50/60カミーノ足のマメ水ぶくれ対処法・曲がったナイフ怒りメラメラ
6/4(金)→ペドロウゼド・アルカ 朝の起き待ち 21.5㎞/€36 公営キッチン道具あり€5×3
朝5時20分、寝袋の中で目を開きながら、いつ起きようか、タイミングを探していました。
ここのところ、疲れ気味ね…、Chai、Denもそうよね。無理に起こすと機嫌悪くなるかな〜。
などと考えていると、意外にも二人は、5時半にはモソモソと起き出し、寝袋をたたみ、足にクリームを塗るマッサージをし、着換え、6時15分には出発することができました。
Denは、ずいぶんと支度が速くなったな〜と感心しました。
サリアからは西はひたすら歩く
外がまだ暗い中、出発しました
まだ6時半になっていませんでした。
朝食も取りません。まだあたりが暗いうちに距離を稼ぎたいのでした。
少しずつ明るくなって 来ました。
道は舗装路が続きました。
歩きながら、トマトをかじりました。
「ヒヒ~ン!」町なかの空き地に、馬もいるんだね!
何回か顔を合わせていたKoreaのお兄さん二人は、会えば必ず声を掛け応援してくれました。
「おお、頑張れ!サンティアゴはもう少しだからね!!」
ひたすら歩くあるく~。 サリアから西は、とにかく早い時間に距離を稼ぐよ~!
子どもがいるお父さん
ママ~、遅いよ~!
今8時?前のほう、もうあんなに人が歩いているね。
これ、意味不明ね??
朝ごはん休憩はまだまだ。チュッパチャプスでエネルギー補給!
天気が今ひとつだね。雨が降らないといいけれど…。
自然と一体化した石の壁だね。
背の高いおじさんと、しばらく一緒に歩きました。
名前は知らないけれど、時々顔を合わせ挨拶を交わしていました。
この日は、お財布の中から写真を取り出し見せてくれました。かわいい4,5歳の男の子が写っていました。
「うちも子どもがいるんだよ。まだ小さいけどね。カミーノが終わって会えるのが楽しみだよ!」
足のマメ、水ぶくれの実験の結果
4、5日前から足の両側の小指に、全く同じ大きさのマメができてしまい、皮の下にプクプクに水が溜っていました。
中の水がはち切れそうでした。
もう、プチッと切ってギュッと水を押し出したいわ~!
昨日の夜、右片方だけ水を出し、左片方はそのままにしておきました。
どちらの手当てが正解なのかしら…。
マメの手当て実験の結果がきょう午前中、10㎞歩いてわかりました。
マメは切らないほうがよろしい!
どんなに水ぶくれができていても、そのままが良いのでした。切って水を出した右足小指のほうが、
歩くと2倍痛いのでした。
これは、足のマメの5日後の写真です。
☝左側は、水を出さなかったほうです。自然に水が出て傷口がふさがりました。
☝右側は、皮を切って水を出したほうです。皮が水を出した小さな切り口から次第に破れ、切れて無くなりました。すると、歩く度にマメの中の部分がダイレクトに靴底に当たる、靴の中のホコリが入る、などで傷口が刺激されました。それで痛みが続き、傷口のふさがり方も遅くなりました。
歩いている途中、足のトラブルで巡礼を断念する人に何人か出会いました。
ちょっとした靴擦れが、我慢して歩くうちに、潰瘍になってしまった人…。
痛い足をかばって歩いた末、ひどい腰痛が出てしまった人…。
そうしたことで、歩けず休んだ日々で予定が狂い、サンチャゴまで休暇の日程が足りなくなってしまったという人もいました。
小さなことでも、
足のトラブルはあなどれないのでした。
どんなに急いでいても、出発の朝、DenとChaiの足クリームマッサージは欠かすことがありませんでした。
そうやって、足に潤いを与えてから靴下、靴を履いて出発する、それが今まで子どもたちの足が、無事だったことの一つだと思うのでした。
仮のお父さんとお別れ
お昼前、外に椅子が置いてあるバルを見つけました。
カフェラテ、ホットチョコ、リンゴ、バナナ、クッキー。
私は、とても迷いながら、たどたどしくオーダーをしました。
それを終始ニコニコ聞いてくれたバルのおじいさんでした。
おしゃれなものなど何もないお店だけれど、なんだかとてもホッとしました。
すると、SNおじさんが通りがかりました。
早起きして、猛スピードで飛ばしても、いつもバルで追いつかれてしまうのでした。
カフェラテを飲み終わると、すぐに出発しました。
しばらく一緒に歩いていましたが、SNおじさんは今日、32㎞歩くということでした。
ひえ~、私たちのペースは遅いから、それは無理だわ~。
「では、お先に行ってください!」と途中でお別れをしました。
「また、日本でね!」と声をあげ、SNおじさんは道を急ぎました。
SNおじさん、さようなら~!ブエン・カミーノ!!
コーラとタコ、ご馳走してくれてありがと~う!
