48/60サンティアゴ巡礼宿最後のベッド争奪!素敵な仲間のヘルプ
6/2(水)→パラス・デ・レイ 眠れない夜 24.5km/€32 公営宿@€5×3
昨日の朝みたいに、また朝焼けが見たいね!
前の晩に相談し、朝5時に起きる予定にして早めにベッドに入りました。
3人とも二段ベッドの上の段しか取れませんでした。
柵があるから大丈夫だよ!
二段ベッドは4つ、十字の仕切りのようにくっ付いていて、ChaiとDenが隣同士、私が一人で寝るようでした。
私の隣は、女のひとが来るといいな…。
だっだらいいなあ…、程度の望みでした。
しかしその望みはあっさり消え、私の隣は、国籍は分からない西洋人の太った大きなおじさんでした。
お互いに「ハーイ!」と軽く挨拶を交わしました。
親切そうな人でよかった!
後はそれぞれ、いい意味の無視をして、終始それぞれ自分の支度をするようでした。
その夜は、再び暑さで寝苦しい夜でした。ChaiとDenは枕の向きを変え、3人の頭が十字の中央に寄るように、寝ていました。
暑い、あつ~いよ~...
と、寝付けずにもがいていました。
暑がるDenの顔にむけ、ノートをウチワがわりにしてあおいでやりました。それでDenは、なんとか寝入ることができました。
Chaiはわりあい、どんな状況でもスーッと入眠できるタイプでした。
Chaiはお得よね~。
寝顔のほうを見ながら思いました。
そして私はこの晩、カミーノで最も眠れない夜を過ごすのでした。
それは、暑さで寝苦しいだけでなく、隣のベッドのおじさんのいびきが
半端ない爆音なのでした。
んがあ~、んぐおお~
ボリュームは、未だかつて経験したことの無い大きさでした。
眠っている人が、こんなに大きな呼吸音を出すのだろうか…。
叫び声に近い…。
かなりのショックを受けました
うう~!耐えられな~い!
しかもおじさんは、私のすぐ隣。
暗闇の中、私だけでなく数人がおじさんのいびきで眠れなくなっていることが伝わってきました。
爆音ボリュームのいびきの狭間に
「はぁ~...。」と残念な気持ちのため息が部屋のそこここから聞こえて来るのでした。
私は耳をふさいだり、寝袋に頭から入ったりしたのですが、どうしても耳に障ってしまうのでした。
気分転換にトイレへ行ってみたのですが、それでまた目が冴え、寝付くのが出直しになりました。
まずい…、眠らないと…。明日歩けない!でも眠れない…、ああ~焦ってきた…。
どんどん、どつぼにハマっていきました。寝返り打って、寝返り打って、、。朝方4時まで、寝苦しさを記憶していました。
ガサゴソした音で、ハッと気付くと5時半になっていました。まわりの大半の人は起き、出発の支度を始めていました。
もう、おじさんたらっ!
と目を向けると、ベッドはもぬけの殻でした。
もう行っちゃったんだ。あ~ん、ろくに眠れなかった〜!
私は、ベッドに横にはなってはいたので、
休まった、睡眠した、睡眠した…!と
自分に暗示をかけました。
目覚ましの儀式
DenとChaiを起こし、足にクリームを塗りました。これはもう起きるよ〜!という目覚ましの儀式で、カミーノ初日からずっと続けていました。足にマメを作らないための対策でもありました。
何とか6時には出発することが出来ました。
ピーコック色の空。
四角い教会がとてもきれいに映えました。
川を渡りました。
町が終わっていきます。
朝の静かな空気と、夜明けの蒼い暗さが、どこか知らない世界に冒険に出るような気分になりました。
(十分、毎日が冒険ですが、、、。)
朝焼けが始まりました。
雲と朝日がピンク、紫、水色、、、ドラマチックに展開していきました。
すごくきれいだね~。早く出てよかった。
こんな素敵な朝焼けショーを観れるなんて『早起きは三文の徳』ってこのことね。三文て、昔のお金のことなんだけどね。早起きしたらちょっと小銭が儲かるぐらい、お得なことがあるよ!っていう諺があるのよ。 6時前には、アルベルゲの半分以上の人が出発してたね。STおじさんも行っちゃったよね…。
昨日の夕食の時のSTおじさんとの話を思い出し、心が元気になってくるのを感じました。子どものころから新幹線の運転手になりたいじゃなくて、
なる!って決めていたという
「信念を強く持ち続ければ叶う!」というシンプルで強力なメッセージでした。
ライ麦パンの朝ごはん
1時間ほど歩くと、空が明るくなってきました。
お腹すいてきたね。
バックパックに座り、朝食をとりました。
日本では見向きもしなかったライ麦パンにチーズを挟んで食べました。
シンプルで美味しいね。日本でもこういうパン食べたいな。
ホントね!でも日本では手に入りにくいのよ~。もっと手軽に全粒粉や、ライ麦のパンが売っていたらいいのにね。
サリアから先のたくさんの人
わりあいに開けた田舎道をしばらく歩いていきました。
途中、サンティアゴまでの残りのキロ数が、道標上にしばしば出てきました。
道標を見ながら、計ってみたらね。750歩で500m進むことが分かったよ!
