38/60カミーノでブチ切れ爆発!つかみ合いの親子喧嘩


5/23(日)→ポンフェラーダ 輪になり旅の無事を祈る 23.2km /€9 公営キッチン有 寄付€3
マンハリンの朝、ここは山の中なので空気が清々しく感じました。


朝食が出ました。パン、ビスケットにトマトのジャム、チョコレートクリームを付けました。紅茶、ミントティ、カモミールティ、コーヒー、コラカオ、ホットミルクもありました。


Denはヌテラチョコクリームに夢中でした。
みんなが元気になる嬉しい朝食でした。
支度を済ませ小屋の外に出ました。巡礼者たちが何人もたむろしていました。オスピタレロとマンハリンとの別れが、名残惜しいのでした。みんなでスクラムを組み輪になって巡礼の無事を祈りました。


ハグして別れを惜しみながら、出発したのは8時過ぎでした。
ハグリットが呼んでる!
泊まっていた小屋からレセプションまで行きました。すると、大きなおじさんが (子どもたちはハリー・ポッターのハグリットと呼んでいた。)
「こっちに来てごらん」と手招きをしていました。
ハグリットが呼んでる、行ってみるね!


ハグリットに付いて行くと納屋の前に案内されました。ハグリットが中に入ると、両手に何かを乗せて出てきました。


ミューミューミュ~...


わあああー!


Denは、手の上に乗せてもらいました。おっかなびっくりですが、なんて嬉しそう!


子猫持つの初めて!


Chaiはアレルギーで、目が開かないぐらい腫れたのは8歳ぐらいの頃でした。それから努めて猫に触らないようにしていました。しかし、ここの可愛すぎる子猫の誘惑には勝てず、思わず手に取ってしまいました。
Chai大丈夫かしら~、ドキドキ…。




うわ~、かわいい〜!




ChaiもDenもこんな小さな子猫を抱くのは、生まれて初めてでした。モソモソ動く壊れそうなチビ猫を、居心地よく抱きかかえてあげるのはとても緊張するのでした。けれど可愛くて〜、嬉しくて〜…、ずっとそうしていたいようでした。
そして嬉しいことに、Chaiは目がかゆくなったりくしゃみが出ることもありませんでした。この時から猫にさわれる!大丈夫だ!と確信したのでした。
この巡礼暮らしで体力が付いて来たのと、雨風にさらされて、いろんな耐性が出来てきたのかもしれません。
出遅れちゃうけれど、滅多に無いことだものね。気が済むまで子猫と遊んでいいわよ~!




お母さん猫がジーッ!と私たちを見ていました。


今日も暑くなりそうだニャ~ン!
ハートがあったマンハリン
8時45分に出発しました。


やっと、歩き出しました。


マンハリンはいいところだったね!


水道なし、トイレなし、シャワーなし、電気なし だったけれど、ハート❤があったよね!


素敵な一日をもらったね~!




今日の道は山道でした。


途中、沢から流れる湧き水がありました。
山の水、冷たくて美味しい!




それにしても荷物が重い~。


色とりどりの山道
天気がよく、見晴らしも抜群でした。


あちこちにピンクの花が咲いてるね~。


ちらほら見えるピンクの花、白い花、黄色い花。


素敵な山の景色!


私は、バックパックが重くて遅れてしまうのでした。
ママ、大丈夫?


何度も、聞かれてしまいました。


野原、草、花、石ころの道をしばらく歩きました。


山をどんどん下るとまた山が見えて来ました。


途中、クリスティーナたちと抜きつ抜かれつ歩きました。
マンハリンで一緒に泊まった人は、なんだか親しみを感じるね!


山の村で休憩


向こうに見える雪の山々、絶景~!


巡礼中のハスキー犬、暑いよね!毛皮着ちゃって…。


あの町で休もうよ。


お腹すいたな〜。


「なんか美味しいものくれないかな~!」
犬が世間話をしながらお出迎えです。


ここでお昼ご飯を食べようよ!


ちょうどいい木陰を見つけ、持ってきたパンやチーズでランチタイムにしました。


ずいぶん古い家だね!人住んでるのかな…。


また、田舎道だよ。


倒木がありました。
ひえっ!通せんぼだ~




暑いよ~、暑いよ~。


木陰で休もうよ。




「まだまだ、先は長いぞ~!」と木が言っているようでした。


もう、暑くて無理だワンッ!


