7/60カミーノのアルベルゲ居心地はオスピタレロ次第で決まる!
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「中学校に行けないなら、スペインをひたすら歩く旅に出てみない?」と体調を崩し学校へ行けなくなった中3次女と訳も分からず一緒に行くこととなった10歳そして母の三人は、サンティアゴ巡礼(カミーノ)へ行くことにしました。ところが、トラブル続出!初日にガイドブックを失くし、スマートフォンも使えなくなるという状況に陥り、私たちはまるで中世の巡礼者のように、道の黄色い矢印だけを頼りに歩きました。かかった日数は60日、歩いた距離は930kmでした。その後、長女と夫もそれぞれにカミーノを歩き私もまた2回ほどカミーノの一部を歩きました。
4/22(木)→ウテルガ / 温かい朝食の嬉しさ 16.7km/€56 民間アルベルゲ @€10 ×3
パンプローナのアルベルゲ、パタボーンは、街外れでちょっと不便なところでした。建物も古くて小さく質素でしたが、とても居心地の良さを感じました。
そして思いもよらず、朝食が付いていました。
オスピタレロは、こどもたちにはココア、わたしにはコーヒーをいれてくれました。
Chai
「トーストにチーズをいっぱいのせようっと!」
「黒すぐりのジャムがおいしいね〜!」と、お腹いっぱいに食べました。
いつまでもお茶していたいけれど、行かなくては…。
7時半過ぎ、出発しました。
おじいさんとおばあさんにお礼を言い、ハグしてお別れしました。
建物よりも設備よりも、ここのオスピタレロのお人柄が温かいから、居心地が良かったんだね。さあ、歩こうか!
Kumi3
スペインの朝8時前は、まだまだ暗いのでした。
雨模様、なめくじ・カタツムリに癒される
朝からけっこうな雨が降っていました。カッパを着て歩き出しました。
シトシトシト、、、。
しばらくして雨は止みましたが、寒い~!
古い石造りの橋を渡りました。
橋を渡るといっきに建物が少なくなっていきました。
菜の花の季節です。
Den
Kumi3
家がまばらな田舎道になってきました。
Chai
一面が麦畑の道になりました。
どんよりとした空の下、寒いさむい~。
いつでも雨が降りそうでした。
Chai
Den
ピンポン玉ぐらいあるコロッとしたカタツムリでした。

元気なカタツムリが「こんちわ~!」
こんな日は、小さな生き物たちに癒されるのでした。
屋根があるだけで有難い
再び雨が降り出しました。
少し、町になってきました。この町にはアルベルゲはありません。バルも見当たりませんでした。
雨の中、なかなか休めるところがありません。
屋根が大きめに張り出している民家の軒下で、ランチをとることにしました。屋根があるだけでありがたいのでした。
雨をやりすごしながら、パンにサラミソーセージを挟みました。
こどもたちは日本では雑穀の入ったパンはヤダっ!と言っていたのだけれど
ここでは、夢中でムシャムシャと食べていました。
寒い雨の中、5時間で12km…
13時、お昼休憩を終え歩き出すと、町は徐々に田舎道になっていきました。
『町名と距離、アルベルゲ(宿泊所)が書いてあるプリント』を見ると、一番近いアルベルゲまで、あと5kmありました。
道が悪く雨模様なこともあり、朝から5時間でたったの12㎞しか進んでいませんでした。
アルベルゲのある町は、まだまだ遠いね。
足元、気をつけてね!
Chai
道は、ぬかるんでドロドロでした。ズルッと滑るので油断できません。足場を選んで歩くようでした。さらに靴の底に泥が付いて重くなっていました。
Den
標高780mにあるぺルドン峠からの見晴らしも皆無。素敵なモニュメントの写真スポットも、泥んこの水溜まりでした。
目指すアルベルゲは、定員が16名でした。
Chai
3人は自分のペースで、転ばないようにと慎重に歩いていきました。
Kumi3
アルベルゲの怖いお姉さん
あった〜!
アルベルゲ発見~!!
バルの2階が、宿泊施設になっていました。
冷え切った凍える手で、わらわらとカバンからクレデンシャルやお金を準備しました。
レセプションの前に3人で立ち、
「オラ~!」
挨拶をしました。すると、受付のお姉さんは、無言でした。それどころか、ニラむような目つきでした。
「怖っ!」
3人は、とても不安になりました。
チェックインのスタンプを押してもらうために、出したクレデンシャルカードは、投げて返されました。
私たちの言った
「グラシアス~(ありがとうございます)」
シーン…。
お姉さんは、腕を組み、椅子にそり返るようにして座り、あいかわらず階段を登る私たちをニラみ付けていました。
どうも、かなり機嫌が悪いようでした。
Den
泊まるのやめようか? 1人10ユーロは値段も高いし…。
Chai
Kumi3
しかし2階の部屋に上がると、ベッドは清潔でした。さらにChaiもDenも、2段ベッドの下の段が取れました。私だけ、上の段でした。
カミーノを歩き終えた一日のルーティンワーク
どんなに疲れていても、アルベルゲに着いたらやらなければならないことがあるのでした…。
・シャワーを浴びる。(当たりはずれが有ります…。今日はOK!