私は、68㎞の道標をみて
え~、あとそれだけ…!!
これ見て~!
こんなトカゲがいました。タッタッタッター!
カワイイー!
黙々と歩くとき、こんなカラフルなトカゲは気持ちを和ませてくれました。
あっ、あれは牛の糞!気を付けて~。
サリアから先は歩く人が増えてきたのを感じました。10時過ぎ、後ろから話し声が近づいてきました。
振り返って見ると、スペイン人の15人ぐらいの団体でした。遠足のようないでたちで小さなリュックを背負い、楽しそうなおしゃべり声が聞こえてきました。
ワイワイガヤガヤ、ワイワイガヤガヤ〜
それは絶え間なく続き、声のボリュームがどんどん大きくなり、迫ってきました。
うわ、たくさん来た~、抜かされたら大変だよ~!
と猛ダッシュで歩き始めました。
うん、それに、このあたりの景色はイマイチだから早く抜けようよ。
私たちは、競歩選手のように、腰をくねくねしながら、超特急で歩きました。
それで、11時には15km以上進んでいました。
バルを見つけ、ひと休みしようと入っていくと、そこにSTおじさんがいました。
STおじさんは、すごく早いペースで歩くと聞いていたので、追いついたなんてびっくりでした。
やった!追いついた〜!
STおじさんも目を丸くして
「この時間に、よくここまで来れたね!」と驚いていました。
バルの外テーブルで、カフェラテと一緒に、ランチをとりました。あいかわらずいつものメニュー(リンゴ、パン、チーズ、サラミ…)なのですが、いつもお腹すいて食べるので、飽きることなどないのでした。
少しするとSTおじさんの休憩は終わったようで
「じゃね!あとでね〜!」と出発して行きました。
そして私たちも
はい、またどこかで〜!
縁があれば、きっとまた会えるね!
どうしてカミーノにきたの?定番の質問
私たちもバルから歩き出しました。
田舎道を行きました。
わあ、ロバに荷物を持ってもらってるんだ。犬も一緒、しかも逆行してる…。
家のワンコを思い出しちゃったよ…。
これは、スペインのお墓だね。
30分ぐらい歩くと、バルに日本人らしきおじさんがいました。
その人はSNおじさんといいました。STおじさんと同じぐらいの年齢でした。
ちょうどカフェを出るタイミングだったようで、一緒に歩き出しました。
SNおじさんも、なかなかの速足でしたが私たちに合わせ歩いてくれました。
お互い、巡礼で出会ったもの同士の質問は、たいてい決まっていました。
『どうしてカミーノに来たの?』でした。
挨拶がわりの答えを歩きながら話しました。 私は、カトリックではないのですが、いつか、サンティアゴ巡礼に行きたいと思っていたのです。娘が体調を崩したのをきっかけに学校を休んで来ているのです。でも、学校では教わらないたくさんのことを、子どもたちはカミーノで教わっていると思います。
SNおじさんは、同年代の友人が、ここ数年で3人も亡くなってしまったそうです。いつか行ってみたいと思っていたスペイン巡礼を
「もう、今いかなくていつ行く?と思い立ってね。」という訳で、ここに来たのだそうです。
SNおじさんは、仕事で住んでいたこともあり、スペイン語、英語、フランス語、イタリア語が話せるのでした。
わあ、すご〜い!
カミーノ仮家族
私たちは、行く先々でファミリーに間違えられました。
すれ違う人々やお店やバルで
「あら、家族でカミーノ?いいわね〜!」と挨拶がわりに声を掛けられました。
始めはその都度
「違うんですよ〜、たまたま会った同じ日本から来た仲間で〜」と説明していたのですが、途中で面倒になり
「そうなのですよ〜。」と返しながら歩きました。
SNおじさんもChaiもDenも、ニヤニヤ笑いながら
「ウフフ、まあ、いいやね。カミーノ仮家族ってことで!」
牛がよく太ってるね!
SNおじさんは「この細長い建物は、オレオと言う穀物倉庫なのだよ。ガリシア地方特有なんだ。」と教えてくれました。
途中から日差しが強くなってきました。
SNおじさんは「ガリシア地方の石造りの壁はケルト人から伝わっているんだよ。」と教えてくれました。
2時頃、やっとアルベルゲに着きました。
暑かったね〜!
アルベルゲのすぐ向かいのバルに、STおじさんが休んでいました。だいぶ前に到着し、既にチェックインを済ませていました。
あ~、STおじさん!また会えたね!