私たちの仮のお父さんが、居なくなってしまいました。
4人で歩くと「ファミリーでカミーノ、いいね!」とよく声を掛けられたものでした。
Santiagoの看板は嬉しいけれど…
10時半、だんだんと日が昇ってきました。
Santhiago=サンティアゴの看板です。いよいよ、近くなってきました!
再びSanthiagoの看板です。あちこちに見られるようになりました。
それは、わかったから、今どこなのか表示が欲しい~!
順調にサンティアゴに向かい、距離は伸ばして来ているのですが、今、どの辺りを歩いているのかさっぱりわからないことが、非常にストレスでした。
ガリシア地方は、町の名前や標識が、今までの地方に比べるとかなり少なくなっていました。
おまけにキッチン道具も無いことから、私たちはこの地方に入ってから、あれこれ不満を感じていました。
ワンコ、こっちに来るかな~?
もうそろそろ12時だね。でも止まらないで行こうね。
オレンジのテントの下で、水を無料で配っていました。
わあ、ありがた~い!
この水道の水、飲めるよね。AGUA POTABLEって書いてあるもんね!
途中、看板を載せた台車に音源が組み込まれていて、アルベルゲの宣伝を大音量で流していました。
こんなの初めて見た!騒々しいわぁ~。
人が多くなり、何かとトラブルもあるようでした。パトカー?治安維持のためかな…。
人が道を連なるように歩いていました。みな同じように気が急いていました。
アルカのアルベルゲに、泊まりそびれたら一大事です。
次のアルベルゲまで、10㎞の距離を歩かないといけないのでした。
うわあ~、人がいっぱい!アルベルゲの定員に入れるかなぁ?
う~ん、今どのへんを歩いてるの~?
歩きながら、看板や矢印の中に地名を注意深く探すのですが、なかなか見つからないのでした。
あっ、また羊!
アルベルゲの看板が見えてきた!
わあい、思わず手を取り合い急ぎました。
巡礼ゴールの街、サンティアゴまであと二日でした。
アルベルゲアルカ
13時10分、ARCAという看板のアルベルゲが見えました。目指している町の名前でした。安堵した気持ちになったものの…
定員に入れるかな?
入り口まで、荷物を置いて並んでいる人が大勢いました。定員は125名でした。
「あんたたちは大丈夫さ!」とおじさんたちが言ってくれました。
あ、前のほうにホセがいるよ!
「君たちはセーフティーだよ!」と、教えてくれました。
昨日のアルベルゲで一緒だった、ニコラスが来ました。
「僕のバックパック、背負ってみるかい?20㎏あるよ!」
うわぁっ、重い~!!!!!!
アルベルゲの入り口に、車が停まりました。馬の干し草を運ぶサービスをしている車のようでした。
馬の巡礼者は、馬の食事の手配もしないといけないのね~。
14時、オスピタレロが来て、やっと受付が始まりました。
受付を済ませると、ホッとしたChaiとDenはベンチにすわり放心状態になってしまいました。今日は、朝からバルで15分休んだきり、ずっと22㎞を歩いてきたのでした。
シエスタに訪問者
隣にスーパーメルカド(スーパー)がありました。私は荷物を置くとダッシュで向かいました。
しかしちょうど2時でした。メルカドはシエスタで閉まってしまいました。5時まで開かないということでした。
それではとランチ、シャワー、洗濯、荷物整理といった今日のルーチンワークを終えました。
今日はシャワー浴びなくてもいいや。もう、クタクタ…。
ほんとに、へとへと。疲れていました。
私たちはみんなで昼寝をすることにしました。
気が付くと夕方5時を過ぎていました。お隣のお店、メルカドが開く時間でした。
は~い、起きて起きて~!
とChaiとDenに声を掛けたのですが、よっぽど疲れていたようでぐずぐず、ごろごろ、二人ともなかなか起きられませんでした。
もう5時半になってしまった~と、ふと部屋の入り口を見ると、ピノが覗き込んでいました。 わ~!Den、ピノがいるよ!
え、ほんと?
ピノは、ここのひとつ手前のアルベルゲにチェックインしたそうです。しかし、まわりに何にもお店がないので、ヒッチハイクでこの隣のメルカドに来たのだそうです。
メルカドの前のイスとテーブルで、お腹いっぱい食べたあと、もしやこのアルベルゲに私たちがいるかもしれないと、オスピタレロに聞いてみたのでした。
「日本人の子連れ3人は来ていないですか?って聞いてみたんすよ。」
すると、オスピタレロは
「いるいる!」と、この部屋を教えてくれたそうです。
へえ~、ちゃんと、見ているんだね。珍しいものね、私たち。
ここのキッチンは、久しぶりに道具がそろっていました。メルカドもあるので、自炊で好きなものが食べられます。
ホワイトパスタが食べたいというChaiからリクエストがありました。
食材を集めに、みんなで買い物に出掛けました。
スペインのお土産テュロン
Chaiは、ここで「トゥロン」という、ナッツの板チョコキャラメルのようなものを発見しました。前にアラン先生が教えてくれたスペインにしかない名産品でした。
クルミ、ヘーゼルナッツ…etc。様々なナッツ味のものがありました。いちばん食べやすそうなアーモンドのテュロンを選びました。
他、パン、パスタ、ミルク、ツナ缶、チーズ、トマトなどを買いました。
ナイフ事件ぼっ発
キッチンがあるなんて久しぶり!料理するのが嬉しくなるわ~。
ChaiとDenはツナ缶が好きでした。今日買ってきた缶詰めは…と、
あらら?
