1/60サンティアゴ巡礼初日の注意・ピレネー山越え・朝の大切な儀式
4/16(金)→オリソン カミーノ初日! 8km(距離) / €76(3人の生活費) 宿:納戸に泊まる @€31×2人分
朝6時半に起きました。石造りのアルベルゲの部屋で、2段ベッドの下の段に3人で座り、パン、ハムポテトサラダ、イチゴの朝食をとりました。
外は小雨が降っていました。4月の半ば、ここはピレネー山の中腹なのでかなり冷え込みました。
ジャケット、雨カッパ、タイツ、ズボン、オーバーパンツ、手袋など
着ぶくれするぐらい、重ね着をしました。
カミーノで大切な儀式・靴ずれ予防
カミーノ(サンティアゴ巡礼)を歩くうえで、いちばんの気がかりは靴ずれを起こすことでした。足が乾燥すると、靴下や靴と擦れて、皮膚が破れやすいと思いました。
それで毎朝、ChaiとDenの両足、足裏、足の指までハンドクリームをべったりと塗り込み、マッサージをすることにしました。
毎日、これをすればマメは出来ないよ。
くすぐった~い!
足クリームマッサージは、マメや靴ずれを予防するため、欠かすことの出来なくなりました。
多分、このおかげでほとんど足のトラブルがなく過ごすことが出来たのでした。
そんな訳で、これは一日の始まりの儀式でした。
さあ、出発しよう!
アルベルゲのオスタピレロ夫婦が、フランス語で
「頑張ってな、気をつけてね!」
と言ってくれているようでした。わざわざ外まで見送りに出てくれました。
オスピタレロというのは、アルベルゲ(宿)の世話人のことでした。
この先も、お世話好きのオスピタレロ、ビジネスライクなオスピタレロ、一緒に歌ってくれるオスピタレロと、公共営業のアルベルゲは、様々な個性がありました。
民間営業のアルベルゲは、たいてい値段が高い設定ですが、その分、設備もスタッフもサービス良く整っていました。
サンティアゴ巡礼、カミーノを歩き出すとき注意は?
7時半、アルベルゲを出発しました。
ピレネー山に入るとお店が一軒も無いという事でした。サン・ジャン・ピエ・ド・ポーの町で食料を調達して持ち運ばないといけません。
パン、ハム、リンゴ、チョコレートなどバックパックに詰めました。
あ~、3人分の食料、重いわ~。でも仕方ない…。
今日歩く予定は8㎞でした。初日の足慣らしには丁度良い距離でした。そして、その宿は朝夕と食事が付いていたのでした。
しかし多くの巡礼者は、今日一日でピレネー山を越え、ロンセスバージェスまで歩いて行くのでした。
それは、初日に25㎞の長距離。
道はアップダウンの未舗装の山道。
しかも、食料を運ぶので荷物が重い…。
という、三重苦が待っているのでした。
しかし、水はラッキーなことに、途中に水道があるので、運ばなくてもよいのでした。
空っぽでもペットボトルは必ず一本は持って歩き、汲みながら行きました。
小雨がちらつく中を歩き出しました。
緩やかな坂を下ると、門が見えました。
サン・ジャン・ピエ・ド・ポーの町外れにあるスペイン門を抜けた瞬間、巡礼が始まるのでした。
ピレネー山脈で誕生日
今日でChaiは15歳でした。
いま、学校を離れフランスのピレネーの山道を歩いているのでした。
なんか不思議な気持ち~。ワクワクするね!
ほんとね!そんな気持ちを聞くと嬉しいわぁ!
ホタテ貝とひょうたんをリュックに下げると、すっかり巡礼者となるのでした。
しかし、わたしたちは初日の初心者でした…。
バックパックが重いのと、歩き慣れていないので、すぐに息があがりハァハァしてしまいました。
枯れ木が「頑張れ~!」と応援してくれるようでした。
牧場の向こうは、霧が広がっていました。
8時半、ようやく朝日が昇りました。
わあ!ここは雲の上なの?
山道を歩くなんて、久ぶりでした。
転ばないように~!杖もまだ使い慣れていませんでした。
ふと見れば、ピレネーの山越えは、美しい景色の連続でした。
けれどその時は、バックパックの重さと山道を登ることに精一杯で、周囲をゆっくりと観て楽しむ余裕がありませんでした。
(カミーノが終わり、写真を見てみると「あら、なんて綺麗な景色だったのだろう~!」と気が付いたのでした。)
出会った最高齢と最年少の巡礼者
途中、カナダ人の家族と一緒になりました。
あらら?おばあちゃんかとお孫さんかな?
左端が78歳のおばあちゃん、8歳と10歳の女の子、お父さん、お母さん、そしておじさんの6人グループでした。
しばらく、一緒に歩きました。
陽気なママさんは、Chaiが今日、誕生日だと知ると、ポカポカした牧場の山道で
『ハッピーバースデー・トゥ・ユー♪』を音頭をとってみんなで歌ってくれました。
そして彼女は、ユーモアたっぷりに言いました。
「おばあちゃんがカトリックでね、どうしてもカミーノ(サンティアゴ巡礼)に行くっていうのでね、みんなついてきたのよ。ここはカトリックの道でしょ。私はプロテスタントの大学に行ったのよ。あなたたちは、カトリック?」
いいえ。カトリックじゃないのだけれど、子どもたちと一緒にカミーノを歩くチャレンジをしてみたい、そして学校だけが勉強じゃないと思って、ここに来たの~。
「そう!私もまったく同じよ‼︎」
とお母さん同士、意気投合したのでした。
フランス側、最初で最後のアルベルゲ、オリソンが見えた!
道沿いに、大きな建物が見えてきました。
あっ!あれじゃない?アルベルゲが見えたよ!わ~い!
