33/60カミーノで迷子、違うと叫ぶ心の声、戻れないには訳がある…
5/18(火)→マザリフェ レオン街とお別れ 21.8km/€14 公営、庭に恐竜 € @5×1
朝ごはんは、昨日の残りのピザをアルベルゲの電子レンジで温めて食べました。
昨日は、スーパーマーケットで買ったピザを「電子レンジで温められますか?」と聞いたところ、電子レンジ売り場へと連れて行かれました。
しかたなく冷たいピザを、芝生に座って食べたのでした。
やっぱり温めたピザって美味しいわ~(当たり前でしょー!)
8時45分、出発しました。
レオンの都会の通りをしばらく歩きました。
アルベルゲが街の中心部から外れていたので中央広場に向かいました。
レオン大聖堂ともお別れです。
レオンは活気あるスタイリッシュな街でした。
建物の何気ない所の彫刻が、また素敵でした。
何人かの巡礼者と、肩を並べました。
サン・マルコス修道院、パラドールを通り過ぎました。
いつか泊まってみたいね!
仲良し老夫婦の後ろ姿にほっこりしました。
しばらく行くと、川に沿った道に出ました。ちょっとした公園に遊具がありましたが、出発が8時半を過ぎていたので、公園で遊ぶのは無しにしました。
午前中に、距離を稼がねば!
橋を渡ると郊外になってきました。
もうすぐレオンの街が終わります。
これは何だろう?昔の牢屋かな…
「今日の道はちょっときついよ〜。水はあるか?パンは持ったか?」鉄板のヤコブが声を掛けてくれるようでした。
カミーノ黄色い矢印は荒野を目指す
今日は天気がいい!
えっと、こっちだよ~!
わあ、どこまでも田舎道が続くね。
青空と菜の花と…、
田舎道のほうが、アスファルトの道を歩くより気持ちいいよね。
と言っているうちに、アスファルトの道になってしまいました。
12時を過ぎていました。ランチにしようと公園のそばのベンチに座りました。
食べ物そっちのけで遊ぶDen…。
暑さでバテ気味のChai…。
再び歩き出しました。途中、二股の道を左の矢印のほうへ行きました。
ゆるい坂道になっていました。先が見えません。
いま何時?
もう1時かぁ~。道の先が遠くまで見えてきたけど、町がないね…。
道は、アスファルトで舗装されている両側が荒野でした。どこか国籍不明な感じでした。
地平線が見えるね…。
カミーノで迷子!道が3通り
13時半ごろ、鉄道にかかる橋を渡りました。
矢印はこういったガードレールにも、書いてあることがあります。ずっと気にしながら歩いていたのですが...。
鉄橋を渡りました。
矢印が見つからず、道が3通りに分かれていました。
あれれ?どれだろう。
どの道も同じぐらいの存在感でした。一つの道を行き、黄色い矢印を探しました。
無さそうね~、と戻ってきました。
もう一つの道も同様に、矢印が見つかりませんでした。
うーん、どうしよう。
車のおじさんが道案内
すると、白いトラックに乗ったおじさんが、わざわざUターンをして近くに幅寄せして止まりました。
そして
「あっちだ、あっちだ!」
とジェスチャーで教えてくれました。
ムーチョ、グラシアス!よかった~。
おじさんの示した道を歩き出しました。
5分ぐらい歩いたところで
でも… なんか違くない?
う~ん、そうかもね…。
すると、おじさんがまだ、別れ道の入り口にいました。クルマの窓から顔を乗り出し、大声で
「どうした?戻らないでいいんだ。あっちだ、あっち〜!」と叫ぶのでした。
私たちは
あ、やっぱり向こうですか??
というゼスチャーをして、おじさんの強く推す道へと踵を返し、再び歩き出しました。
おじさんは、ニッコリしていました。
遠く小さくなっていくおじさんが、まだ私たちを見ていました。
振り返ると
「そうだ、そっちだ!」と手で合図をしてくれました。
私たちは、手を振りながら
オッケー!
と、気乗りしないままズンズン進むしかないのでした。
作戦会議
うーん…。どうも、違う気がするなぁ~。
おじさんの顔が見えなくなっても、見晴らしのよい何もない平地の景色で、おじさんの白いトラックが停まっているのが見えました。
私たちはさらに歩き続けました。
せっかく地元の人が、わざわざ来てくれてこっちだ!と教えてくれたのです。
そうよ、大丈夫!
はてな?を オッケー!に変えました。
きっと、黄色い矢印が出てくるさ。
地元民が言うんだもの、間違いないわ。
私たちは考えるのを止めることにしました。
黙々と歩くことにしました。
しかし、矢印はなかなか出て来ませんでした。
さらに、さらに奥まで距離を重ねました。
うーん、この気持ち、このモヤモヤは…。やっぱり…、違うっ!心の声に従おう。おじさんせっかくだけど、ごめんね!
