18/60サンティアゴ巡礼でパエリアの作り方を教わる
5/3(月)→トサントス 肩が痛くなければ歩ける! 17.4㎞ / €14 歌とミサの宿 寄付€3
7時過ぎに起きました。サクサクと出発支度を済ませました。
それから朝食です。カモミールティー、サンドイッチ、バナナを食べました。
キッチンは座る所が無かったので、仕方なく立って食べました。
最近、発見したことがありました。
それは 肩が痛くならなければ、どこまでも歩ける!ということでした。
昨日、道の途中のおやつに…と買ったバナナ1房も
持って歩くには重すぎるわ~、バナナのせいで肩が痛くなったら大変!
買い物の時、買いすぎちゃったんだよ、ママは…。
雨が止んだだけでハッピー気分!
朝8時、出発しました。
朝から小雨が降っていました。ガッカリ…。 でも、昨日はたっぷり寝たから、今日はエネルギーいっぱいだよ!
カッパを着て出発しました。 向こうの空が明るいから、晴れてくるかもね!でも、寒~い!
雨が降ったり止んだりでした。風も吹いてきました。
カッパのフードが外れないようにと、帽子のつばに洗濯バサミで留めました。
やった!雨が止んだよ~!!
雨の中を歩くのと、そうでないのとでは、疲れ具合が雲泥の差なのです。
よかった~!雨があがったね。
そんなことだけでも、ささやかなハッピーを感じるのでした。
道の途中の何でもない家なのですが、緑のドア上の丸い造りが、素敵~。
町のシティホールかしら?黄色いポストがあるから、郵便局かしら?
しばらく歩くと町は終わりました。
再び田舎道になりました。道は舗装路でした。
雨上がりに、嬉しがっている小さな生き物もちらほら…。
あっ!ミミズ、踏まれちゃうよ~!
コラカオ・Colacaoとの出会い
雨はいったん止んだと思ったのですが、再び降ってきました。
万国旗がいっぱい立ち並んだBar(バル)を発見しました。
日本の旗は無いね~。ざんねん。
3人はテーブルに座りました。今日は雨と風で身体が冷えきっていました。
うひゃ~、寒かった~。温かいものをたのもう~。
今まで暑い日が続いていたので、子どもたちはバルでオーダーする飲み物は、コーラかオレンジジュースでした。ちなみに私は、夏でもいつでもホットコーヒーと決まっていました。
まず私が注文しました。
ウノ カフェレチェ (ミルク入りコーヒー1つ)
バルの店員さんは、子どもと見るや
「ドス(2つ) コラカオね!」と
勝手に決めてしまいました。
出て来たのは、ガラスコップに入ったホットミルクと
黄色い Colacaoと書いてある袋でした。
どうやら、自分で袋を破り、ホットミルクに入れてかき混ぜるのでした。
これがスペインのスタンダードなホットチョコレート、「コラカオ」でした。バルでは子どもの飲みものとして、当たり前になっていました。ココア粉と砂糖が調合してあるものでした。
カミーノのどの街のどのバルでも、ホットチョコレートを頼むと、ホットミルクとコラカオの袋が出てきました。
でも、なんで熱いミルクがガラスのコップに入っているのだろう…。
それが、コラカオの決まったスタイルなのかもね…⁈
こんな大きな容器のコラカオもありました。アルベルゲのキッチンで大人もよく飲んでいました。
ほか、ボカディージョ=バケットのハムサンドイッチを食べ、心もお腹も満たされました。
バルの前に、機関車にデコレーションされた自動車がありました。
男子、こういうの好きよね。
コウノトリの巣と教会
おや、教会の上に巨大マイク?
いえ、違います~。コウノトリの巣でした~。
通り過ぎる町
途中の町で、パン屋さんを発見しました。焼き菓子もあり、シュークリームを1つずつ食べ、ハッピーになりました。
さらに、焼きたてのバケットパンがありました。夕食と明日の朝食にするため、欲張って3本買うことにしました。ビニールの手提げに入れて持って歩きました。 かさばるけれど、軽いから大丈夫!
道路は工事中でした。
カッパは、バックパックにくくり付け、雨に備えて歩きました。
道路に並行した巡礼者用の道がありました。
雨の草っぱらトイレ、神に祈る
雨が降ってきました。足元は泥んこ道でした。
見渡す限り草っぱらの一本道でした。 あー、トイレ行きた~い!でも、ナイスなポイントがないわ。どこかバルまで我慢しよう…。 あ~でも、もう限界だわ…。
見渡す限り、人が来ないね…。きっと今がチャンス!!!
ChaiとDenは
「もお~、ロスタイム…。」という顔をして
野生の馬のようにうなだれ、雨に打たれながら、無言で立っていました。
私は、草っぱらで神様に祈りました。
神様、人が通りませんように!
