10/60カミーノは神様がいるよ、プラス・マイナス・プラス!

アバター
WRITER
 
425おじさんくれたパン
この記事を書いている人 - WRITER -
アバター
スペイン巡礼の道は子どもと一緒に歩くことが出来ます。英語もスペイン語もダメな母は、二人の子どもの知恵と勘を頼りに歩いた2か月、930km。毎日が驚き、感激、悩み、ケンカの連続。記事を読んで笑えたり、旅気分を味わってもらえたら嬉しい!と思いながら作るサイトです。Kumi3の絵本作品、他の子連れ旅も掲載していきます。
詳しいプロフィールはこちら

4/25(日)→ロス・アルコス / 猛暑の日 22km/€30 公営アルベルゲ @€5×1

 

朝8時前から猛暑です。

425朝から暑い

 

€10紛失事件、元気が出ない

 

昨日の夕方に「今日は頑張ったよね。アイスと2~3日分のお菓子を買ってきていいよ。」と€10を渡しました。Chaiはズボンのポケットに入れました。

そして2人は「ワァーイ!イェーイ!」と叫びつつ、疲れた足もなんのその。スキップをしながら、道向こうのお店の群へ消えていきました。

わたしは歩き終えたハッピーで緩み、外のベンチで座り待っているつもりが、どっと疲れが噴出し、こっくりこっくりと船を漕いでいました。

 と、それも束の間。んん? Chaiが真っ青になって戻ってきました。

ごめんなさい、ごめんなさい。道の途中で€10落としちゃった。お店でお金を払おうとして、ないってわかって。大急ぎで来た道を戻って探し回ったのだけど無かった。ごめんなさい、ごめんなさい~。

Chai

と泣きじゃくっている。

横にうなだれたDen。

いいよ、いいよ。気にしないでさ。誰だって、たまにそんなことあるんだから。

Kumi3

そのあと、3人で再びお店へ繰り出し、パンと念願のアイスを購入しました。無邪気にうひゃうひゃと頬張るDenとは対照的に、Chaiは自分の失敗を許せず、落ち込んだままでした。

そして、一夜明けた今日、10ユーロ紛失事件を引きずったChaiの足取りは重いように見えました。いつも先頭をすたすたと歩くのに、Denに抜かれています。

今日はあまり進めないかな、、、。私はそう感じ10km歩いたところにある山の頂にあるアルベルゲに泊まる計画にしました。

 

公園の神様

 

歩き出して2時間ぐらい、通りがかった公園で休むことにしました。

ところで…。私はトイレが近いのです。物影でプライベートタイムをしようと、キョロキョロとナイスなスポットを物色していたのですが、、、。

 

425公園ベンチおじさん

ダメだ。向こうのベンチにおじさんがいるではないか…。

 

ここは座って、ひと休みするだけにしよう。

 3 人はベンチで、お互いに寄りかかって座りました。今日は暑さが厳しく、より荷物が重く感じられます。私たちは見るからにヨレヨレにへこたれていました。

すると、ベンチに座っているおじさんが、トコトコと近付いてきました。

「な、なんだろ?」

 おじさんは、私たちに大きなバケットパンとチーズとハムを差し出し

「★○×♪◯×~☆◯△×@#●~」スペイン語で何か言っています。

スペイン語、わからないのよ、全然ダメなんだよ~!

Kumi3

そう身振りしながら見ると、おじさんの眼差しはとても温かいものでした。

 うん!なんとなく言ってることがわかりました。多分こうです。

「わしはサンチャゴ・デ・コンポステーラの大聖堂に行けないけれど、わしの代わりに巡礼に行ってきておくれ。大変だけど頑張ってな。」と。

「わかりました! ありがとうございます。有り難くいただきます!」精一杯の身振りと手振りで気持ちを伝えてみました。

ChaiもDenも同様に「グラシアス!」と嬉しそうに言いました。

おじさんはニコッと微笑むとスタスタと行ってしまいました。

 

初めてお布施をもらう

 

私はえらくコーフンしChaiとDenに言いました。

「こういうのをお布施というんだよ。もらう側がありがとうという感謝の気持ちを持つのはもちろんだけど、あげる側も貰ってくれてありがとうという気持ちを持つのだよ。貰ってすまないなぁ…とか、あげたんだから!とか、上から目線にならない、お互いに感謝する気持ちのやりとりのことでさ、、、」

聞いてるんだか。「わはは〜っ、うまそう!。」それより何より食糧しょくりょう!