地面が暑いから、タッタッタッタッターと駆け抜けるよ~!
村上春樹の本を持ち歩くイギリス人
昨日のマンハリンアルベルゲで一緒になったイギリス人のロブと、休憩から一緒に歩きました。


ロブは、スペインで英語の先生を2年間した後、この巡礼を終えてイギリスへ帰るそうです。
「スペインは天気もいいし食べ物もいい。スペイン人は人生を楽しんでいるよね!」と言いました。


しばらくの間、山道が続きました。


しばらく歩き、休憩にしました。するとロブは、バックパックから本を取り出して見せてくれました。それは英訳された村上春樹の『ねじまき鳥クロニクル』という本でした。
「とても好きな本だからね、カミーノを歩きながら読みたいと思ってね‼」とロブはいいました。
なんと!
この巡礼は荷物が重いと、靴下一足でさえ腹立たしいというのに、こんな辞書みたいにぶ厚い本を持って歩いている人がいるなんて‼︎ しかも日本人の作家の本だなんて‼︎
とても嬉しくなりました。
音楽に国境無し!
ロブとChaiは、イギリスやアメリカのロックバンドの話で盛り上がりました。Chaiは、お姉ちゃん影響もあり、中学の時から洋楽を聴いていたのでした。


ずっと話しながら歩いている二人の後ろ姿を見て、音楽って国境がないな〜!と感じたのでした。
私たちを探すジョン
暑いよ~!


教会の前にあった水道で、水を汲んでいました。


すると、知らない女の人が声をかけてきました。
「やっと、見つけた!ジョンがあなたのズボンを持っているわ!」
すると、また別の人が追い越しざまに
「おお、いたいた!君のズボンをジョンが持っているよ。ジョンは後からくるよ!」と言いました。
そしてジョンが来ました。
「ずっと探してたんだ。良かった!やっと見つけたよ、僕はジョン。君、ズボンを忘れただろ、持ってきたよ!」


ジョンは、リュックからDenの長ズボンを出してくれました。
それは、マンハリンの手前のアルベルゲ、サンタ・カタリナ・デ・ソモサで、あまりの暑さに、ベッドの上に置いてきた長ズボンでした。つまりジョンさんと仲間たちは、2日間私たちを探していたのでした。靴下一足でも重いというのに、Denの長ズボンをバックパックに入れて…。
サンキュー・べリー・マッチ…。


みんな親切だね。有り難いねっ‼︎


河原で水遊び
街が見えてきました。


古い石の橋を渡りました。
河原では、水浴びをしている人がいっぱいみられました。気持ちよさそう!私たちも河原に降りてみることにしました。


ロブは泳いでいくといいました。
Denも泳いじゃお!


オッケー、アルベルゲはすぐそこの町にあるしね。30分ぐらい遊んでいこうか。


荷物を下し、靴を脱ぎ裸足になりました。足に水をつけると
うわっ冷たいっ!水に入っている人、信じられない、うひゃあ….。


ところがそう言いながらもDenは、流れにドボンッ!と入り流れていました。
すっご〜い!
私とChaiは足を冷やしたあと、河原に腰掛けました。すると、そこにクリスチーナとアンドレがいました。
やっほー、また会えたね!


Denとロブも川からあがってきました。


ロブはオレンジ4つでお手玉をして見せてくれました。
すっご~い!!


すると、アンドレもオレンジ3つを放って、お手玉をしてくれました。器用だなあ!二人とも。
行くか留まるか作戦会議
川べりにサッカーゲームがありました。


コインをいれるとボールが出て来るのかな?
近くのティエンダ(雑貨食品店)でパンと果物、ハムを買いました。


お店の前のイスに座って食べました。
さて、この町でアルベルゲを探そうとすると、クリスティーナは次の町へ行くと言って先に出発しました。
今、午後4時でした。いつもなら、シャワーと洗濯を終え、くつろいでいる時間でした。今日の暑さと荷物の重さと川遊びまでしたので、もうヘトヘトでした。次の町まで、あと8㎞ありました。


私はてっきり、すぐそこにあるアルベルゲに入ると思っていたのですが…
一緒に行く!


Denも行く〜!


ほんとに?


膝は大丈夫なのね?じゃ、行こうか。


二人ともロブに付いて行きたいんだな。Denも一緒に川で泳いで遊んでから、すっかりロブのファンになっていました。
私たちは、ロブと一緒に歩き出しました。
最初は並んで歩いていましたが、やはりChaiもDenも相当に疲れていました。


歩くのが速いロブは、どんどん先に行ってしまいました。私たちは、すぐに追い付くのが難しくなってしまいました。


とうとう、後ろ姿が見えなくなってしまいました。


途中、こんな日本語のモニュメントが建てられていました。


今日は半端なく暑く、私でさえヨロヨロしてきました。
ペットボトルの水はすぐに無くなってしまいました。途中の民家の庭先で水をもらいました。
湯気が立ちそうに暑く、果てしなく感じる道を、3人は歩いていきました。
前の町のアルベルゲに泊まったほうが良かったかな…。


とにかく、歩けば着くのだ、歩けば着くのだ…。


と自分に言い聞かせながら、歩きました。今は一歩一歩が苦しいのでした。
チョコレートドロドロ事件勃発!


