22/60サンティアゴ巡礼、寒く辛い雨の日、心温まる気持アップの工夫

目次・Contents
5/7(金)→オルニージョス:目覚ましのギター 20km/€23 体育館ベッド @€5×3
目が覚め、時計を見ると6:40でした。
7時には起きないといけないわ~、絶対に...Kumi3
ジャスト7:00になると、リアがギターを弾き始めました。
ボリュームを押さえた美しい静かなメロディーで、みんなを上手に起こしました。
とても居心地の良いアルベルゲでした。
たった一泊だったけれど、みんなフレンドリーで、譲り合い助け合いながら、過ごすことができました。
オスピタレロがそういう雰囲気を作ってくれたのかしら。Kumi3
8時になると、私たち以外の巡礼者は、みな出発してしまいました。
お別れを言いたかったよ
私たちは、オスピタレロと(アルベルゲの世話人) 別れを惜しみながら、道の案内などを聞いていました。
オスピタレロはChaiとDenに
「頑張ってな!」と声を掛け、ハグをしてくれました。
そして あ、やっぱり、もう一度トイレ行かせてね!Kumi3
あれ~、雨が降って来たよ~。Chai
やだなぁ~。
Den
階段を降りる途中のステンドグラスは、ホタテのデザインでした。
いざ出発!と決めてから、もたもたしている私たちでした。
アルベルゲから下まで降りると、
あれ?
軒下で、誰かが待っているようでした。
リアでした。
15分ぐらい
寒い中、待っていてくれたのでした。
リアは「お別れがしたかったからね!」と言いました。
1人で歩く巡礼者は、たいてい早足でした。練日、30km近く歩く人もザラにいました。私たちとは到底、歩速が合わないのでした。
リアとここでお別れなんだね…。 多分、もう会えないね。淋しくなるな…。Chai
Kumi3
「じゃあね、ブエン・カミーノ!」
Chai、Den、私と順にハグをして別れました。
ブルゴス大聖堂さようなら!
さあ、今日は20km!
カッパを着て歩き始めました。
アルベルゲが充実していると、翌日は、気持ちよく歩き出すことが出来るのでした。
ブルゴス大聖堂、さよなら!
石橋を渡りました。
あら、こんな家の補修法があるのね。初めて見ました。
道にカミーノのビッグサイズホタテマークがありました。
ブルゴスの街のはずれに公園がありました。
おしりがカップにはまってグラングランッ!
スペインの公園は日本と違う遊具があって、面白いんだよ!
Den
小さな犬が付いてくる
雨の上がりましたが、空は鉛色でした。
小さな犬が、ひょっこり現れました。
Denのあとを付いてきます。振り返ると止まり、歩き出すと犬は、また歩き出すのでした。
しばらく追いかけっこを楽しみました。終いには心配になってしまいました。 もう帰ったら?お家へ帰れなくなっちゃうぞ?Den
小さな村で白猫がお出迎え
小雨が降ってる中
小さな村に入りました。
今度は白猫がお出迎えです。ニャーッ!
途中見つけたパン屋さんで買ったパンは、焼き立てでした。
そして、こんな丸パン初めてでした。
わあ、まだ温か~い!
Den
それっ!かじりつかなくちゃ!
素朴な教会を通り過ぎました。
曇り空、麦畑、メセタの大地
すっかり、家がなくなってきました。
メセタの大地が続きます。
ねえ、寄り道しないでよ~!Chai
ずっと、ずっと麦畑が続きました。
向こうの木が「寒いだろう、わしも一人で頑張っているよ、あんたたちも頑張れー!」と言っているようでした。
雨も忘れる自分の出産ストーリー
ブルゴスの大都会で見た気温は2℃でした。
家もなく、吹きっさらしの麦畑だらけの道は、もっと寒いのでした。
今日のように冷たい雨が降ったり止んだりで、凍える寒い日は、辛く気持ちが下がりました。 う~ん、寒くて、道が単調で、雨も降って来る…、めげないように歩くための心の栄養が必要ね…。Kumi3
そうだ、ここで話しておこう!みんなが聞きたい話は、あれよね!Kumi3
『産まれて来る時のストーリー』を話しながら歩くことにしました。
お姉ちゃんはどんなだったの?