 

425おじさんくれたパン

感激しながらチーズやハムを調べ、ウハウハしていました。 

 

おじさんがまた来た‼︎

 

あれれ?さっきのおじさんが再びこっちへ来るよ。まさか、お金を要求されるのでは?。私は、一瞬で背筋がピンとし、警戒しました。

ところが、全然違っていたのです。

おじさんは「これも持っていけ!」 €10札 €5札の二枚を差し出しました。私たちに手渡すために戻ってきたのです。

「え!いや、それは受け取れないです。ハートだけで十分です。ありがとうございます。」と丁重にお断りしました。

だって、さっきのパンやチーズもおじさんが自分のために買ってきたものでしょう。それなのに、ためらうことなく、私たちに全部渡してしまって….。

ところがおじさんは、私を見据えてから、子どもたちを指さして

「大変なんだから、、。いいから受け取りなさい‼」と強い態度でした。

ChaiとDenの手を取り、それぞれにユーロ札を持たせ「ん。」と頷きました。

 ChaiとDenは、驚いて息を飲むように

えっ、あの、ムーチョ、グラシアス!(本当にありがとうございます。)

Chai

」と言ってお辞儀をしました。

ムーチョ、グラシアス!

Den

おじさんは、安心した表情になり「じゃあな!」と再びスタスタと行ってしまいました。

私は、涙が滲んでしまいました。

神様の姿ってこんな感じなのかな??、、、。

そして疑ったりして本当にごめんなさい申し訳ない気持ちでいっぱいになりました。

 

 代わりに歩く、気持ちを運ぶ

 

私たちはカトリックじゃないけれど、このサンチャゴ・デ・コンポスーラに続く道800㎞を、聖地まできっと歩き抜こうね。そして巡礼に行けない人たちに代わって、気持ちを運んであげよう。そんな役割もあるんだね。

Kumi3

ChaiとDenと話しました。

 

425いろんな話し

私は、スペインの果てで、初めて巡礼者として認められ、初めて巡礼者としての責任を感じました。

 

カミーノの教え

 

Chaiがニコニコして言いました。

昨日、€10無くして、今日 €15もらったね。プラス・マイナス・プラスだね。これカミーノの教えかな。

Chai

なるほど、そうかもしれない…。

この €10紛失事件は「失敗したり失ったりしても、悲しむことなかれ。起きることは、最終的に1+1=3となるのだから。失敗してもきっと良くなっていく、人生はそう信じていけばOK、大丈夫!というカミーノからのメッセージなんだ、きっと。

 

アルベルゲを通り過ぎてしまった、、らしい

 

山道が二股に別れていました。左が山に行けそうです。地図は無し。ガイドブックも初日にパリの空港に置き忘れてしまったから無し。矢印とカンだけが頼りです。

 

425緑に続く道

左の道を歩き出しました。しかし、3時間以上歩いても、山頂にあるはずのアルベルゲに着きません。

 

425茶乾いた道

町も通った覚えがありませんでした。

 

425やっと町伝茶

不安になりながら行くと、やっと小さな町がありBar(バル)が開いていました。

バルのマスターにアルベルゲがある町の名の一覧表の紙を見せ(これ一枚しか持っていない)目的地を指さすと、バルの主人曰く「もう、そこはとうに過ぎてしまったよ。」とのことでした。

えー、いつのまに??

