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カミーノを母子3人・60日間・930㎞を歩いた日々・旅ブログ

21/60サンティアゴ巡礼を途中で辞める日本人のノートの書き込み

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506ブルゴス柵越しにみた教会
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「中学校に行けないなら、スペインをひたすら歩く旅に出てみない?」と15歳の次女と10歳の弟を連れ、スペインのサンティアゴ巡礼(カミーノ)へ行くことにしました。初日にガイドブックを失くし、スマートフォンも使えなくなるという状況に陥り、私たちはまるで中世の巡礼者のように道にある黄色い矢印だけを頼りに歩きました。かかった日数は60日、歩いた距離は930kmでした。その後長女と夫と2回ほどカミーノの一部を歩きました。
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5/6(木)ブルゴス観光日 0㎞/€49 小さいアットホーム公営宿 寄付€3

 

ブルゴスの街には、大聖堂がありました。

オスピタレロのおじさんに

「中の展示を是非!観ていきなさい!と強く勧められました。

506ブルゴスアルベルゲホスタピレロ

おじさんは、見送りまでする念の入れ用でした。

そんなこともあり、今日は巡礼をお休みにして、ブルゴスの街を観光する事にしました。

公共のアルベルゲは、一泊しか出来ない決まりなので、昨日、道でバッタリ出会った、日本カミーノ・デ・サンティアゴ友の会のトモコさんのおススメの、小じんまりしたアルベルゲへと移動することにしました。そこが開くのは昼12時からでした。

今朝、8時半5階建てのアルベルゲをチェックアウトしてから、3時間以上、空いた時間がありました。

 

506ブルゴス出発2

外は寒く、小雨が降っていました。

 

疲れた時はチョコレート祭り

 

まず私は、お金を下ろしておかなければいけないのでした。生活資金が少なくなっていました。歩きながら、ATMを探しました。

大きな街ATMがあるはずよ。お金を下ろしておかないね。ATMは初めてだけど、うまく操作が出来るかしら…。

Kumi3

ブルゴスの街のATMは、すぐに見つかりました。

英語の説明に戸惑いながらも、なんとか500ユーロの現金を手にし、すぐさまお腹の薄いウエストバックにしまいました。

ふう~、ひと安心!

バルを見つけ、中で朝ごはんを食べることにしました。

506ブルゴス朝食バル甘いパン

甘いパンと温かい飲み物、カフェレチェ、コラカオをたのみました。

窓から外を観ると、細かい霧雨が降っていました。肌寒く、いつまでも、ここで休んでいたい気持ちなのですが…

今日、歩かないなら、絶対に公園で遊びたいよ~!

Den

と強く主張するのでした。

私とChaiは、気が進まないものの、他にすることもなく、コラカオやパンがなくなると、いつまでもバルに居るのも気が引けてきました。

私たちは霧雨の中、ブルゴスの街のなかを公園を探しに歩き出しました。

506ブルゴス親子モニュメント

モニュメントの近くに公園があるかも~。

Chai

ブルゴスの街中には、所々、このような物語があるモニュメントが点在していて、散歩が楽しくなる街でした。

しかし、Denのリクエストにお応え出来るような遊具のある公園は、見あたりませんでした。さらに霧雨の中、私たちは、背中にはバックパックも背負っているのでした。さすがに、あてどもない公園探しに疲れてきました。

外歩きは止めにして、どこか屋根の下に入りたいのでした。

それじゃあ、食べもの探索をしようよ!

Chai

私とChaiはスーパーマーケットに行きたい気持ちが満々でした。

果物、ハム、チーズ、パン、肉、魚、野菜、缶詰、お菓子、ヨーグルト…。いくらでも探索し、チェックするものがありました。スーパーマーケットは、楽しい趣味の世界でした。

Denは公園もないし、お菓子は見てしまったし、徐々に退屈モードになって来ました。表情無く、壁に立ちんぼで買い物の時間が過ぎるのを待っていました。そのうち

まだ~?まだなの~っ!