暑いね~!疲れたね…。


羊ったら毛皮を着てるね、さらに暑いだろね~


まだ着かないよ~!


木陰を見つけ休むことにしました。
Denはおやつを食べようと、私が持ってあげていたホタテリュックのチャックを開けると、
あらら、中で板チョコがドロドロに溶け、べっとりとリュックの内側全体に付いていました。
それに気が付くなり
ああっ!Denのリュックがチョコだらけじゃん!これ、なんだよー!


なんだよとは何よっ!Denの荷物を持ってあげてるのにっ。チョコが溶けたのは、私のせいなのっ?


Denが暑さや膝がつらいだろうと思い、肩代わりして背負ってきたホタテリュックでした。重たくてヒィヒィ言いながら体力ぎりぎりで運んであげたというのに…。
さっさと休憩をお開きにしました。
自分で持ちなさいっ。


あ~、ムカムカしてたまらない!
この暑さと、荷物の重さ。ただでさえ、マンハリンで使わなかったパスタ、瓶詰めトマト、ツナ缶、オレンジを持って来ている上に、Denの荷物までも持って歩いて来たのだ。
ロブに着いて行くって言ったって、すぐに追い付けなくなってしまって…。
さっきの町で休んだらよかった…、という後悔。
私は、なかなか怒りが鎮まりませんでした。
可哀そうなオレンジ
暑くて重くて、気持ちもささくれて歩きました。


Denが聞えよがしに
もうっ重いっ!あ〜っ、重い、重いよ〜!


卓球のラケットなんか買うからでしょう!


どう?これで少しは軽くなったでしょっ!


ゴメンヨ~。
可哀想なオレンジ…。
こういう時、Chaiは静かに見ていました。私がぶん投げたオレンジを、小走りであぜ道に拾いにいきました。
ポンフェラーダで母子つかみ合い
もう私たちの雰囲気は、最悪でした。


石の橋を渡りました。
私たちは、ポンフェラーダのアルベルゲに着きました。夕方の7時少し前でした。
アルベルゲのスタッフが強烈な暑さの中、クタクタでたどり着いた私たちに、スポーツドリンクをコップに注ぎお盆に乗せて出してくれました。
わあ!ありがとう!


と私がコップを手にしたあと、Denは
要らないっ!


と振り向きざま、手を大きく振り払いました。とその瞬間
ガッシャーン‼
コップとお盆がすっ飛びました。スポーツドリンクは、みるみる地面に吸い込まれていきました。驚いたスタッフはコップとお盆を拾い始めました。コップはプラスチックだったので割れ無かったのが幸いでした…。
そしてその時、私は一気に怒りが爆発してしまいました。
こら〜っ!何するのっ‼︎


うわあああっ!


半泣きで叫び、両手をグーでポカスカ振って、私にかかってきました。
私も顔をのけぞりDenの胸ぐらのシャツを掴み揺さぶりました。
Denがわざとやったのではないことは分かっていたのですが、Denの乱暴な受け答えでせっかくの厚意が無駄になったのが許せなかったのでした。
もう、私は怒りを抑えるタガが外れました。 んがあああっ~!!

アルベルゲのスタッフが私たち二人を離そうと、それぞれを背後から抱え止めに入りました。
その時、どこからか日本語の声がしました。
「ねえ、日本から?ちょっと子どもたち一緒に来てくれる?マフィン屋さんがあと5分で閉まっちゃうんだ~。」
そう言いながら、女の人が子どもたちを
あっ!という間に連れ去りました。
私は、頭から煙を出し、目がつり上がったまま仁王立ちでした。
もう、何でもいい!という気持ちでした。
スタッフに謝り、黙って片付けの手伝いをしました。
ChaiとDenが放り投げていったバックパックを集め、部屋に運び込みました。
ベッドに座り荷物を整理し始めました。そこで、ふと思いました。
あ~、名前も知らない人に子どもたちを預けてしまったなぁ…。


まあ、大丈夫でしょ。日本人だったしね….。


あ〜、あの日本の女の人の顔もよく見なかった。Chaiがいるから大丈夫かな…。でも、タイミングよく連れて行ってくれて、ケンカのおさまりが付いたわ~。


不安と安堵が交差しました。
キッチンは心休まる
私はキッチンがあることを確認し、持ってきたパスタを茹で始めました。
トマト、ツナ、オリーブを使って晩ご飯の支度を始めました。次第に気持ちは治まっていきました。
うん、味付けもうまくいった。これで仲直りの食卓になるといいけれど…


さっきの女の人とChaiとDenが帰ってきました。
うふふ!ギャハハ~!
笑い声が聞こえてきました。
ChaiとDenは、手にしたお菓子といっしょにテーブルに座りました。
私はそばにいた女の人に言いました。
「晩御飯、よかったら一緒にどうぞ〜。」
それがエリカとの出会いでした。
エリカはニューヨーク在住の日本人でした。
すると、そこにクリスティーナとアンドレも加わりました。アンドレは、ルーマニア出身でした。大きなじゃがいもを茹でて食べていました。
それ、とってもおいしそう!


