。
「カメラはどこに忘れたの?」 と聞くと
Chai
ありゃりゃ〜。いま8時20分 か~。今日、アルベルゲが開くのは13時 か14時 ぐらいだね…。仕方ない、玄関の横で待っていよう…。
Kumi3
アルベルゲには、たいてい午前中は閉められていました。オープンの前にスタッフが来て掃除や準備をするのでした。
「ねずみ小僧Den」カメラ取り戻し作戦
今日のオープンまで4、5 時間 は待つことになります。
今日一日が終わってしまいそう...。
う~ん、ただ待っているだけじゃ、もったいないね…。よし!ダメもとでキッチンの窓が開いているか調べてみよう。 カメラ取り戻し作戦よ!
Kumi3
Chaiにはアルベルゲ玄関の横で、待ちながら 荷物を見ててもらうことにしました。いつスタッフが来るかわからないので、でした。
もし、スタッフが来たら、真っ先に「 カメラ忘れました!」 と食堂へ取りにいくつもりでした。
Denと私は、カメラ取り戻し作戦 に向かいました。
建物の周りを歩くと、キッチンルームの壁の下に来ました。窓の位置は2mぐらい の高さにありました。
ここは身軽な「ねずみ小僧Den」 の出番です。
私はDenを肩車 して、立ち上がりました。
「その隣の窓は?」
Denを肩車したまま移動し、隣の窓をチェックしました。
Den
窓3つほど、そんなことをしてみましたが、結果はきちんと戸締りがしてありました。
「そりゃそうよね、やっぱりね…。」
ダメ元だったのですが、残念~。
カメラ取り戻し作戦は、あえなく失敗に終わったのでした。
二人はのろのろと、玄関のChaiのところへ戻りました。
子どものホームレス?
仕方ない、おとなしく待つことにしよう。
Chaiと私は、荷物整理をしたり、 日誌を書いたりして時間を過ごしました。
今日は、天気が良いのですが空気が冷たく、敷石のコンクリートはさらに冷えていました。
Den
Denは道に寝袋を広げ、寝ることにしました。
Kumi3
確かに、この日は風が冷たく、4月とは思えない気温でした。
お掃除のおばちゃん現わる
11時頃、 お掃除のおばちゃんが現れました。
Kumi3
と言うと
おばちゃんはタタタッと中に入り
「これかしら?」
と黒いカバーに入ったカメラをぶら下げて、出てきました。
あ~、それです。それそれ!
Chai
さあ、仕切り直して出発だ〜!
古い建物を抜けていきました。
街中の教会のディスプレイ。
もう一つ、素朴な教会を後にしました。
石拾いで道草
しばらく田舎道が続きました。
歩きながら、Denが石を拾い始めました。
水晶のような半分透き通った石
平ぺったく手でポキポキ折れる石
ガラガラと穴の開いた茶色の石…。
道草のタネ はたくさんありました。
Chai
早く進みたい派のChaiが、ニラんでいました。
人は同じことを考える…
私は歩きながら、トイレスポットを探していました。
見晴らしのいい畑が続くわ。どこにもナイスなスポットがございませ~ん…。
Kumi3
このあたり、木の陰がチラホラあるじゃない?ふむふむ~。
田舎道をずっと行くと、長い間バルも公園も見当たらないのでした。トイレの近い私は、 歩きながらもプライベートスポットのチェックは常に怠らないので した。
しばらく行くと気が所々、見られました。
まあ、この辺がいいね。みんな、待ってて~。ごめんね~。
Kumi3
と一声かけトイレ休憩をとりました。
その木の裏側あたりは、ちょうどいい目隠しでした。
あ、でも、 念には念を入れて、さらに奥のほうがいいかな~。
ふふふ、 私って用心深いわ〜!
と思ったものの、
もっと奥へ進むと、 あら不思議!
おんなじこと考えるんだ…、 人って。
「形跡」がそこに集中しているのでした…。
コウノトリの巣
歩いていると、鉄塔や教会の屋根に、 コウノトリの巣を発見しました。
その存在感ときたら!
Den
日本だったら、こんな大きな鳥の巣、絶対に撤去されてしまうよね。
Chai
ヨーロッパでコウノトリは、赤ん坊や幸福を運ぶ鳥 とされています。同様に、 コウノトリの巣も大事にされているのだそうです。
鉄塔の下で、ランチにしました。
パンにハムとチーズを挟み、トマトをかじりました。
カミーノは、いつでもパンがおいしい のでした。
矢印・ゴーサインの雲
途中、矢印の形をした雲 を見ました。 飛行機雲とは違うようです。
カミーノからのメッセージ。
「Go!行こうよ、大丈夫だから!」
と、応援されている気持ちになりました。
水切りで道草
田舎道がら少しづつ、家が現れてきました。
右の家は、ちょっと瓦屋根がひしゃげた感じ、暖炉の煙突がみえました。
壁のブドウの木のつるが茂って日よけになるのかしら。
Kumi3
などと思いながら通り過ぎました。
ログローニョ の看板が現れました。
カミーノの看板には、しばしば石が積んでありました。日本のお供えの気持ちと同じなのかもしれません。
橋の向こうがログローニョの街でした。
出発が出遅れていました。ログローニョの到着も遅くなっていました。
ところが...