Den

終いには、目が三角になりプンスカして来ました。

あ~ハイハイ、わかってるわよ~。

Kumi3

Denが楽しめるようにと、チョコレートクリーム(ヌテラの大きな瓶と甘くないスティッククラッカーを買いました。

このヌテラというのは、ヘーゼルナッツ入りのチョコクリームでした。以前に会ったドイツ人女性の話では

「ヌテラはね、失恋した時、スプーンですくって、ひと瓶食べちゃうのよ!それで、ひどい落ち込みから救われるの!という、心の友になるぐらい美味しいチョコレートクリームなのでした。

私たちは街角のベンチに座り、ビスケットでチョコをすくって食べるチョコレート祭りを開催しました。

 

506ブルゴスヌテラチョコクリーム

ヘーゼルナッツのチョコ!うま〜い‼︎。

Den

Denはどうやら、ささくれた気持ちが治まってきました。

チョコレートってすご~い‼︎

一瞬で人をシアワセ!にするのだから。

 

小ぢんまりしたアルベルゲ

 

12時、小じんまりしたアルベルゲにチェックインしました。昨日会ったオビディオおじさんも知り合いだそうで、オススメしてくれた宿でした。

「オビディオの紹介です。」と言って一緒に写っているデジカメの写真をオスピタレロのおじさんに見せました。

するとおじさんは

「オ~!アミーゴ(友達)」と、大歓迎してくれました。

定員が20人のアルベルゲに、無事にベッドを取ることが出来ました。

ヨカッタ~!

Chai

私たちは荷物をほどき、ひと息つきました。

少しすると、昨日このアルベルゲのことを教えてあげた、巡礼仲間のリアが入って来ました。続いて、子どもたちと遊んでくれたセルジュも入って来ました。

二人とも

「ここいいね~、落ち着くね!」と気に入ってくれました。

 

ギター演奏でお昼ご飯

 

皆のチェックインの手続きが終わると、手が空いたオスピタレロは、スパニッシュギターを弾き始めました。

506ブルゴススパニッシュギターホスタピレロ

本場スペイン、素敵なメロディ!

ギターの生演奏をバックに、食べ始めました。スーパーマーケットに寄ったばかりなので、食料が豊富で、最高のランチタイムでした。

 さて、ブルゴス大聖堂に行きたいけれど、外は雨が本降りになって来ました。今日の天気は雨が降ったり止んだりでした。もう少し待ってから外に出ようと、ダイニングテーブルで、お茶を飲んだり日誌を書いて過ごしました。

なかなか雨が上がらず、アルベルゲの住人はみなさん、ヒマでした。

506ブルゴスチュッパチャプス分ける

ChaiとDenは、チュッパチャプスキャンディーを

味で分けるという重大な仕事⁉にやたらと真剣でした…。

 

似顔絵を描いてくれた

 

アルベルゲ、トサントスのディナーで素敵なギターの演奏を披露してくれたリアはドイツ人でした。そこから3日間、一緒のアルベルゲになりました。手袋をくれたり毛布をわけてくれたりと、私たちをさり気なく助けてくれました。

リアも、雨で足止めをくっていました。

506ブルゴス似顔絵2

退屈していたChaiとDenに声を掛け、似顔絵を描いてくれました。

 

506ブルゴス似顔絵

アハハ!そっくり~!

「似てる似てる~!」アルベルゲの他の人たちも、通り掛けに声を掛け、ニコニコ笑い楽しんでいました。

 

もっと英語が話せたら!

 

「Kumi3は絵を描かないの?」とリアに聞かれました。

えっ、あ、あの…、絵は描かないわ!

Kumi3

と、つい…ウソをついてしまいました。

実は、絵本を描いて上野の美術館で賞を取ったこともありました。もう10年ぐらい前のことです。

カミーノに来たら、絵が描きたくなるかな…。

と思って水彩色鉛筆を持ってきましたが、画材が重たく、使う時間も無かったので、パンプローナの街から日本へ送り返してしまったぐらいでした。

「ここ数年、絵やイラストに全く興味が持てなくて。頭にアイデアがまったく浮かばない…。何が描きたいのかわからない…。」

そんなことをリアと話してみたかったのですが

自分の英語力の低さのせいで、私は黙り込むことを選んでしまいました。

あ~、もっと英語が話せたら‼と この時、痛感したのでした。

 

ブルゴス大聖堂に入る

 

雨が上がってきました。

さあ、ブルゴスの街と大聖堂を探索に出かけよう!と外へ出ました。

506ブルゴス大聖堂2

ブルゴスの大聖堂に入りました。

 

506ブルゴスレリーフのある四角教会

正面に、細かく美しい彫刻が施されていて、早速圧倒されました。

 

