23/60カミーノを逆に歩く人

アバター
WRITER
 
508見ざる言わざる聞かざる
この記事を書いている人 - WRITER -
アバター
スペイン巡礼の道は子どもと一緒に歩くことが出来ます。英語もスペイン語もダメな母は、二人の子どもの知恵と勘を頼りに歩いた2か月、930km。毎日が驚き、感激、悩み、ケンカの連続。記事を読んで笑えたり、旅気分を味わってもらえたら嬉しい!と思いながら作るサイトです。Kumi3の絵本作品、他の子連れ旅も掲載していきます。
詳しいプロフィールはこちら

5/8(土)→オンタナス:サヨナラは無し! 10.6㎞/€25  時計台近くの宿@€5×2 

 

先に朝食を済ませたセルジュが体育館にやって来ました。
 
セルジュは「先に出発するよ。」と伝えに来てくれたのです。 
 
Denは起こしても起こしても寝袋をかぶってしまうので、そのままにして、Chaiと私は体育館の外へ見送りに出ました。
 
「それじゃ、ここでサヨナラだね。」
と言うと
 
セルジュは「いや、必ずまた会えるから、サヨナラは無しにしておこう。」
と言いました。
 

そうだよね!

Kumi3

 
Chaiと私とハグをして
 

ブエン・カミーノ

Chai

セルジュは荷物を背負って歩きだしました。
 
私たちは、体育館のベッドを畳み、倉庫の中に片付けました。
 
 
 
 
508オンタナス朝食
それから食堂スペースで朝食をとりました。
 
 
私たちも歩き出しました。
 
 
 
508オンタナス笑顔で巡礼出発
セルジュが、出発前に巡礼仲間としてわざわざ声を掛けてくれたことが嬉しくて、Chaiは上機嫌でした。
 
 

 

カミーノを逆行する人

 

昨夜の雨は上がっていますが、道は泥でグチャグチャです。

 
508オンタナス田舎道1.2
しばらく田舎道が続きました。
 
んん?
遠く向こうから道を逆に歩いて来る人がいます。
そんな人は滅多にいないので、ことさら注意を引きます。
必ず「いったいどうしたの?」と聞かれます。「忘れ物?」「歩いて戻るつもり?」などなど。

その人がだんだんと近くなってきました。

あれっ?3人はビックリしました。
 
おととい別れたリアでした。こんな田舎道で再会するとは!
 
「どうしたの?」と聞くと
 
リアは「途中で膝が痛くなってどうにもならないの。舗装路に出てブルゴスまでヒッチハイクするわ。それからバスでレオンの街まで行くつもり。レオンの大聖堂を見て、スケッチをしながらゆっくり過ごそうと思うの。巡礼は…、もう難しいのよ、、。と言いました。
 
確かに…。足を引きずって辛そうでした。
 
「そうなの、、、本当に残念だね…。けど、また会えて嬉しいよ!」
 
 
 
508オンタナス、襟巻き
リアはDenの首に、犬のついたブルーの襟巻きをしてくれました。
きっとリアは、カミーノを逆に歩けば、私たちに必ず出会うことを予想していたのです。
 
私たちはハグをして2度目のお別れをしました。
 

ブエン・カミーノ

Den

 
 
 

Chaiと私のバトル

 
 
リアと別れ、歩きながらChaiが私に言いました。

リアと話した時や、他の外国人と話した時、ママの英語、文法やゼスチャーがすごく変だよ。ひどすぎて、、、。恥ずかしくなる…。

Chai

ええっ?

Kumi3

私だって変なのは十分に承知だよ。
 
なんとかして
20%しか伝わらないのを、必死に30%、40%〜にあげようとしているのだ。
そのために身振り手振りのジェスチャーを加えているのに。
 
私は英語がダメなのはわかっているよ。わかっているけれど、、、
必要な情報を聞き出すために、、みんなのために、子どもたちのためにっ!
 
なりふり構わず精一杯やっているっていうのに~っ!
 
それを、はたからみてバカにされる、こんなに悲しいことはない。
 

それなら、自分から話すことをしてよ。横で黙って見てないでさ。私はみんなの為に骨を折ってやっているのに。失敗しない立場にいて、そんなことを言うのって無いでしょっ!