座って作戦会議をしました。
ねえ、やっぱり違う気がする…。こんなに来ちゃったけど...戻ろう。
うん、そうだね、いいと思うよ…。
いっぱい歩いちゃったね…。
Chai もDenも行きつ戻りつ40分ぐらい歩いてしまった道を戻るのは、とてもがっかりでした。荷物の重さや疲れのダメージも大きいのでした。限られた体力だというのに〜。気持ちが腐りそうでした。
けれど、誰も
「ほら、やっぱり~!」
と誰かに不満をぶつけたり
「もおおお!ヤダッ!」
と、ふてくされる事もありませんでした、
完全に迷子だ!という危機感を、みんな同じくらいに感じていました。
残念だけど、来た道を戻ろう!
そして、これは自分で考えることを止めてしまったことのツケなのだナ。そして、どんな状況でも自分の心の声やカンを大事にして「ノー」と言うことも必要なのだ!と感じました。
申し訳ないけれど、おじさんの考えを断ろう。
引き返す勇気
分かれ道の入り口が近くなりました。停まっていたおじさんの白いトラックは、移動していました。
よかった…。
しかし、どこから見失ったのだろう…。
黄色い矢印…。
しばらく、車道沿いの道を戻りました。
最後に見た矢印まで戻ればいいよね。
あーっ!ここにあったんだ、失敗した~っ!
道を見失う前に確認した最後の矢印の地点に戻りました。
そしてそこから踵を返し、歩きなおしてみると、次の黄色い矢印は、もっと手前にあり別な道を示していました。
その方角は、おじさんの言う通りでした。しかし、平行して道が一本違っていたのでした。
あー、2時間のロスタイムになっちゃったね~。
でも、おじさん見てたから戻れなかったよね。せっかく教えてくれたんだもんね。
私たちはわかる所まで戻るよりほか、手立てはないのですが、3人がそれぞれ主体となって道を探し、団結して迷子の危機を乗り切ったことに嬉しさを感じました。
見渡す限りの荒野
深呼吸をして、残念な気持ちを吹き飛ばしました。
こっちに黄色い矢印あったね。見逃さないように!
黄色い太陽と青空、赤い土が続きました。カゲロウが立ちそうでした。
ママ、水ちょうだい~
Denのペットボトルは?
飲んじゃった~!
あら~、これが最後なのよ~。
土がガレガレした荒野をしばらく歩きました。
暑さで、水をガブガブ飲んでしまい、とうとう無くなってしまいました。
あ~ん、仕方な~い!
ここは、ずーっと続く大地の果てが360°の見晴らせるのでした。
以前は、こんな道に出くわすと
あ~、果てしない…、先が見えない、いつまで続くの〜!
なんとか乗り越えよう!
早く町が出てきますように!と前のめりになって歩いていました。
しかし今回は、気持ちが少し違っていました。
「旅のつらさも、カミーノにいるあいだだけの体験なのよ!」と感じ逆に噛みしめていました。
さっきの迷子の危機を皆んなで乗り切ったこともあり、上機嫌でした。
それに加え、一昨日、見たプレートに
「ゴールのサンティアゴまで、あと307km」という文字がありました。
ああ、巡礼に終わりが来てしまうんだ~!
それで、いちにち1日が、より貴重に感じらるのでした。
あれ、町じゃなーい?
この町だ!と思ったら
やった~!着いた~!ここだね。
アルベルゲを探そう!!
と思ったのですが…、5分も歩くと家の群れはなくなりました。アルベルゲもありませんでした。
ざんね~ん!
再び、左右が草っぱらの景色になりました。
ここで休もうよ~!
オッケー!
もう午後4時でした。日差しはまだまだ容赦ありません。
いつもならアルベルゲでくつろいでいる時間なのだけれど…。
まだまだ道は続きました。
後ろで雲が、さりげなく応援しているよ~!
やっと、町が見えてきました!
今度こそ、だね!
寄付、中庭、プール付き?
ちらほらと家が現れてきました。
マザリフェの町に入ったようです。町名と宿名の紙には
「寄付、中庭、プール付き」と書いてありました。
アルベルゲ探しモードになって歩きました。
わあい、プールがあったら入りたい!
寄付なの?、いいね!朝ごはん付くといいなぁ‼︎
暑さでバテバテの3人はいつのまにか、呪文のように
キフ、ナカニワ、プールツキ!、キフ、ナカニワ、プールツキ!
あった〜!