506ブルゴス大聖堂エントランス

クレデンシャルを見せると、巡礼者は入場料が半額になるという事でした。

大人5ユーロの入場料が2.5ユーロ、子どもは2ユーロの半分、1ユーロで入場することが出来ました。

 

506ブルゴス大聖堂天井

高い天井、星型に透かし彫りがありました。

 

506ブルゴス展示室ヤコブ

キラキラしたヤコブ像がありました。

廊下には、いくつものカトリックの絵画が飾られていました。それはマリア像に抱かれた子どもといった幸福なものばかりではなく、血を流したリアルな戦いの絵なども、かなりの数ありました。

舌を切られる、胸をえぐり取られるシーン…など…。

うわわ、けっこう怖いね…。

Chai

 

ステンドグラスは、絵本のようなストーリー性を持って連なっていました。

506ブルゴス大聖堂ステンドグラス1.2

二人は、真剣に観ていました。

 

506ブルゴス教会の中の棺室

石柩の部屋です。教会の中は、神聖な雰囲気が漂っていました。

 

506ブルゴス展示室モニュメント黒い

ChaiとDenは、長きに及ぶ展示の数々に飽きてしまうかな、、、と思ったのですが、最後まで興味を持って観ることができました。

 

506ブルゴス柵越しにみた教会

中から見上げたブルゴス大聖堂です。

 

506ブルゴス展示室ミニチュア大聖堂

模型で、ブルゴス大聖堂の全貌がわかりました。

大きいね。一番下から数えると7階建てぐらいになるね!

Den

 

 

ウインドショッピングの幸せと憂鬱

 

ブルゴス大聖堂を出て、街の繁華街に探索に出ました。

午前中の探索は、バックパックを背中に背負っていたので、スーパーマーケットぐらいしか行けませんでした。

さあ、荷物無し!

ぶらぶらとウインドショッピングにと出掛けました。今まで、田舎道の連続だったので、都会の街並みにとてもエキサイティングしました。

506ブルゴス剣と盾

剣や盾、ナイフのお店は、男子、Denの好みでした。店内に入り気が済むまで見て廻りました。

 

506ブルゴス街エミー

日本で好きなグッズのお店を、ブルゴスで発見しました!

この本、持ってる!ここで見るなんて、なんか嬉しいな~。

Chai

街を歩きながら、私たちは

「わあ、素敵なシャツ!このバッグも見てよ~。かわいい!」

と、何度も声を上げました。しかし欲しいものがあっても、買うことは出来ません。荷物が重たくなるからです。

アクセサリーなら、なんとか持っていけるかしら…と、Chaiはヘアピンを探して買いました。Denが耳が寒いというので、ヘアバンドを探すことにしました。

506ブルゴスヘアバンド街で買う

たったそれだけのものを買うために、何軒もお店をまわり、選び過ぎて、終いには目が回ってしまいました。

そしてやはり、私とChai が買い物モードに入ってしまうのでした。

するとまた、Denは目が三角になっていくのでした。

ねえ~早く~!ねえ~早く~!ねえ~早く~!

Den

すっかり 退屈モードになっていました。

今、終わるから、ね。もう、すぐだから!

Kumi3

800回ぐらい言う私でした。

私たちは、カミーノの田舎道を連日歩き、雨、風、雪、泥ですすけていました。服も着回し洗い回しで、ヨレヨレしていました。

たまに、ヨーロッパのおしゃれで華やかな街を見てまわる事で、心がウキウキ、キラキラしてくるのでした。

 

スケボーやボールで自由に遊べる

 

途中、小学校の前を通りました。

506ブルゴス小学校

子どもたちがスケートボードで遊んでいました。時間は夜の8時半でした。スペインの夕暮れは9時半過ぎでした。

スペインは、このぐらいの時間でも子どもたちが外で遊んでいる姿をよく見かけました。夕食が10時過ぎなので、日本であてはめて考えてみると夕焼けチャイム(16時半ぐらい)の時間なのでしょう。

うらやましいな、と思ったのは

スケートボードボール自由に遊べるということでした。

スペインの公園の遊具には、ブランコや滑り台の他に、スケートボードのスロープ、バスケットのゴール、卓球台、バーベキューのかまど、などがありました。

日本の公園は、スケートボード、ボール遊びは禁止です。まして小学校にスケートボードを持って行くなんてことも、もちろん✖️です。

日本の子どもの遊ぶ世界は なんだか窮屈 だなぁ、と感じてしまいました。

 

506ブルゴス高架下移動

さあ、アルベルゲにもどろうか。

 

スペインのチュロス

 

アルベルゲに戻り、入り口のドアを開けようとすると、直ぐ隣にバルがありました。

店頭のボードに

「Coffee and Churros」(コーヒーとチュロス)と書いてありました。

あ、チュロスだ!食べたいっ!