Den
と言い出しました。
早くアルベルゲに着きたい気持ちでいっぱいなのですが…。
私たちはDenのリクエストに、つい、ノってしまった のでした。
橋を渡らず 、 左側の川岸に下りてしまいました。
3人は、それぞれ平たい石を拾い集めました。
水面スレスレに投げ、 石が飛び跳ねるさまを見て遊びました。
ピュンピュンピュンピュンピューン〜 と、5回 も石が跳ねると、 何だか嬉しくて
思わず
Kumi3
Chai
Den
ええっ!悔しいムッキー!!
それぞれが、回数を叫びながら夢中になって石を投げました。
ピュンピュンピュンピュンピュンピューン !
でも、そろそろ行かないと…
アルベルゲが満員になっちゃうよ。
心の声が忠告しました。
そうだ、そうだ、行かなきゃね! と 橋を渡り始めました。
アルベルゲ、30分遅かったらアウト!
2時半過ぎに 、ログローニョ に着きました。
公営アルベルゲにチェックインすると、3時 に着いた人はフル(満員) と言われ断られていました。
88人 も泊まれるアルベルゲだというのに…。
Kumi3
もし、満員と言われた場合、 次の街のアルベルゲまで、何キロか歩いていかないといけないのでした。
または割高の民間アルベルゲを探すか、10倍 近い費用で、 ホステル・ペンションに部屋を取る、ということになるのでした。
忘れ物、道草で出会えたタイミングの縁!
アルベルゲの入り口に、東洋人 の男の人が いました。
会釈したあと、 歩み寄り
「あの~、コリア?チャイナ?ジャパン? 」
お互いに、声を掛け合いました。
「おお〜っ、ジャパーン‼︎ 」
声がハモりました。
東洋人は、外見からではどこの国の人か見分けが付きませんでした。
人数的には KOREA の人が一番多く、ほかはChina、Japan でした。
近付いて言葉を発っし、 初めて国籍がわかるのでした。
「 わあ!子ども連れですか!」 と驚かれました。
その人は、すでにベッドを確保していて、ログローニョの街へ出掛けるところでした。
一緒にバルへ行こうという事になり、玄関のベンチで待っていてもらいました。
私たちはベッドに荷物を置き、シャワーと洗濯にとり掛かりました。
超特急でルーティンワークを終わらせ、アルベルゲの玄関へと向かいました。
「僕はTeppiです。」
「私はKumi3、こちらがChai 、そしてDenです。」
と、お互いに紹介をし合い、4人でバルに向かい歩き出しました。
外に椅子のあるバルを見つけ、座りました。
オリーブ、タマネギのピクルス、ピパス(ヒマワリの種) チップスで、大人はビール、子どもはコーラをたのみました。
Teppiは、仕事の休暇 を使いながら、 カミーノを何回かに分けて歩いていました。
考えてみれば、この時間 に、このアルベルゲ の玄関ですれ違う ことがなければ、私たちは出会うことはなかったのでした。
カメラを忘れた事件。
なんとなく水切りをしてしまった道草 。、
それらが、結果的に私たち4人が出会い、バルで乾杯することに繋がっていたのでした。
「カンパーイ!」
その偶然の縁を祝福する気持ちで、乾杯の声をあげました。
299回断られても300回目がある!