賑やかな晩御飯になりました。
デザートに、先ほどエリカたちが買ってきてくれたお菓子を、ジャンケンで勝った人から取っていきました。大きなマフィンみたいなクッキーでした。チョコやジャムやいろんな味や形が有り、ジャンケン勝負に熱が入りました。
一番に勝ったDenは、嬉しさで大笑いして
うははっ!チョコクッキーをゲットしたぁ〜!


パスタ、まだお鍋にあるの?あったら食べたい!


元気な笑い声、旺盛な食欲に安心!
みんな、今日の険悪なあれこれを、すっかり忘れてしまったようでした。
良かったぁ!
不思議なオスピタレロ
オスピタレロのイゴルは、不思議な魅力のある人でした。あごひげを三つ編みにしビーズが付いていて、胸までのロングヘアーでした。
エリカの話しだと、このアルベルゲに着いてすぐ、ドイツ人の女性が眼鏡が無いと騒ぎ出しました。部屋のベッドの下や棚など見ましたが見つかりませんでした。
食堂?シャワールーム?着いた時にはかけていたのに…、と動いた場所を全て見て回りました。けれど見つかりません。
それでオスピタレロのイゴルの所へ、落とし物で届いていないかを聞きに行きました。あいにく、眼鏡はありませんでした。
心当たりは全て探し、途方に暮れた彼女に、イゴルはバンダナを渡しました。
そして「これに出来るだけたくさんの結び目を作って。出来るだけ固く結んでね。」と言いました。
彼女はバンダナをギュッ、ギュッと引っ張りながら7、8個結び目を作ったそうです。


こんな風に「出来たよ〜。」と見せると
イゴルは「では、その結び目をほどきながら、もう一度、眼鏡を探してごらん。」と言いました。
「ええっ!今せっかくきつく結んだのに、もうほどくの?」
彼女は、眼鏡がないと生活できない緊急事態です。とにかく言われた通りに、バンダナの結び目をほどきながら、眼鏡を探しにアルベルゲ内を歩き回ったそうです。
すると…、見つかりました!
もう何回も見尽くし、絶対に無いと思っていた部屋の中から眼鏡が出てきたのでした。
結び目を夢中になって解きながら、眼鏡を探し当てたということは…。
どうやら潜在意識に働き掛け、眼鏡を探してもらったようです。思い込みや先入観のない「心の目の力」を借りることができたのでしょう。
このことをイゴルは心得ていたのでした。
そして、イゴルは人を安心させる何かを持っていました。ここで巡礼者のお世話をしつつ、ヒマな時は木彫りの作品を作っていました。
壁掛けや看板のようなもので、木の材質を生かした素敵なクラフト作品でした。子どもたちは、会ってすぐにイゴルが好きになりました。ご飯の後もイゴルを見つけてはおしゃべりをしていました。
イゴルは、Chaiに
「これは僕より君が持っていたほうがいい。」と言ってデッサン用の色鉛筆をくれました。それはとても有名な質の良いブランドのものでした。
ちょっと荷物が重くなるけれど、持っていくよ!


イゴルの前で絵など描いたこともないのですが、Chai は絵が得意でした。それを察知したのかな⁇ 私は再び、イゴルの底知れぬパワーを感じました。
夕暮れを味わう
夕食の後、外のベンチに座り、夜風にあたりました。


エリカ、クリスティーナも夕涼みをしていました。2人は英語で談笑していました。
私は簡単な英語しか話せず、楽しそうな会話に加わることができず、自分にがっかりしました。
けれど、今晩も星がきれい!アルベルゲの庭で一息ついて、夕暮れを味わいました。一日中歩いて、シャワーを浴びて洗濯を済ませ、夕食の後片付けを済ませ、やっとたどり着いたこの時間でした。
今日はいろんなことがあって心が荒れたけれど、寝る前のこの時間に、いつものように心が引き戻っていてよかったわ〜。


がっがりなベッド
その夜、ポンフェラーダのアルベルゲの部屋は地下室でした。たくさんの2段ベッドが並んでいました。ベッドの位置が「ハズレ」でした。
私のベッドは、枕元の横の壁に太い排水管がありました。洗面所なのかシャワーなのか、またはトイレなのか….、上の階から絶えず水の音がジャバジャババ〜と、耳元で聞こえてきました。
あ~ん、ひっきりなしに水の音だわ!


うるさ~いっ!はやく解決してちょうだい!


今日はとても疲れているはずなのに…。
なかなか寝付くことが出来ませんでした。