Kumi3

そして「この町には、泊まれるところはない。次の町までは10キロ以上はある。3時間はかかるだろうよ。」と言うのでした。

今日は日曜日です。お店は大抵閉まっています。とにかく、そこのバルで休憩することにし、コーラを頼みました。

 

オリーブのピクルスと出会う

 

周囲を見渡すと、お客さんみんながオリーブのピクルスをつまんでいました。

指さして「あれあれ。」と頼んでみました。

 

425オリーブ

日本では、オリーブのオイル漬け「なんだこりゃ?味がないわっ!」と好きでもなんでもなかったのですが、ここスペインでは「オリーブのピクルス漬け」とでもいうのかしら。程よい酸味と塩味で、バケットやチーズ、ワインにすごく合うのです。「おいしい~!」ここで食べてからというもの、病みつきになってしまいました。

この日から毎回、パンと一緒に買うようになってしまいました。

 

行くか戻るか作戦会議

 

さて、我らは、テーブル囲んで作戦会議をしました。

どうする?。アルベルゲ、通り越してきちゃったらしいよ。この先のアルベルゲまで、あと10キロ以上はあるのだって。行く?もう、2時過ぎてるよ。いつもなら宿に着いてる時間だよね。戻ったほうが、宿は近いかもね。どうする?どうしたい?

Kumi3

 ChaiとDenに聞きました。

2人とも、口を揃えてにこう言いました。

戻るのは絶対にいやだ!

Den

せっかくここまで来たのに‼︎ 私もやだ!

Chai

ママも嫌だよ‼︎

Kumi3

巡礼者は、戻ることはできない。気持ちが絶対に許さないのです。

暑い、重い、肩が痛い、喉が乾いた、疲れた、休みたい… 全てを抱えながらも、それでもなお足を前に出し、前進した歩きの履歴があるのです。

心の中でがんばれ自分!と励まし、一歩いっぽを積み重ねた結果、ここにいるのです。やっとここまで来たんだ!

うん!そうだ、一歩も引けないね。

 

猛暑の下、前進あるのみ!

 

「さ、行くよ!」「OK。」

2時過ぎは、一番暑いさ中の時間。さらに、日曜日なのでお店は全てお休みでした。

ああ!でも、おじさんに貰ったパンとチーズとハムがある。食料はバッチリだ!有り難い。本当に助かった~。

やっぱりあの人、神様かもね。

前に行こう!という3人の想いがひとつに束ねられていて、なんだか強い気持ちになりました。

 

425金網の白犬

金網越しの犬に挨拶。

 

425藪道伝茶

藪の道を抜け。

 

425田舎みち伝茶

田舎道を行く。

 

425麦畑の一本木

どこまでも広がる麦畑。

 

425トンネル

トンネルを越えて。

 

425果てしない

何もなかった...。

 

 トイレ探し、干し草の向こう側

 

途中うず高く積み上がった干し藁がありました。一軒家ぐらいある大きさです。大平原の中にポコリと、たった一つそびえ立っていました。

 さて、再び言いますが、わたしはトイレが近いのです。

 

425積みワラ伝茶

お、この干し藁の向こう側は、死角のはずだ!

ずっと大平原だったから、プライベートチャンス無かったしな~と思い、2人に「休憩!」の号令を掛け、干し藁の向こう側へそそくさと行ってみました。

すると、びっくり! そこは何処もかしこも青空トイレ化していました。残置物を踏まないように歩くのが大変なほど。

 

425積みワラおかん

人って、考えることは同じなんだナと苦笑いしました。

 

町が見えない、失望の上塗りとの戦い

 

くだらない話で盛り上がり、アンタたちが赤ちゃんの頃ね、、といった懐かしのエピソードをせがまれては話し、歌える歌を思い出す限り熱唱し、家の犬、プちゃんに会いたい〜と言っては淋しくなり、、、

そしてだんだん会話が途切れ途切れになり、しまいには誰も何も話さなくなりました。

歩く歩く、休む歩くが、歩く休む、休む歩くに…。そして休む、休むになっていきました。

きつい。肩が痛い。足がつらい。どこまで続くんだろう?朝の7時半から歩き出し、今4時半。この暑さ。

それなのに水はもう無くなってしまいました。子どもたちの体力の残りは足りるだろうか? 

 

425伝茶

先が見えない不安が、怖さに変化してきました。

果てしない、なんか果てしない。いつまでたっても宿に着かない。道を間違ったかな、まだ戻ったほうが楽だったのかな?

