15/60サンティアゴ巡礼はマイペースでOK ・オスピタレロの大歓迎!

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4/30(金)→ナヘラ 夜明けはゆっくり 16km/€24 川添いアルベルゲ 寄付 €5
アルベルゲのキッチンのテレビ台の下に、私とDenはズボンを一本づつ置いてきました。そこは『リサイクルコーナー』になっていました。
少しでも軽く!
7時には、アルベルゲを出発しました。
緩やかな坂を下りて行きました。
久しぶりに朝焼けを背中に歩きました。
朝、8時ぐらいでもまだ薄暗く、車はヘッドライトを点けていることもありました。
ちょっと待って、靴に石が入ってる〜。Den
便利なスポーク!スウェーデン製
歩き出して1時間、ベンチを見つけ朝ごはんにしました。
パンとチーズとヨーグルトでした。
スプーンはこれ、プラスチック製のスプーンフォークでした。
日本で買いました。軽くて丈夫でヨーグルトや煮豆の瓶詰めなど食べる時、重宝しました。
素朴な田舎道
ナバラッテの街は、赤い粘土質の土が産出します。
陶器屋さんを、いくつか目にしました。
立派な番犬、なんか強そう…。
ヒヒーン、おはようございま〜す!
田舎道は続きました…。
丘から見下ろす景色。ぶどうの苗がそこいら中に植えられていました。
秋にはきっと、ブドウがたわわになるのでしょう。
カミーノは人に合わせなくていい
私たちは、カミーノでずっと毎日、24時間一緒に生活をし歩いてきました。
たいていのことは、話し尽くしてしまいました。だんだん話す事が無くなってきました。
自然と私たちは、皆それぞれの速さで歩くようになりました。
Chai 、Den、私の順でした。
歩幅と歩速が違うのです。
親子といえども、合わせていられなくなってきたのでした。ずっと並んで歩くということは、意識しないとできないのでした。
人と合わせてないでいいよ。
「自分のペースで歩けばいいんだよ〜。」
と、カミーノが呟いているようでした。
緑が麦畑、茶色がブドウ畑でした。
増える巡礼者
なんか、人が多くなったね。
Den
田舎道で前にも後ろにも人影があるなんて、今まであんまり無かったよね…。
Chai
道が平坦で、前と後ろが遠くまで見渡せるようになってきた、というだけではないようでした。
4月、5月は巡礼を始めるのにベストシーズンです。
アルベルゲのベッドの空き状況が、心配になってきました。
カミーノで道草、公園、トイレ、犬…
アルベルゲに少しでも早く着かなくては…。
という気持ちとうらはらに、私たちは、歩くのが遅くなってしまうのでした。
それには理由があります。
その1:公園で遊びたがる人。
わーい、公園だ!遊んでいこう!!
Den
その2:トイレ休憩がやたら多い人。
お待たせ~、バルでトイレ借りて来たわ!Kumi3
その3:犬好き。早く歩きたい派のChaiですが、犬を見つけたら話しは別です。
あら、いい子だねぇ〜。Chai
かゆいの?ここかな?シャカシャカシャカ〜!Chai
そんな訳で私たちは、道草の多いカミーノなのでした。なかなか先に進まないのでした。
アルベルゲがいっぱいになっちゃう‼︎
Den
道案内のおじさんの正体は?
ナヘラの町に入りました。
なかなかアルベルゲが見つかりませんでした。
あ~ん、もう少しのはずなのよ。アルベルゲはどこ~?
Kumi3
向こうにいるおじさん、私たちのことを呼んでいるみたい。
Chai
「こっちへ来い!こっちへ来い!」と手招きするおじさんがいました。どうやら道案内をしてくれるようでした。
3人は、おじさんに付いて行きました。
ナヘラ川を渡りました。
5分ぐらい歩くと、アルベルゲに着きました。
すると、おじさんがカウンターの中に入り、クレデンシャルにスタンプを押してくれました。
わあ!おじさんオスピタレロだったの⁈
Den
おじさんは私たちを大歓迎してくれました。何かと気にかけ、構ってくれるのでした。
「パンはいるかい?」「チョコバー食べな。3本ずつ取って。」「メルカドの場所はね…。」「残ったパスタ、持っていきなさい。」「ベッドから落ちないかい?」「これがスパニッシュオムレツ、食べて食べて。スペインの代表的な料理だ!」「ホタテ貝のバッチあげよう。」 ムーチョ・グラシアス!Chai
気の毒な近所のちびっ子たち
おじさんの姿が見えないと思ったら、近所からDenと同年代のちびっ子たち3.4人を連れてきました。
そして、地元のちびっ子たちに
「ほら、見てごらん!この子たちはな、日本からはるばるカミーノを歩きに来たんだぞ!お前たちも見習いなさい!」
どうやら、そんな事を言っているようでした。
ちびっ子たちは「は~い、わかったよ~!」といった返事をし、おじさんの話しが終わるとピューッ!とクモの子を散らすように居なくなりました。
あら~!ちびっ子たち、余計なお世話だったわよね〜。Kumi3
おじさんの感激ぶりに、私は苦笑いしてしまいました。
オスピタレロが、そうやって私たちを大歓迎し盛り上げてくれたので、他の巡礼者たちも好意的に気にかけてくれました。
「ジャパンから?ずいぶん遠くからきたね~!」
「よう、頑張ってるな〜、ちびすけ!」
「ハ〜イ!写真撮ろうヨ!」
一緒に、わいわいと何枚も写真を撮りました。
シャワーの当たりとハズレ
今日は、日差しが薄く寒い中を歩いてきました。
アルベルゲに着いてからの一番の関心事は、
シャワーが「当たりかハズレか」という事でした。
潤沢に温かいお湯が出てくると、もうそれだけで最高!ハッピーになりました。
それで、私たちはシャワーの造りに詳しくなりました。危険なタイプは、タンクにお湯を溜める仕組みのシャワーでした。ナヘラのアルベルゲは、まさしくそれでした。
Chaiと私が浴びた時は、温かいお湯が出ていい調子でした。 温まったー、シアワセ〜! ぎゃあああ!Chai
Den
公園の謎
ナヘラの町は、川沿いに芝生が続いていました。
橋を渡り、街の探索に出かけました。
スペインでも、子ども向けにお祭りの屋台のようなお店がありました。
日本の駄菓子屋さんみたい~。
Den
少し、涼しかったのですが、エロスキ・スーパーマーケットで1リットルで98セント(120円ぐらい)のジャンボアイスクリームを買い、芝生に転がりながら皆でスプーンで食べました。
わあ~い、シアワセ〜!