Kumi3

もういいっ!

Chai

 
 Chaiは怒って口を聞かなくなりました。
 
 
そんな風に横で見られていたのか、、、。
もう、外国人と話すことをやめようかな、と私は思いました。
 
  

DenとChaiのバトル

 

それから少し歩いて休憩にしました。道端の草の上にリュックを置いてチョコビスケットを出しました。

508Diaチョコサンド、カミーノ

Diaスーパーマーケットのチョコサンドビスケット。

これは3パックで€1、安くて最高に美味しい!と、みんなのお気に入りのおやつです。

ところが、うっかりChaiがDenのリュックを倒してしまいました。
昨日の雨で、ぬかるんだ道にリュックは倒れてしまい、泥がついてしまいました。
 
Chaiは、すぐに謝りましたが、Denは猛烈に怒りました。
 

ああっ!汚れちゃったじゃん、もおおー、許さないからっ!

Den

 
大好物のチョコビスケットにも手をつけませんでした。
 
私とChaiは、ポケットやリュックの小物入れからティッシュをかき集め、泥を拭い、水拭きしました。
 
 
……そんなこんなで、早々に休憩を終え、歩き出しました。
 
Denはダンダンダンッ怒って早歩きをしています。
 
私は、追いつき

ねぇ、わざとじゃないんだから。事故なんだからさ。Chaiは謝ったのだし、一緒に泥を拭いて終わりでいいじゃない。あんた幼稚っぽいよ。いつまでもその態度!

Kumi3

ふんっ!うるさいな~っ

Den

 
Denは全く聞く耳を持たなくなってしまいました。
 
 
 

それぞれが怒って歩くカミーノ。

 

Chaiはものすごい早足で歩き、すぐに後ろ姿が遠く小さくなってしまいました。

その中間をDenが乱暴に歩いています。
 
そして足取りの重い私…。
 
 
508オンタナス、バラバラに巡礼1.2
どんどん3人は離れていきました。
 
それぞれが怒りながらカミーノを歩いています。
 
ちょっとした事で言葉が荒み、ささくれた心になってしまいました…。
 
子どもたちとカミーノを歩けば、助けあい、より関わり合い、お互いの絆が深まり、思いやり、忍耐力が付いてくる、そう期待していました。
 
それは、大筋の流れでは、間違いありませんでした。
 
しかし、毛細血管レベルでは、日本での狭い家の中と同じようなささいなもめ事が繰り返し起こります。
 
日常と思いっきり異なる貴重な体験をしていますが、人の中身が入れ変わった訳ではありません。そして、そこにもまた基本的な日常は付いてくるのです。
 

あー、こんなやりとりは、もうたくさんっ!

Kumi3

 
この先、この「負の感情」少しでも減らすにはどうしたらいいんだろう。薬か絆創膏か、それとも部品を足すか取るか、何か出来る工夫はないのだろうか。
 
いじけて歩く2人の背中を見て、せっかくのカミーノに来ているのに、もったいない…。せめて私だけでも景色を楽しもう…と思ったのですが…。
今日はあいにくの、どんよりとした暗い空と淋しい景色で、見上げてもゼロでした。プラスの気持ちまでには、上がってきません。
 
この日は、ほとんど距離を進めることができませんでした。みんなの気持ちがバラバラで、足もリュックもいつもより重く感じられました。
 
10kmちょいの町まで歩くのが、やっとのことでした。
 
 

オンタナスの町は違う国のよう

 
 
オンタナスの町が見えてきました。
 
 
508オンタナス道の先に町
 
古く寂れた雰囲気でした。
オンタナスの町は、華やかなブルゴスの街から比べると違う国のように感じられました。
 
 
508オンタナス町と教会
新しい町はワクワクするものなのですが、空の暗さも手伝って、興味が湧いてきません。
 
オンタナスの町は、晴れた日の余裕のある気持ちで来たなら、古いヨーロッパの田舎が見れて楽しめると思うのですが…。
 
 
 