気持ちの問いかけの波に、押し潰されそうになりました。

ずっと先に町が見えれば、それだけで安心し、がんばることができるのに、今日はずっと先まで何も見えて来ませんでした。

 

425伝茶長い道

町の気配がないのです。あてもなく頑張ることってホント難しいんだ。

せっかく踏んだ一歩が、報われた気がしない。そんな失望感が積み重なっていきました。

 

425伝道でダウン

やる気が湧いて来なくなりました。

あー、喉乾いた、暑い、肩が痛い、足が疲れた、もう9時間も猛暑の中を歩いてる!

 

425伝叫ぶ

うわぁおおお〜

私も叫びたいよ!

 

 脳が考えるのを止める

 

こういう時、脳は思考をストップさせるようです。

徐々に過去、先のことといった考え事が一切できなくなってしまいました。

425伝茶後ろ姿

見た景色が、そのまま自分の中を通過していくようです。景色と自分の境い目が無いような感覚でした。

 

425伝茶ワインディング

呼吸と足だけ動かして、歩き続けました。

 

 水って何ておいしいんだろう‼︎

 

田舎道がだんだんと町になり、やっと水道をみつけました。

425水発見

「わああーい!。」歓声を上げて走り寄り、それぞれに水をゴクゴクと飲みました。

砂漠のカエルのように生き返る~! 身体の隅々まで水分が滲みていくと、しぼんだ気持ちも広がってきます。生命力がみなぎってくるのを感じました。急に笑顔と言葉が出てきました。

水って何ておいしいんだろう‼︎‼︎

もう少しだね。頑張るか!そんな言葉も出るようになりました。

 

宿代は1人分でOK

 

やっと町が近づいてきました。

425伝茶ロスアルコス看板

ロス・アルコスの町の看板が出てきました。

 

425町並み出発

アルベルゲを探そう。

 

ロスアルコス教会2

ロスアルコスの教会の近くに見つけることができました。

公共のアルベルゲでした。オスタピレロは「暑くて大変だったね、大人1人分だけでいいよ!」と言ってくれました。

やったー!

クレデンシャルにスタンプを押し、ベッドが決まると、やっと休めるのです。それを噛みしめたとき、シアワセ感がダワワ~と全身に押し寄せてきました。シャワーを浴び、洗濯を済ませ、フリータイムです。

6時になっていました。今日はBar でディナーを食べよう。

町の探索に出ました。バックパックを背負っていないカラダは、風が吹けば傾きそうです。足がフワフワした変な感じがしました。

 

 疲れ過ぎて食べられない

 

教会の広場のBarで、イカのニンニク炒めを頼みました。空腹なはずなのに疲れすぎて、Denはパンを持ったまま料理を前に、手が止まってしまいました。疲れすぎて、お腹がすきすぎて食べられないのです。

 

425ご馳走たべれん

Chai が食べ始めました。おいし~!、

すると、Denもすこし遅れて目が覚めたように負けじと食べ始めました。

「おいしい、おいしい~!」の連発です。わたしも今日二度目のオリーブを注文し、パンと一緒に食べました。三人とも全てを出し切ったいい顔になっていました。

余裕が出てくると、今日のつらさや公園のおじさんのことを思い出しました。

おじさんの食料がなかったら、もっと大変だったよね。おじさんのためにも頑張って歩かなくちゃ

Chai

さらにまた、感謝しました。

今日は脇道に入り込んでしまい、トータルで30kmぐらい歩いてしまったようでした。

 

仲間と気持ちをシェア、言葉が通じなくても!

 

アルベルゲのテーブルでは、皆、今日の暑さと果てしない道に苦労したようでした。気持ちをシェアしたい気分だったのでしょう。

 

425宿食堂

いろんな国籍の見知らぬもの同士、なんだか集まってきては赤ワインで乾杯をし、ワイワイと賑やかな夜を過ごしました。

 

この記事を書いている人 - WRITER -
アバター
スペイン巡礼の道は子どもと一緒に歩くことが出来ます。英語もスペイン語もダメな母は、二人の子どもの知恵と勘を頼りに歩いた2か月、930km。毎日が驚き、感激、悩み、ケンカの連続。記事を読んで笑えたり、旅気分を味わってもらえたら嬉しい!と思いながら作るサイトです。Kumi3の絵本作品、他の子連れ旅も掲載していきます。
詳しいプロフィールはこちら

- Comments -

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です