「ねえ、お姉ちゃんはどうだったの?」と、ChaiとDenは、聞きたがりました。
おねえちゃん登場!Rai
臨月の時、お友だち夫婦が来てね。グツグツ煮える鍋を皆んなでつついて食べたのね。楽しくて、美味しくて、かなり食べ過ぎてしまってね。
その日の夜中に、お腹が痛くなったの。
尋常じゃない痛さに、お腹壊したかも!と思って、朝一番で病院に行ったらね、
それが陣痛!だったのよ。
初産なのにストーンと産まれ、安産だったわ。
Chaiが生まれた時の話
あたしの時は?Chai
ママは、すっかり体が冷えてしまってね。お昼過ぎに先に帰ることにしたぐらいだったわ。
お父さんとRaiは「パレードを見てから帰るよ。」って言ってね。
ママは一人で家に帰り、お湯に浸かってようやく身体が温まったの。
それから、風邪をひいたようになってしまってね。
一週間後の朝4時ぐらい、お腹が痛くなって来てね、お姉ちゃんの時のことがあったから、大事をとってタクシーを呼んで、病院へ行ってみたの。
そしたら、陣痛が始まっていたのね。
病院について一時間半でね。
1ヶ月早くChaiが産まれたの。
「ディズニーランドに行きたくて、早く飛び出して来ちゃったんじゃな~い?」と皆んなにジョークを言われたわ。
体重が1800gだったから、そのあと一か月間、保育器に入ったのね。
先に退院したママは、毎日、家で絞った母乳400㏄を届けに、電車とバスに乗って病院へと通ったのよ。
保育器の中で、Chaiが小ちゃくてびっくりしたよ。
でも、保育器の中で両手両足をニョキニョキ動かして、踊っているみたいでね、元気だったから安心したのよ!
Denが生まれた時の話。
Denはどうだったの?Den
夜の1時ぐらい、お父さんのバイクの後ろに乗せてもらって病院に向かったの。ママもバイクに乗っていたから、慣れていたしDenは近くの病院だったからね。
その夜は、月がとっても綺麗だったの。
休日でね。夜勤はおばあちゃんの看護師さんがいたの。
着いた早々
「あれ~、また来たよ。もうたて続けに3人だわ。満月だからかね~。」と言っていたわ。
また、おばあちゃん看護師さんが言うには
「あなた、静脈瘤がひどいじゃないっ!輸血するかもよ。血管確保!」といいながら点滴用の針を刺したのだけどね。
老眼鏡がないと見えないと言って取りに行ったの。
ちょっと不安になっちゃたわ~。
4時間ぐらいウンウン陣痛を我慢してね。
Denは元気よくオンギャーオンギャー!と泣いて飛び出してきたんだ。
安産で、輸血は必要無かったよ!
髪の毛が濃くてね、眉毛が全部、おでこに生えてるようだったわ。
ChaiとDenは、自分の出産ストーリーを聞き、寒い雨の中、気持ちがホカホカしたようでした。
私は、突然に母が亡くなったので、自分が産まれた時のエピソードを、聞かずじまいでした。それがとても残念でした。
このカミーノで、ゆっくり話すことができてよかった!Kumi3
わたしは、コウノトリが運んできたって言われたよ。
Chai
Denはキャベツから生まれたって言われたの信じてたよ!
Den
以前、陶芸の仕事をしていました。赤ちゃん、こども、動物、物語を感じる風景など、カミーノで感じたエピソードと共にコメントを付けてあります。よかったら、ご覧になってください。Kumi3の作った陶人形をギャラリーに載せました。
Kumi3
わあ!町が見えてきたよ。もう少しだね!
Chai
オルニージョスの町、寒空に待ち人あり!
犬が付いてきたり、生まれた時の話で、雨だというのに20kmの距離を、割合い早く歩くことができました。
家がちらほら増えてきました。
オルニージョスの町に入ったようでした。
アルベルゲ見逃したら大変ね!Kumi3
すると、寒空の下、道端に立っている人が見えました。
近づくと、フランスから来たセルジュでした。
ブルゴスのアルベルゲで二日間、一緒でした。
「もう、着くころかな、と思ってね。」セルジュは言いました。
うわぁ~!ヨカッタ。メルシー!
Den
セルジュが案内してくれたので、迷わずアルベルゲにたどり着くことができました。
ところで、セルジュは女性もの刺繍があるジーンズを履いていました。私がジーッと見ると、セルジュも気がついて
「前に余りに暑くて、長ズボンをアルベルゲに置いて来ちゃってね。寒くなって慌てて買ったんだよ。女性ものしか合うのが無くてさ、ワッハッハ!」
「あー、それで!わかるわ〜、イヒヒ!」
私たちも連日の暑さに、手袋や長袖、タイツなど、防寒になるものをアルベルゲに置いて来てしまいました。この寒さの中、服がギリギリでした。
ブルゴスの巨大アルベルゲから大勢の人がスタートしたせいか、20km先にあるこのアルベルゲは、14時には、ほぼ満員でした。
セルジュはアルベルゲの部屋にベッドを取った後、私たちがこの町に行くと言っていたのを思い出し、心配になり待っていてくれたのでした。
アルベルゲ満員!体育館で寝る
アルベルゲに入ると
いったん「フル!(満員!)」と言われました。 え~ッ!Kumi3
けれど、体育館でよければ泊まる事ができると言われました。
オッケーです!Chai
それは、倉庫から折りたたみベッドを自分で運び、好きなところに広げて寝る、ということでした。 うんしょ、どっこいしょっ!Den
体育館の壁添いに、3人のベッドを並べました。 わぁ、寒〜い!Kumi3
体育館は暖房もなく、だだっ広いので、こと更に寒く感じました。
でも、とりあえずベッド確保!