時間は4時45分でした。歩いた距離は22㎞でした。
朝8時45分から歩き出し、ここまで8時間かかりました。
休憩、道に迷うことで余計に2時間かかったようでした。
なんだか今日は長かったわ~。
唯一、本当にあった中庭は変な恐竜?のオブジェありました。
先に着いた人々が、中庭で日向ぼっこをしていました。
建物は古いけど、雰囲気は悪くないね。なんか面白そう。いいね、いいよね!
オスピタレロは、若いカップルでした。クレデンシャル(巡礼手帳)を出すと、彼が彼女に、いいとこ見せたい!気持ち満々で
「子どもはフリーでいいよ!」と言いながら、スタンプを押してくれました。
宿代は私一人分でOKでした。オスピタレロの彼は、私たちそっちのけで、チューに忙しいのでした。
どうでもいいけど...。
やったね!
ラッキー‼️
古ぼけた木造の宿
薄暗い廊下を通って、二階の部屋に案内されました。2段ベッドが三つありました。
一つ目のベッドにはカーボーイみハットがあって、スペイン人のお兄ちゃんがいました。
私たちのほか、後から女性が一人来ました。彼女は今日、レオンから巡礼を始めたそうです。出で立ち、持ち物がとてもフレッシュに見えました。
なんだか私たちは、服も荷物も切り干し大根のように、くたくたしている気がしました。
外の水道で洗濯をしました。洗って、二人がかりで絞り、さっさ~っと干し終えました。
夕方6時でも、まだまだ太陽が頑張っていました。洗濯物がよく乾きそう!
なんだか、古ぼけた木造の建物は、日本の古い旅館のような親しみを感じました。
ここ、古くてボロいけどなんだか落ち着くよね。いい感じよね。
食堂も、古ぼけた感じが居心地がよく、置いてあったギターを久しぶりに弾いてみました。
♪ルーララ 宇宙の風になる~ (スピッツ:曲名ロビンソン)
なんだか、音楽に飢えていたことを感じました。へたくそギター、でもここじゃそんなの関係ないのよね。
歌うのって楽しい~!
町の探索、3つ鐘の教会
さて、シャワーと洗濯が終わったら、フリータイムです。町に探索に出ました。
小さな町に二つ、向かい合わせで食料品店がありました。どちらも店番のおばちゃんが親切でした。
オリーブとパンとトマト、レタス、ハム、ハンドクリームなどを仕入れました。
町で見た教会は、古くて飾り気のない、素朴なものでした。3つ付いている鐘の屋根にそれぞれコウノトリが大きな巣を作っていました。
その下で子どもと犬がサッカーボールを追いかけていました。
古くても、鳥や人に囲まれ、皆に親しまれている教会でした。
サンミゲルビールとコーラで乾杯
夕食はキッチンがあるので、Denがバックパックの底に大事に持って歩いていたインスタントラーメンを作ることにしました。
やったー!今日はラーメンだ!
もう、ぴょんぴょん跳ねて嬉しがっています。ほんとにラーメン好きね~。
ChaiとDenはコーラ、私はスペインのサンミゲルビールで乾杯をしました。
今日の暑さ、昼間のおじさんと迷子事件、アフリカもどきの荒野を思い出しては、ゴクリ!喉が鳴りました。
3人とも
うま~い!
2キロぐらい行って戻ったので、26㎞ぐらい歩いたかもしれません。
そして、今日の生活費は、3人で€14しか使いませんでした。
ラーメンの味見
夕飯の宴の最中、髪の長い素敵なお姉さんが、私たちのラーメンを覗き込んで
「なに、それ?」とニコニコしながら聞きました。麵がチリチリしているのが珍しかったのでしょう。
これはヌードルスープ、ラーメンです、食べますか?
麺を一本、味見にあげました。フォークでツルンと吸い込み
「おいしいね!ありがとう!」とウインクをして行ってしまいました。
Denが何より嬉しそうでした。
ほらね、ラーメンって最高でしょ!
ピカピカの笑顔でした。
髪の長いお姉さんに薬をもらう
しかし、そんなハッピータイムもつかの間。
夕食後しばらくすると
お腹が痛い〜!
今日の炎天下の下、脱水気味だったからかしら。いきなり爆食いしてお腹がびっくりしたのかしら…?
お腹を抱えたDenの背中をさすっていると、さっきの髪の長いお姉さんが、その様子に気が付き、大きなバックパックから薬を取り出し、Denに渡してくれました。
「これを飲めば大丈夫よ。」
彼女は、ドイツからきたクリスティーナでした。
Denは薬を飲むと、安心感と疲れがドッと出たのか、直ぐにぐっすりと眠ってしまいました。