Chai

細長くて甘〜い揚げ菓子のチュロス。

いいね~。ちょっと冷えたし疲れたしね。コーヒーと本場のチュロスを食べて、休憩しよ~う!

Kumi3

バルに入りました。

506コーヒーとチュロスのバル

バルのおじさんは

「油が温まるまで時間が掛かるよ~、いいかい?」と言いながら作ってくれました。その間、雑談をしました。おじさんは英語は少し話せる感じでした。私と同様でした。お互い、出来るかぎりの能力を駆使して英語でおしゃべりをしました。

日本から来たこと。

フランスのサン・ジャン・ピエ・ド・ポーから歩いてきたこと。

ブルゴス大聖堂のステンドグラスが素晴らしかったこと。

おじさんはチュロスを油から取り上げ、 最後に

パッパパ〜と、白い粉つぶをかけました。

熱々の、揚げたてのチュロスです。

うわぁ!美味しそう〜。

私たちは寒い中を歩き回り、腹ペコでした。ナプキンで挟み、アツアツのチュロスにハフハフしながら、かじりつきました。

うっ…!え?

Chai

うあっ!え?

Den

えっ…?!

Kumi3

それから三人は声を揃え叫びました。

「塩っぱい〜!」

すっかり

チュロスは超甘いもの!

信じて疑わずに、かじりついたので

塩味にビックリ!してしまいました。

日本ではチュロスは甘い!と決まっていました…。

私は思わず席を立ち、おじさんのところへ行きました。

チュロスを指さして

チュロス…、スタンダード?

Kumi3

と聞きました英語が合っているかわかりませんが、何かオーダーの仕方を間違えたのか、確認したかったのでした。

もしかして、甘いチュロスがあったのかも…?

おじさんはニコニコして

「イエ〜、チュロス、ビエン?(おいしい?)と聞いてきました。

「シ、シ(はい)」と返事をし、

それ以上、つっこむことも出来ず、席に戻りました。

「なんかスペインのチュロス、塩味みたいよ…。」

ふ~ん…。」

みんな甘〜い揚げ菓子を想像していたので

意表を突かれビックリ!してしまったのでした。

甘いものが欲しかったのでシーンと静まり返った三人でした。

でも、頭のチャンネルを切り変えれば、熱々のフライドポテトよ!美味しいじゃない!

Kumi3


 

506スペインチュロス

アルベルゲに居るリアとセルジュにも、この塩っぱいチュロスを分けて、一緒に食べることにしようと、残りを包み、バルを出ました。

 

持ち寄り夕飯でドライソーセージを知る

 

アルベルゲに帰りつくと、食べものを持ち寄っての夕ご飯が始まりました。

506ブルゴス巡礼仲間持ち寄りランチ

パン、ハム、ツナペースト、ドライフルーツ、ナッツ、アボカド、キウイ、オリーブ、梨…。

1リットル60円紙パック赤ワインを開け、リアとセルジュと乾杯しました。子どもたちはプリンでした。

セルジュが、ドライソーセージを薄く切りわけてくれました。

 

ドライソーセージとピクルス

うわッ、これ何だろうっ?

Kumi3

スーパーマーケットや町の食料品店でよく吊るされていました。なんだか、白い粉が吹いていて、カビみたいでミイラみたいで、ちょっと怖くて手が出ませんでた。薄切りを恐る恐る食べてみました。

美味し~い!塩味がパンに合うね!

Chai

3人は 絶賛の嵐!!でした。

しかも、乾燥していてヒモが付いているので、持ち運びが楽、一本が30㎝ぐらいでお値段も2ユーロ程(260円)でした。この日から、お店で見つけると必ず買うようになりました。

とても楽しい、夕食タイムを過ごすことが出来ました。

 

アルベルゲの書き込みノート

 

今日は、アルベルゲに入るのが早かったので

506ブルゴスアルベルゲベッド

3人とも2段ベッドの下の段が取れました。

寝相が悪くても落ちる心配が無く、安心安心~!