缶を開けるためのプルトップが、付いていませんでした。
まわりをキョロキョロ見回すと、缶切りなどを使っている人はいませんでした。
皆、ナイフを缶にぶっ刺し、ワシワシとエッジに沿って切り開いていました。
なるほど…、ここではそうなんだ!
Den、ナイフ貸して~。
オッケー。
見た目はスイスアーミーナイフっぽいのですが、置いていってしまうぐらいなので、100円均一にあるようなものでした。
私はツナ缶のはじに狙いを定め、勢いよく刺し込んでみました。
グサッ!
あっ!
なんと!
ナイフがくにゃっと曲がってしまいました。ヤワなのでした。
横でDenが ああっ~! Denのナイフがぁあ !!
Denのナイフううう~!
隣で料理をしていたお兄さんが、それを見て
「僕が開けてあげよう!」と自前のナイフで、ワシワシとツナ缶を切り開いてくれました。
見るとそのナイフは、サバイバル用というか、海でカキでもこそげ取るような、とてもごつくがっちりしたものでした。
Denの果物しかむけないようなナイフでは、そもそも無理だったのでした。
グラシアス!
Denの目は
怒りでメラメラと燃えていました。
ごめんね、曲がっちゃった~!
もおおお!Denのナイフ曲がっちゃったじゃん、う~ん、ううっ!!
私は謝ったのだし、わざとでは無いので努めて普通に食事の支度をすすめました。
できたよ~。いただきま~す!
Denは、夕食が始まっても、できあがったパスタ、トマトとツナサラダにまったく手を付けず、コーラだけを飲み私をにらみつけたまま、ブツブツと恨みの呪文を唱えていました。
もおお、Denのナイフ、ママが曲げた~。Denの大事なのに。Denのナイフ、ママが勝手に~。Den のナイフ、もおお、許さないから。Denのナイフなのに。せっかくゲットしたのに。もおおおお!…
私は、ついに怒りました。 一生けんめいご飯を作っている最中に起きたことでしょ!わざとDenのナイフを壊そうなんて思ってやったのではないでしょ!これは事故でしょ。謝ったのだし恨んでも仕方ないでしょう。お気に入りのナイフが壊れて残念なのはわかるけど、イジけてまわりをずっと嫌な気持ちにして、Denはそれでハッピーッなのっ?
Denは顔をあげると、私をにらみつけ無言で食べ始めました。
ツナやパスタ、トマトを口に詰め込み詰め込み、まるでハムスターのようにパンパンに膨れた頬になりました。詰め込み過ぎて、噛めないし飲めないしで、涙目になってもまだ、怒りの炎はメラメラと燃えていました。
それがまた見苦しくて腹が立ちました。
横でChaiは、鍋の中にも残っている、たっぷりのホワイトパスタが余ってしまう~とお皿に盛り
誰か食べる人いませんか~?
わたしは今、怒っているのですが…、
こんなChaiの姿に内心プッ!と吹いてしまいました。
Chaiったら、ずいぶんとたくましくなったもんだわ~。
救世主ホセ再び!
しかし、まだDenとのにらみ合いは続いていました。
Denは、パンパンに膨れた頬で目をシロクロさせ、飲み込むのに必死になっていました。
そこへ、ホセとその友だちが
「エロスキ・スーパーマーケットへ行くけど、DenもChaiも行かないかい?」と声を掛けてくれました。
Denは「チャンス!」とばかりにスルリと食卓を抜け、Chaiとホセの後に付いて行ってしまいました。
まったくもう!「ごちそうさま」も言わないで!でも…、険悪な食卓の幕引きが上手くできたわ~。
ホセ、またまた、ありがとう‼
私もクールダウンが必要でした。
彼らは夜、10時半ぐらいに帰ってきました。
Denは、ポケットに入れていた1ユーロでチュッパチャプスを買ってきたようでした。そしてホセたちが、あれこれご馳走してくれたのでした。
花火やってたんだよ~!
へえ~、いいもの見れたね!
バルに行ってね、コーラとお菓子をごちそうになったよ。ホセの住むメノルカ島ってすごく綺麗なところなんだって。遊びにおいでって言ってくれたの!
ホセのおかげで、私たちはいつも通りの3人に戻りました。
カミーノはいつも誰かが、いろんな形で助けてくれるのでした。