よかった〜!休めるね~。
悲しいシャワー
今日は、寒い雨の中を歩いてきました。
なんとしても熱いシャワーで温まりたいのでした。
Denが1番にシャワーを浴びました。 うぎゃあ~、途中から水に変わった〜っ!Den
Denはガタガタ震えていました。あらら~…。
少し時間が経てばいいかもよ~、と私は、30分ほどしてからシャワーを浴びに行きました。すると
あら、いい感じ! うわああ…、ぶるるっ!今日の一番の楽しみが…悲しい~。Kumi3
Kumi3
Chaiは私の様子を見て、浴びない事にしました。
正解!
けれど、私たちの寝袋は裏切りません。
3人は寝袋にしばらくの間くるまりました。
そうして、身体が温まるまで、ミノムシのように待ちました。
巡礼者の友、ドライソーセージ
2時間ぐらい昼寝をし、身体が温まったところで散歩と食料調達に出ることにしました。
小さな田舎の町は、すぐに終わってしまいました。
しかし、昨日知ったドライソーセージを小さな食料品店で買うことができました。程よい塩味と持ち運びの良さで、この先も我ら巡礼者の友でした。
暖炉のそば、質素で満たされたディナー
体育館に戻ると、さらに冷えていて凍えそうでした。
アルベルゲのキッチンスペースの建物に、夕食を食べに行きました。その部屋だけ、暖炉が焚かれていました。セルジュも来ていました。
夕食はそこのテーブルに陣取り、ペットボトルに入れて持ってきた赤ワインの残りとChaiとDenは自動販売機のホットチョコレートを手に持ち、声をあげました。
「サル~!(カンパーイ)」
夕食のメニューは、昼とたいして変わりませんでしたが、セルジュの持ちよりのチーズとハムが加わり、テーブルの上はいくらか賑やかになりました。
何も不足はないな…と思いました。
温かい暖炉、パンとワインとチーズ、
ChaiとDenが笑顔、仲間同士お互いを讃え、ねぎらう気持ち…。
心がとても満たされているのを感じました。
夕食後は、カードゲームが始まりました。隣にいたおばちゃんも加わり、ババぬきをしました。
楽しくて、みんなでゲラゲラ笑いました。
Denの番です。セルジュからカードを引きます。
ババでしょー‼︎
わかりやすい反応ね~!
フランスの子ども歌 ♪カミーヨ ラショニーヨ
セルジュがフランスの子ども歌を教えてくれました。
カミーヨ ラショニーヨ ソプリーヨ セラビィ〜。
メロディが可愛くて、ノートに書きました。
ゼスチャーがあります。両手でグーを作り、向かいあわせ、人差し指だけを交互に掻き出すように動かします。
歌いながらイモ虫がケンカをするようにするのでした。
地味なべっこう飴も嬉し〜い!
オスピタレラのおばさんが、ChaiとDenに飴をくれました。
日本にいたなら、いろんなお菓子が手に入ります。
こういう地味なベッコウ飴は、Chaiなど、たぶん気にも留めないのでしょうが、ここカミーノでは、貴重な食料でした。
ムーチョ・グラシアス!、嬉しい〜‼︎Chai
とても疲れている時、席を譲れるか?
寝る直前まで、暖炉の食堂にいました。そこだけ暖房があるので、あとから来た人は椅子がなく、みんな立っていました。
疲れた足に
椅子確保は超ラッキー!でした。
ところがセルジュは、
あとから来た人に、椅子を譲ってしまいました。そんなことをする人は、見たところ、セルジュ1人だけでした。
若いお兄さんやお姉さんでさえ、一度、椅子に座ったら絶対に離さない構えで座って居ました。
先に来たんだから、もちろんいいじゃない!です。
食堂に、人が増えてきました。
その人たちは壁を取り巻くように立ちながら暖をとり、飲んで食べ、おしゃべりをしていました。
中には年配の人もみえました。
私もセルジュのように立って食べている人にを譲ろうか…
と思ったのですが…、
思ったのですが…、
思ったのだけれど…。
でも、私も足がクタクタっ!
クタクタなのよ…と
どうしても出来ませんでした…。 セルジュはすごいなぁ。あっさりと人に椅子を譲れるなんて…。Kumi3
寒空の下、宿を気にして待っていてくれ、仕方なしの女物のジーンズを履き、飲み残しの激安赤ワインを喜んでくれ、子どもたちが飽きないよう根気よく遊んでくれ、自分も疲れているのに席を譲ってしまい、そしてワッハッハ!と笑う…。
セルジュは、心がしなやかで、優しく強いなぁ!と感じました。
体育館ベッド大盛況!
寝る時間になりました。
私たちは体育館に戻りました。中に入ったと同時に、外はすごい雨音のスコールが降りました。
セーフ!でした。
体育館の折り畳みベッドの数は、始め5台ぐらいでしたが、いつの間にか15台ぐらいに増えていました。
さらに冷え込んで吐く息が白いけれど、寝袋に入れば大丈夫!でした。
3人ともすぐに深い眠りに落ちました。