Chai
食料品店で、お菓子を買いました。
カミーノはタイムマシーン
川沿いに細長い公園がありました。
私たちは、カミーノを歩く巡礼者の中で、
誰よりも公園で遊んでいる!という自信があります。
そこで、毎度のように思う「謎」がありました。
前に寄った公園にもあったよね? ここにもある!
Kumi3
公園に卓球台があるのでした。
しかも雨ざらしで…。
スペインって、卓球が人気なのかな?
Chai
あーん、ラケットと玉は自分で持ってこなくちゃダメなのか~。
Den
芝生を散歩し、ブランコに乗りました。
今日を歩き終え、洗濯もシャワーも済ませました。
私たちは巡礼者で旅人でひま人でした。
物やお金は無いけれど時間はたっぷりあるのでした。
全く時計も見ず、のんびりと好きなだけブランコで遊びました。
子どもの頃に戻ったみたい‼︎
カミーノはタイムマシンになってくれたな〜!
そういやぁ、子どもたちが小さい頃はよく公園に連れて行ったなぁ。あ~懐かしい…。日本では、忙しくしてしまって、ブランコを見ても通り過ぎていたわ。そうね、ここ何年も!
Kumi3
スパニッシュオムレツを知る
さらに、夕飯の食材もエロスキで調達しました。
ご飯を炊き、チキンのソティーを作りました。スタミナ定食!
スペイン人のおじさんが、上手に大きなスパニッシュオムレツを作っていました。玉ねぎとジャガイモがたくさん入った甘くない卵焼きでした。
「スペインの代表的な料理だよ。ほら食べて、食べて~。」とご馳走してくれました。
ブエノ!おいしい!いい塩梅の塩あじ!
Kumi3
ここで私たちは、初めて本場のスパニッシュオムレツを知るのでした。おじさんの話だと、塩を入れる派と入れない派とあるとのことでした。
柵が無いベッドとイビキ問題!
3人分のベッドの割り振りは、下の段1つ、上の段2つでした。
2段ベッドは二つがピッタリとくっ付いていました。そして恐ろしいことに、ベッドの横に転落防止の柵が付いていませんでした。
ベッドに柵があっても、Denはいつも下段に寝るようにしていました。とても寝相が悪いのと、夜中に必ずトイレに行くからでした。
一人で行くのは心細く難しいので、私が暗闇の中、小さなランプを点けトイレまで誘導をするようでした。
今までは、ベッド下段2つに私とDen、上段にChaiというパターンでベッドが取れていました。
また、2段ベッドの下段は何かと便利でした。荷造りする時、トイレに行く時、タオルを干す時、早朝に出発する時も、ササッと行動できるのでした。
そんな訳で、皆なベッドの下段を狙っているのでした。なかなか、そこは変わってもらえません。
今回は下段が一つ、ベッドもくっついています。誰が寝たらいいだろう…。 隣にどんな人が来るかを見て考える~。Den
寝相が悪いDenは、下段の方がいいかな…。トイレにもいくだろうし。 あ~万が一、隣のおじさんを蹴ったりしたら、マズいわ。Kumi3
けれど、柵がない上段から落ちるのも怖いし...。
すると 上で寝たい!今まで上で寝てなかったもん。それに、隣のおじさんがいびきをかいたら嫌だよ‼︎Den
たしかに、近くに爆音のいびきをかく人がいると、もう最悪でした。真夜中に、まわりの人の頻繁な寝返りのゴソゴソ音と、絶望的な溜め息が聞こえてきます。それを知っている私も、やはり眠れなくなったことが度々あったからでした。 そお~お?じゃ、私が下の段ね…。Kumi3
私は、子どもたちが落ちるかもしれないと、心配で気が気でありませんでした。ベッドの柱にショールや洗濯用のヒモやタイツなど、長いものを、二重三重に張りめぐらしました。
その晩、隣のおじさんはイビキをかかず、静かでした。
しかし私は眠りが浅く、夜中に5、6回起きては、上段の様子を窺いました。誰も落ちることなく、無事に朝を迎えることができました。