Chaiがアルベルゲに置いてある書き込みノートをみつけました。そこには各国の言葉で、メッセージやイラストが自由に書かれていました。

たいていがカミーノを歩く喜び、出会いに感謝!といった内容だったのですが、

あ、日本語発見!えっ、でも…この人は…。

Chai

やっと見つけた日本語の文字、その内容は

 『これ以上、歩いても意味ない。あばよ!俺はここで帰るぜ。』

と、書いてありました。

 ドキッ!としました。

また意表を突かれました。チュロスに次いで、今日2度目でした。

 「歩いても意味がない。」なんて…。

なんだか、悲しくなるわね…。

Kumi3

カミーノを、ポジティブなチャレンジと捉えて歩いて来た私たちにとって、とてもショックな言葉でした。

なんで、意味がないんだろう?

暑さ、寒さ、足の疲れ、荷物の重さ、雨、泥汚れ、シャワー、節約…

全てが我慢大会になってしまったのかな…。

『じゃあ、あんたは意味あるのかよ?』と聞かれたら、私はどう答えるだろう…。

消灯になり、寝袋に入りました。

 

※以下 『見知らぬ俺』と「私」の架空の問答です。

見知らぬ俺:『じゃあ、あんたは意味あるのかよ?』

私:「意味あるよ‼︎ だって…」 だって…の後がうまく続きません。

私:「こんな風に毎日、ひたすら歩くなんて初めてで…。体力的にも精神的にも、自分に対するチャレンジだと思うのよね…。」

見知らぬ俺:『それが何?そういったチャレンジは日本に居ても、できるだろ?』

私:「それだけじゃない。そうしながらも、足は痛いし、荷物は重いし、お腹は減るし、雨は降るし、、。時には道に迷うこともあって、、、。もう無理~って思っても

なんとか、その日の終わりにアルベルゲにたどり着いて、ベッドや温かい飲み物にありつけるだけで、本当にハッピー!って感じられるんだ。

シャツも余分には持ってないから、手で洗って洗濯して、翌日にシャツがきちんと乾いているだけで、幸せを感じるんだ。そんなことだけでもね。雨が続くと、湿った気持ち悪いシャツを着ていかなくちゃいけないしね、、。

いつもは、日本の暮らしでは考えもしない当り前の生活のことなんだけど…。そんなシンプルなことが発見だったりするのよね。そうじゃない?」

見知らぬ俺:『いやそれが?そんなに感激すること?』

私:「そうして、ここで出会った他の巡礼者たちと不便どうにも出来ない自然に、共感したり、助けたり助けられたりの旅暮らしは、いつも予想外でさ。毎日何が起きるのかドキドキしたり、ちょっと楽しくなかった?

見知らぬ俺:『わざわざ困ったこと見るのって?意味あんの?』

私:「いや…、たとえば何かあった時、

国籍性別年齢学歴、仕事お金持ち、貧乏…

それらの事は全く関係なく、同様に感じることってあるんだな~って。

言葉が通じなくたって

少ない食料しか持ち運べない中で、仲間が分けてくれた一切れのパン。

疲れて座り込み、もう動けないと思った時、どこからか聞こえてきたギターの音で、なぜか自分も周りの人も笑顔になって、疲れが飛んでしまったような一瞬。

シンプルに誰もが感じる気持ちってあるんだよね。

それを確認する機会でもあったよ。疲れて不便だからこそね。

人間の基本の「歩くこと」をしながら、普段の生活では気が付かない、ささやかなことの喜びやシアワセを見せてくれるのが、カミーノなんじゃないかな…って。

見知らぬ俺:『本でも分かるんじゃね?』

私:う~ん、本も良いけど…。

...私はいつしか『見知らぬ俺』説得する言葉を探していました。

人は、それぞれの価値観でいいのに…。

頭でわかっているつもりが、私は『見知らぬ俺』

せっかくここまで来たのじゃない!…

もし、あともう一歩…。

次のページを開けてみたら、

出会う世界があったかもしれないのに…。

きっと、学業?仕事?費用?体調?その他諸々を、調整して来たはずだろうに…。

そう思うと、さらに残念に思ってしまうのでした。

ああ、私ったらおせっかいババアだわ…。

Kumi3

しまいには眠れなくなってしまい、ベッドの上の段の金網をじっと見ていました。

 

 

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