・下着、シャツ、靴下を洗う。(水が冷たい、絞るのに力がいるなどけっこう疲れる仕事)
・オーバーパンツの汚れを拭き取る。(雨の日)
・靴の泥をぬぐい取る。(雨の日)
シャワーは、熱い湯がジャンジャン出る「当たり」のものは、3日に一回といった割合でした。
洗濯は、洗濯機があれば使わせてもらいましたが、たいてい風呂場か洗面で、自分の下着、靴下ぐらいは手洗いしておかないといけません。干場が雨で干せないときは、ベッドのパイプに掛けておきました。
雨の日は疲れている上、さらにオーバーパンツの汚れ、靴の掃除をしておかなければいけません。明日の朝、スムーズな出発をするために。
今日は、靴の底から、土の固まりがごっそり取れました。
Den
そんなカミーノのルーティンワークを全て終わらせると、やっと休憩タイムでした。
ChaiもDenもベッドにゴロンと横になったかと思うと、3時間ほど気を失ったように眠ってしまいました。
私は、その間、一人ゆっくり日誌を書いたり、所持金を数えたり、窓から雨が止んだ夕焼けの空に見て、ボーッとして過ごしました。
雨が上がりの空は、優しい感じだね。
お姉さんが怖くて1階に降りれない
私は、近くにお店があるかどうか探索しなくては…と階段に向かいました。明日の食料を手に入れておきたいのでした。
1階に降りるのを躊躇しました。さっきのお姉さんが居たらと思うと…
そ~っと階下を覗いてみると、ちょうど他の巡礼者たちが到着し、お姉さんは受付をしているところでした。
ササッ~!と素早く階段を降りて、私一人、外に出てみました。
雨は止んでいました。買い物をしようと、あたりをうろうろ歩き回りましたが、近くにお店はありませんでした。
食料の調達は出来そうにないわ。お姉さん感じ悪いし、宿代も高いけれど、ディナーを頼むしかないわ…。
Kumi3
優しいお姉さんが教えてくれたディナーのこと
今日はずぶ濡れ、ドロんこ道の中、よく頑張ったよね。温かい物を食べようよ。近くにお店は、無かったし。ピルグリムディナー頼もう!
Kumi3
Chai
でも、一階のバルに行かないと、夕食を食べることはできません。
ChaiもDenもそろりそろりと、さっきの怖いお姉さんの所在を確かめながら階段を降りていきました。
Den
私はピルグリムディーナーをお願いし、3人はテーブルに着きました。
この時にオーダーを取りに来てくれた人は、さっきのお姉さんと違う人でした。
いました。
その人は、とてもフレンドリーで
笑顔が素敵なお姉さんでした。
ChaiもDenも、さっきの受け付けのお姉さんに、相当ビビっていたので、優しいお姉さんに変わり、心底「ホッ!」としていました。
お姉さんと一緒に、ケラケラ笑いながら、身振り手振りでメニューを選んでいました。
このお姉さんが根気よく親切に私たちに英語で説明してくれたおかげで、初めてピルグリムディナーのしくみがわかりました。
・前菜(サラダかパスタかスープから選びます。)
・主菜(肉料理か魚料理など、2種類から選びます。)
・デザート(ケーキ、ヨーグルト、リンゴ丸ごと一個など2種類用意してあり、そこから選びます。)
そして、このディナーは大当たりでした!
前菜のパスタ
私は野菜たっぷりのスープ?煮物かしら…。
主菜のボリュームチキン!
Chai
お魚も大きくておいしい!
デザートは、本来はヨーグルトだったのですが、お姉さんは
「ほら、こっち来て。選んでいいわよ!」とChaiとDenをアイスの冷蔵庫のほうへ手招きしました。
Den
知らないと損!カミーノの赤ワインの謎
そして、ディナーのテーブルには、赤ワインがピッチャーで置かれました。
お姉さんに聞くと
「これはこの店のハウスワイン。フリーなの。いくらでも飲んでいいのよ!」
えっ、好きなだけどうぞ!ですか?
ここで初めて、知りました。
ピルグリムディナーの時、テーブルの上にあるワインは
自由に飲んで良いのでした‼
今まで、他の巡礼者が飲んでいるのを見て
いくら払うのかなぁ、みんな豪勢に飲むなぁ…と、感心していました。
なぁーんだ!無料だったとは。水みたいな位置づけかしら!
Kumi3
ピルグリムディナーの赤ワインの謎が解け、無料だと知るとつい飲み過ぎてしまいました。
アルベルゲの良し悪しはオスピタレロ次第
このアルベルゲ、最初のお姉さんは怖くてサイテーと思ったけど、もう一人のお姉さんは優しくてよかったね。いっきにサイコー!居心地よくなった!
Den
そうだね。いくらシャワーや部屋が良くても、オスピタレロが感じ悪いと居心地も悪いよね!
Chai
そういえば、今朝出てきたパンプローナのアルベルゲも、建物や設備はちょっとくたびれた感じだったけれど、オスピタレロのおじいちゃんとおばあちゃんが、温かくもてなしてくれたので、とても居心地の良いアルベルゲという印象でした。
美味しい食事とデザートにアイスをもらい、ChaiとDenは超ハッピーになっていました。
夕食後、コインパソコンの所へ行きました。
お小遣いの1ユーロで20分だけ、インターネットにつなぐことができました。
夜9時、まだ外は明るいのでした。
ついに太陽が沈みました。
ChaiとDenは、ベッドに入ると直ぐに眠りにつきました。
今日、あんなに昼寝をしたのにね…。
雨の日は、体力の消耗が激しいのでした。
私も二段ベッドの上の段で、横になるとすぐに熟睡してしまいました。
二段ベッドの要注意!!
寝袋に胸まで入り、気持ちよく寝ていたのですが…、
ふと寝返りを打った瞬間
ドサッ!
Kumi3
右腕だけがベッドの横に落ちて、ぶら~んとぶら下がりました。
腕だけ落ちたときの感覚にドッキリとした怖さを感じ、その後しばらく目が冴えて眠れませんでした。