Teppiは、とても愛妻家でした。
なんとプロポーズを300回 して、結婚したのだそうです。
つまり、299回は断わられた という訳でした‼︎
けれどそれは、ただ口で300回言うのとは訳が違いました。
Teppiは
AFSという公益財団法人の高校留学プログラム に参加し、語学を徹底的に学び、その一方でスポーツに明け暮れ、大学も大学院でもアメリカに渡ってまでも勉強し続け、そしてグローバルに展開する会社で、バリバリと仕事をしこなしていました。(ちなみに、その後、Teppiに教えてもらったAFSの留学プログラムで、Denはメキシコに一年間留学をしたのでした。)
常に自分磨き を惜しまなかった結果、プロポーズが通じたのだナと感じました。
Teppiから 欲しいものは諦めるな。手にするまでとことん頑張れ! というメッセージ をもらった気がしました。
途中、ChaiとDenはアイスクリームを買いに行きました。
Teppiは、英語とドイツ語が堪能でした。バルの外テーブルに座っていると、顔見知りのいろんな国の巡礼者たちが、Teppiに声を掛けてきました。
「ハイ!Teppi!」
すると、Teppiは、 英語またはドイツ語で返し、談笑する姿を目の当たりにしました。
Teppiは、そのうちの一人と夕御飯を食べに行くよ~ と言うので、
私たちは、メルカドで買い物して自炊するよ〜 と言って別れました。
メルカドディナー
メルカドを探索しました。
肉売り場で、丸焼き用の子豚 をみて、ドキッ としました。日本では、こんなの見たことありません。
顔 が付いているのでした…。
もし、これをし買ったら、私…、料理できるかしら。多分…、出来ないわ…。
Kumi3
お肉、有り難く食べないといけないね。
私たちは、トマトパスタを作り、ソーセージを添えた夕食にしました。
デザートにイチゴ、生クリームスプレー缶 (子どもたちのお気に入りでした。)とシンプルなビスケットを買いました。 これで イチゴケーキもどきが作れるのでした。 今日のお楽しみのデザートでした‼︎
ログローニョのカテドラル
15世紀 に建てられたログローニョのカテドラルは、鐘が2つの塔に分かれていて 見事な彫刻が施されていました。
横から見ると、こんな感じでした。
街なかも、壁面に彫刻がたくさん見られました。
ログローニョのポスター。
今年は聖なる年の巡礼 ということでした。
胸像のモニュメントがありました。
巡礼者の像かしら?学生さんかしら?
そして、面白かったのが車止め でした 。
信号が赤になると、この鉄柱がせせり上がってきます。信号が青になると地面に引っ込むのでした。
Denが乗ってもビクともしません。
お別れのホタテ貝ブレスレット
その夜、街での夕食から戻ってきたTeppiは、 ChaiとDenにカミーノのシンボルのホタテ貝をモチーフにしたブレスレ ット を、プレゼントしてくれました。
ChaiもDenもとても喜んで、さっそく腕にして見せました。
Chai
一日に30km以上 を歩くTeppiは、朝ご飯も昼ご飯も、 歩きながらパンをかじっていく、超速足スタイル でした。
チュッパチャップスだ~ 、カタツムリだ~ 、
犬が可愛い~ 、水切りしたい~ と、
道草スタイル の私たち とは、ペースが全然違うのでした。
このログローニョで、私たちはお別れになるのでした。
ログローニョ夜の買い物
私たちは、ベッドに戻り寝袋に入ろうというところでした。
ChaiとDenが
Teppiに、お返しに何か差し入れをしたい。お店に見に行きたい!
Chai
そうなの?OK、まだお店やってるわよね、急いで行こう!
Kumi3
いま、夜の9時 でした。近くにお店があるのを覚えていました。
私たちは、急いで夜の買い物に出掛けました。スペインは、まだ日が暮れていませんでした。
ピパスのテリヤキ味っておいしいんだよ。 そして、ハートのでっかいチョコパイもいいよね!
Den
ねえDen、Teppiは寝てるかもしれないから、手紙を書いて付けようよ。
Chai
Den
ChaiとDenは、 お店の前の街灯の下で、持っていたノートの切れ端を破いて手紙を書きました。
ねずみ小僧Den再び!
夜10時、 アルベルゲに戻ると、部屋は真っ暗になっていました。巡礼者は早寝早起 きなのでした。
Teppiのいる部屋は、イビキに包まれていました。
今日、再び「ねずみ小僧Den」 の出番でした。
小さなライトを持ち、 足元を照らしながらTeppiのベッドまで忍び足で行きました。
たどり着くと、お菓子と手紙を枕元に置いて、素早く逃げてきました。
私とChaiは、部屋の外で待っていました。
コソコソ声 で聞きました。
ミッション無事終了 です!
自分のベッドに戻ると、ChaiもDenも
ブレスレットを腕につけたまま寝ていました。
嬉しい気持ちで眠っているのがわかりました。
私たち3人は、久しぶりに家族以外の人Teppiと
なんの 気兼ねもない日本語 で、
カミーノのこと、日本のこと、自分のことを 思う存分に話すことができました。
Teppiは、快く聞いてくれました。
そしてTeppiも、自分自身の話しをしてくれ ました。
今日、嬉しそうに眠っているのは、ブレスレットが素敵だったからだけでなくTeppiが、ChaiとDenを大人と同じように、一人の巡礼者としてリスペクトしてくれたこと、それで今までカミーノを歩いて来た自分たちの日々が、誇らしく思えたのでした。
この日を機に、暑さや疲れは、あい変わらずあるものの
自分はカミーノを歩く巡礼者だ!
という 主体性が、ChaiとDenの心に芽生えて来たのでした。