お待たせ~。ごめんね~。 いいよ〜…。
泥道ですっ転ぶ
再び歩き出しました。足元をかなり気をつけて歩いていたのですが
水溜りを避けようとして、泥道で足がズルッ!と滑り、右側にべったん!と転んでしまいました。 うわあっ!
先を歩いていたChaiとDenは、私が転んだことに気が付かず、どんどん先へ行っていました。
私は叫びました。 待って~!転んだぁぁ~ ええっ~?
しかし2人は
私を通り過ぎ、草むらのほうへ一目散…。 ああっ!パンがすっ飛んでるよっ! うわっ、でも 、泥ついてないよっ!草の上でよかった。
二人は、真っ先にパンを拾い集めに行ったのでした。
それからおもむろに振り返り「ママ、大丈夫〜?」と聞いてきました。
私は自力で立ち上がり、ティッシュであちこちの泥を振り落としながら 大丈夫よッ!なんだか、さみしい~っ!
寄付のアルベルゲ、トサントス
アルベルゲ、トサントスにたどり着きました。朝8時から歩き出し、今2時半でした。距離は18キロ弱でした。バルで休んだので、だいたい1時間に3㎞ 歩いた計算になりました。
雨が降り、泥んこ道を歩いてきたので、まずまずのペースでした。
ううっ、今日は寒かった~。
トサントスは、古い建物で、部屋にはベッドが無く床にマットが置いてあるのでした。
なんだかちょっぴりボロいけど、雨と寒さから解放されるんだから、いいわね~。
そして、ベッドじゃなくてマットに寝るということは、落ちる心配がなくてむしろいいかも…と思いました。
さらに嬉しいことに
宿泊費は寄付でした。
ありがたい~!
オスピタレロは、陽気な感じのおじさんでした。
シャワーも熱いお湯がジャンジャン出て、身体が温まりました。
しかし各部屋には暖房がなく、寒くてとても居られませんでした。
ダイニングルームだけは、ストーブがガンガンと焚いてあり、暖かくしてありました。皆な、そこに集まり夕食前の時間をくつろいで過ごしました。
Chaiと私は日誌、Denは算数ドリルと漢字ドリルをしながら過ごしました。
Den、苦行、、。
みんなでパエリアを作る
しばらくすると
「みんなキッチンへ集合~!」と号令が掛かりました。ここのアルベルゲは、夕飯の支度を全員で手伝うようでした。
今日のディナーはパエリアでした。手分けをして、具を刻みました。
おばさんに教えてもらいながら…。
おじさんたちも料理上手…。
パエリアの作り方
お兄さんのオスピタレロが
「今からパエリヤを作るから、見においで~。」と声を掛けてくれました。
ニンニクのいい匂いがしてきて、ワクワク!
パエリヤの作り方
骨付き鳥肉、パプリカ、ニンニク、タマネギを15分ぐらい念入りにオリーブオイルで炒めます。(えー、まだ炒めるの~?っていうぐらい。)
水、ブイヨン、米、インゲン、トマト缶、グリーンピース、サフラン、塩を入れて煮込みます。
けっこう水分が多く、米や具がウカウカしています。(ブイヨン、塩は、スープを味見して濃さを決める。)
米が膨らみ、具と馴染んだら出来上がりです。お皿に盛って、レモンかけていただきます。パエリヤ大皿の四すみにレモンを引っ掛けるのが本場、スペイン流!
フレッシュサラダ
レタスをちぎります。トマト、りんご、にんじんを切って混ぜます。
ドレッシングはオリーブオイル、レモンとはちみつたっぷりのドレッシング、最後に乾燥ペパーミントを振りかけました。塩、コショウは使いません。
4か国語を通訳するスイス人!
ソニアはスイスから来た女性です。なんとドイツ語、英語、スペイン語、フランス語を自由に話すことが出来ました。
オスピタレロがスペイン語で何か言うと、各国の言葉で皆にアナウンスをしてくれました。
細長のテーブルに、全員が席に着きました。
パエリアをお兄さんオスピタレロがお皿に盛りました。
みんなの席に、パエリアのお皿を配るのはDenとChaiの仕事でした。
おじさんオスピタレロが言いました。
「皆さんが、自分の国で食べる前に言う言葉や祈りを
順番に言ってください。」それをソニアが各国の言葉に通訳をしてくれました。
一人づつ、順番が回ってきました。私たちは、もちろん日本の食前の言葉、 いただきま~す! いただきます!
宿泊者は16人でした。いろんな国、いろんな家庭の
「いただきます」や「食前の祈り」を聞くのはとても興味深く、楽しく、食卓が和やか雰囲気に包まれました。
居合わせた人々の国はドイツ、スイス、イギリス、フランス、カナダ、日本でした。
それぞれの国の「ありがとう」
パエリアは なんて美味しい~‼
サラダもオリーブオイルとレモンとハチミツとペパーミントの味付けで、とてもフレッシュ!でした。
DenもChaiもバクバク食べて、おかわりをしました。
食事の途中、おじさんオスピタレロがDenを呼びました。
は~い。何ですか?