お昼頃、出発から8kmの宿、オリソンアルベルゲに着きました。
ここは、いつも予約がいっぱいという事でした。
私たちが、ここに泊まることが出来たのは
「 初日だし、子連れだから早めに休んだほうがいいだろうね。」
と巡礼事務所のおじさんが気を利かせ、満員のオリソンに少々無理を言って予約を入れてくれたのでした。(オリソンアルベルゲは、民営なので予約が出来ました。)
「納戸でよければ、OK!」ということで、泊まれることになったのでした。
水道があり、そこからピレネー山の水をごくごくと飲みました。美味しい水でした。ペットボトルにも汲んでいきました。
オリソン宿の屋外カフェテーブルで、サンドイッチと飲み物を頼みました。
こんなに美味しいサラミ、初めて!でも野菜が欲しくなるわね~。
今日の歩きは、たった8kmだけれどかなり疲れました。
けれど私たちは、ここのベッドに横になれるのでした。
ああ、ヨカッタ!休める~。
しかしカナダ人の家族は、ベッドが満員でここに泊まれませんでした。この先の宿まで山道があと17kmありました。
今はもう、午後1時でした。あと、5~6時間、いや、もっと掛かるかもしれません。
カナダ人のママさんは
「ノーチョイス…!」
仕方がないと両手を広げるゼスチャーしました。
「また会えるといいね!」と私たちはハグをして見送りました。
「グッドラック!」
私たちは8歳の女の子のことを思うと、ここに泊まれて申し訳ない気持ちになりました。
オリソンのアルベルゲは、定員人数が少ないのでした。私たちは巡礼事務所のおじさんの手配で、泊まらせてもらえて本当にラッキーでした。
シャワーと洗濯と探索
1ユーロのコインを入れると、5分間お湯が出るシャワーを浴びました。
ちょっとぬる~い、そして水圧よわ~い…。
仕方ありません。山の上で多くの巡礼者が、いっせいにシャワーを浴びるのですから。
アルベルゲに着いてシャワーを浴びたあと、必ず洗濯をしないといけません。洗濯機があれば、使わせてもらいましたが、無ければ、シャワールームか洗面で手洗いをしました。
干す場所が開いているといいのだけれど…。
山の中腹の干場はどうかな?
足場が悪そうね…。
私たちの寝る納戸の前がいいかな。
山を吹き上げる風が強く、洗濯ばさみで留めておかないと、すぐにどこかに飛んでいってしまうのでした。
洗濯ばさみは、必需品ね!
洗濯が終わると、アルベルゲの周りの探索をしました。
ここにも、ヤコブ像があるね!
さあ、岩山に登るよ!
登頂、やっほ~!
本当は大きな岩でした...。
しかし、その後ろを振り返ると、ピレネーの麓の景色のひろがりを、一望することが出来ました。
ディナーで再びハッピーバースデー♬
オリソンアルベルゲは一人一泊€31でした。そこにはディナーと朝食が含まれていました。
有難いことに、小学生は無料にしてくれました。
ディナーの時間が始まりました。
鍋ごとトマトスープが出て、自分で好きなだけお皿に注ぎました。
白いんげん豆のトマト煮。
牛肉とパン、そして赤ワイン。
デザートにクリームパイというメニューでした。
そのあと、アルベルゲの奥さんが
「皆さ~ん、順番に自己紹介をしてください。」と声を掛けました。
総勢30人、様々な国から来た巡礼者たちの自己紹介が始まりました。
国の名前、自分の名前、どうしてここに来たか…。
多くの人がヨーロッパ人でした。KOREAの人が1人、あとは私たち日本人が3人でした。
今日は、私の15歳の誕生日です。
ハッピーバースデーの大合唱 が始まりました。
隣に座っていたクリスティーナおばさんが、Chaiに自分のロザリオをプレゼントしてくれました。
指につけてお祈りする、素敵な木製の十字架でした。
うわぁ素敵!ありがとうございます!
Denの自己紹介は、急きょChaiに仕込まれた英語を言いました。 ウイ アー ジャパニーズ。マヨネーズ(My name is ) Den..。
たったそれだけでしたが、みんながウケてくれました。
こんな子どもの巡礼者は珍しいのと、はるばるアジアの日本から来ているので、さらに歓迎ムードが増したのでした。
納戸に寝袋を広げ寝る
「寝る場所は納戸しかないのよ、ごめんなさいね。」と言いながら、アルベルゲの奥さんは、寝る場所を案内してくれました。
OKです。泊まれるだけでも有難いです!
狭くて物だらけで、すきま風が入ってきますが、私たちは泊まれるだけでも本当にラッキーでした。
日が暮れたのは22時ぐらいでした。
夕焼けの名残がみえました。
ママ~、トイレ!
深夜、Denに起こされ、Chaiにも起こされ、計2回トイレツアーにいきました。
寝ている納戸からトイレまで、外の道を50歩ほど歩くのでした。
ところが、納戸から外へ出ると、ChaiもDenも私も歓声をあげました。
わあ!こんなに星がいっぱいなの、生まれて初めて見た!
わあ、すご~い!星の海?
この星空は、カミーノからの誕生日プレゼントだね!
うん!
ピレネー山の中腹は、絶えず風が吹き上げてきました。寒くて長くは観ていられませんでした。
さあ、冷えるね、ベッドに戻ろう。
私たちは、星空を胸に納屋へ戻りました。
私は心の中で
とにかく、ここに来れてよかった。
この星空が見せられて、もう満足~!!
まだ巡礼は始まったばかりなのですが…。
【物価サンプル】
サンドイッチ、カフェオレなど€14 宿代€31×2 合計 €76