508オンタナス道の洗濯物
ここ、人住んでるのかな??洗濯物があるから住んでるのよね。
 
注意深くアルベルゲを見つけると、早々にチェックインしました。
3人は、口をききませんでした。
  
昼はパンとサラミとチーズとオリーブ、ツナ缶。
夜は、またその残りを食べました。

曇り空でかなり冷えます。水道の水が冷たいこと!それでも、下着は洗わないといけません。持ちものがギリギリです。

3人は、黙々と自分の服を洗いました。
衣類を絞る手が悲鳴をあげました。一緒に絞れば少しは楽なのだけど、、。
 
やっと干して、洗濯が終わりました。
 
 

おじさんの咳で寝そびれる

 

その日の夜は、3人それぞれの思いを抱え、夜8時には寝袋に沈みました。

私は、上のベッドのおじさんの激しい痰がらみの咳で眠りそびれてしまいました。

ゴホッゴホッゴホッゴホッゴホッ、
ゲホッ、ゲッヒィイイー、ゲボッ、ガロン、ガロン、ガーッペッ!
 
あ~あ…。この人、、、、風邪? 明日、歩けるのかな? 
 
 
508オンタナスアルベルゲベッド
 
 
 

子育ては1+1=2にならない

 
 
は~あ・・・。
 
子どもの為になると思って、様々なことを当たり前と思ってやってきました。
 
その結果がこの頃は「1+1=2」にならなくなってきたのを感じました。
 
やってよかった!、うまくいったね!、助かったありがとね!となると思ったら大間違いです。
 
いらないのに!、うるさいなぁ!、見ないでよ!、来ないでいいよ!
余計なことしないでよ! です。
 
そんなこと、ほんの数年前、子どもたちが幼い頃は考えもしませんでした。無我夢中で母親をすることができました。
 
今は、、、それを無意識には、やれなくなっています。子どもたちが、私を批判し始め、煙たがり始めているのです。
 
 
 

片目をつぶって任せてみる…か

 
 
母親とは、子どもたちを取り巻くあれこれが目に入ってしまう、言わずには、やらずにはいられなくなってしまうものです。
 
親として助けたり、正しく導いていかなくちゃ!と思ってしまうのです。
 
でもその塩梅は、どうやらずっと同じにはしていられない。変化が必要な時が来るのです。

きっと今がその時なんだ。うーん、少しやり方を変えてみようか。

Kumi3

例えば、、、
外国人やホスピタレロに「スーパーマーケットはどこですか?」とほぼ毎日聞いています。それを聞くときは、Chaiに振ってみようかな。
 
今まで「私が聞かなくちゃ!」と腕まくりをし身振り手振りでコミュニケーションをとってきたけれど、、、Chaiは、きっとできるはずだ。
 
ひんぱんに起きるDenとChaiのバトルも、2人に任せておけばいいのだ。追いかけてまで「あんた、幼稚っぽいよ!」なんて言わなくてもいいんだ。Denもわかってきているはずだ。2人は、仲直りするか、ずっと険悪かは知れないけれど、2人で解決すればいいだけなんだ。
 
私が介入することでDenの怒りの矢印は複雑化する。そこには何もいいこと無い。シンプルが一番だよね…。
 
子どもたちのあれこれの足りなさを見て、私がやらなきゃいけない!っていう使命感半分ぐらい目をつぶろう。
 
そして彼らを信じて任せてみる、、、。
 
気になるだろうな…。言いたくなるけど…。
でも、やらなくちゃ!
たとえ結果がうまく運ばなかったとしても…だ。
 
そうしていかないと、ずっと煙たいままだ。
煙たいママ…。
 
教会の鐘が鳴りました。2回、午前2時です。
やだな、眠れない。
 
けれど、3回の鐘は聞きそびれました。よかった〜。
 
 
 
 
 
この記事を書いている人 - WRITER -
アバター
スペイン巡礼の道は子どもと一緒に歩くことが出来ます。英語もスペイン語もダメな母は、二人の子どもの知恵と勘を頼りに歩いた2か月、930km。毎日が驚き、感激、悩み、ケンカの連続。記事を読んで笑えたり、旅気分を味わってもらえたら嬉しい!と思いながら作るサイトです。Kumi3の絵本作品、他の子連れ旅も掲載していきます。
詳しいプロフィールはこちら

- Comments -

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です