「デザートをみんなに配るように!」と
青りんごが16個入ったかごを渡されました。Denは、ご指名が嬉しくて、ピカピカの笑顔で椅子の間を縫って廻り、カゴの中の青りんごを1人ひとりに手渡しました。
「メルシー!」
「サンキュー!」
「ダンケ!」
みんな、それぞれの国の「ありがとう!」を強調しながら言ってくれました。
ベジタリアンのお姉さん
カナダから来たお姉さんは、ベジタリアンでした。
パエリアもミルクもコーヒーも摂りませんでした。サラダを食べ、他は自分で持ってきたパンやナッツを食べていました。
特にまわりの人の、余計な関心や干渉もなく、
ごく自然に食べている事が「イイナ」と感じました。
お礼に一曲、日本代表!
お皿の上がカラになっても、みんな席を離れがたい雰囲気でした。
寄付なのに、こんなパエリアまでご馳走してくれるなんて…。 さっきは「ボロい」なんて言ってごめんなさい。
何かお返しができないかしら…。 ねえ、歌おうよ! ええっ‼
「日本代表、お礼に歌います!」
私たち3人は、トップを切りました。
立ち上がり
「シング ア ソング!」と言ってから
いちに~の~さん。ホイッ!
♫上を向いて歩こ~う 涙がこぼれないよ~おぉぉに〜♫
3人でハモりました。これは、お正月に親戚の集まりで歌ったナンバーでした。私が下のメロディを歌えるのでChaiとDenは主旋律を歌いました。
うまくいった…、みたい?
拍手が起こりました。 えへへ!
私たちに続き、赤い服のお姉さんがギターを弾き始めました。
とても上手でした。
イエーイ ‼︎ パチパチパチ‼
ギターに合わせ、おじさんオスピタレロが「ラ・バンバ」を歌いました。
カナダ人のお姉さん2人も、1人がギターを弾いてハモりながら歌いました。美しいハーモニーに、うっとりと聞き惚れました。
次々とみんなが歌い出し、音楽でトサントスのダイニングルームが、わんわんと揺れていました。
最後に、おじさんオスピタレロが
「♫サンタルチア」を熱唱し、賑やかで楽しいディナータイムは終わりました。
屋根裏部屋の細やかなミサ
みんなで夕食の片付けをした後、もう1つイベントがありました。
3Fの屋根裏部屋でミサと瞑想があるというのでした。通訳係のソニアから集合の声が掛かりました。
忍者屋敷のような狭い階段を登り、一列に連なり、小さな屋根裏部屋に入りました。
入り口に置いてあるプリントを手にしました。
それは各国の言語で「祈りの言葉」が書かれていました。
なんと!
嬉しいことに日本語のものもありました。
ろうそくの灯りの下、祭壇を見ました。
それは部屋の真ん中に、木をくくって作った素朴な十字架が一つあるのみでした。それは、オスピタレロのおじさんのお人柄が感じられました。
その十字架を、みんなで囲むように座りました。
ミサが始まりました。
まず始めにオスピタレロがスペイン語で祈りを捧げました。
それから各国のプリントに書かれている「祈りの言葉」を順に読み上げるように言われました。
フランス語、英語、ドイツ語、そして私たちの日本語が最後でした。
「主よ、父なるイエスよ…」
3人でゆっくりとプリントの「祈りの言葉」を読み上げました。
寒い夜、ろうそくの光、静寂の中、声がきりっと響き渡るようでした。
私たちはカトリックではないけれど、読みながら
カミーノを歩いている時に湧いてくる祈りの気持ちを込めました。
他のミサの参加者たちは、西洋人だったので
日本語の響きが独特で不思議な気持ちになったのかもしれません。身を乗り出すようにして、聞いてくれました。
その後、目を閉じ、みんなで瞑想をしました。
とても、気持ちが安らいでいました。
心地良く、いつまでもそうしていたいと感じました…。
しかし、終わりの合図が来てしまいました。
屋根裏部屋の細やかなミサは、とても名残り惜しい気持ちで終わりました。
床に雑魚寝は気楽~!
寝る部屋は、ベッドが無く体育館の体操マットみたいなものがありました。各々が、自分で好きなように敷き、寝袋を広げました。
床マットの上に雑魚寝でした。
「えー、ここしかないの?」といった反応をしている人もいました。
一方、私たちはとても気楽になっていました。
寝ぼけても、寝相が悪くても、ベッドから落ちる心配が無いのは最高でした。
Den、今日は最高だね! うん!
久しぶりに、日本の寝床のように、床の上でストレスなく安眠することができました。