「はやく、アルベルゲにチェックインしておいで。それから一緒にランチしよう。」と言いました。
SNおじさんは「不眠症気味なので、この近くのペンションに、すでに予約をとってあるんだよ。」ということで、このアルベルゲにはチェックインしなのでした。
STおじさんとSNおじさんは、テーブルを囲み
「私たちは先にビールを飲んで待っているからね〜。ベッド確保しておいで~。」
ハイ、了解で〜す!
アルベルゲの受付の列に並ぶ
アルベルゲの受付から続いている、列の最後尾に並びました。
見ると受付けの大きなおばちゃんが、一人で手続きをしていて、なかなか列が進みませんでした。
そんな中、SNおじさんが「まだか~い?」と様子を見に来ました。手にはバルで出されたグラスのビールを持っていました。
「おーい、ひと口!今日は暑かったね。お疲れだ~!」
私はぐび~っ!
うわぁ、なんて美味しいビール!この最初の一口が最高!!
「まだ、時間かかりそうだね。STおじさんとランチ食べないで待ってるからね~!」
SNおじさんは、ニコニコしながらバルへ戻っていきました。
そうやって、ひとくちの幸せを運んで来てくれた粋な計らいに、大感謝でした。
ずる~いっ、あとでコーラねっ!
ハイハイ。
アルベルゲのチェックイン待ちの列は、その後も人がどんどん増えていきました。振り返ると、15人ぐらい並んでいました。 わあ、いつの間に!列が外まで伸びてるよ~!
受付の大きなおばちゃんは、一人5ユーロを受け取りクレデンシャルにスタンプを押したあと、ベッドチケットを切って渡していました。
私たちの前に、小さなデイパックを背負ったスペイン人のマダム4人グループがいました。その一人が、受付のチケットの番号をチラ見しに行き、戻ってきました。その人が並んでいる人を数え始めました。
「あなたたちで終わりじゃないかしら。
ラッキーね!」
と言いながら振り返り、かわいいハイタッチをしてくれました。
チョン・チョン・チョン!
そうですか、良かった~!
後ろから、今歩いて着いたばかりのお姉さんが、わしわしと受付まで番号を見に入って来ました。ベッドチケットの残りの番号と並んでいる人数を数え出しました。
そして、私たちのすぐ後ろの人に
「この辺から無理かもよ!」と声を掛けました。
お姉さんはそのまま道に戻り、歩き去って行きました。
私たちのあとに並んでいた15人ぐらいが
「オ~ッノ〜!」一斉に溜め息やガッカリした声を上げ、よろよろとバックパックを背負い、アルベルゲから出ていきました。
うわぁ、ヨカッタ~!ぎりぎりセーフだったね!
並びながら見回すと、アルベルゲの玄関奥の階段下に、ニコニコした顔が見えました。
ChaiとDenは あ、ホセがいる〜!
オラ~!
「こんいちは~!」
ホセは、ちょっとあやしい日本語で返してくれました。
私たちがチェックインするのを待っている様子でした。
ベッドをめぐるバトル
もうすぐ私たちの受付の順番でした。クレデンシャルを広げ、お金をおつりが無いようにして待っていると
おばちゃんは、まさかの…
「フル!」(満員)と言いました。
そして、ついさっき入ってきて後ろに並んだ2人のスペイン人を入れようとしました。
えっ?泊まれないって、なんで~?
「ノ、ノ、ノー!」おばちゃんがダメ!と言っているのがわかりました。
強いネガティブな響きが伝わりました。
そして、なにやらおばちゃんが
「○○!~×××□△~!!」と言った
その瞬間!
階段の下に居たホセが
「なんだとっ~!(多分スペイン語で)」
おばちゃんに突進して怒鳴りました。
おばちゃんも、負けてはいませんでした。
「□×○◎~!」と何やら怒鳴り返し
ホセの肩を突き飛ばしました!
ヒッ!こっ怖い~!!
私は、おばちゃんの迫力に、驚き怯えました。
ひっ!
ChaiとDenも目を丸くして震え上がりました。
おばちゃんとホセの
突き飛ばし合い、怒鳴り合いが続きました。
周りに居合わせた人が二人を引き離そうとしましたが、それから暴れ逃れつつ、激しい口論は続きました。
私たちは何が起きたのかが解からず、
オロオロとその場に立ち尽くすほかありませんでした…。
すると、ホセの友だちのお兄さんお姉さん3人が、
「大丈夫、泊まれる。今のうちに行こう!」
と、私たちのバックパックを抱えて、階段を駆け上って行ってしまいました。
え〜っ荷物!あっあの…!
私たちは、靴をぬぎぬぎ、バックパックと彼らの後を追い掛けました。
アルベルゲの部屋に隠れる
3階の部屋に入る所で追い付きました。
部屋に荷物を置くと、ホセの友だちのお姉さん2人が
「こっちこっち!」と部屋の奥へと案内してくれました。
「私たちは、マットを持っているから、そこで寝るわ。あなたたち、このベッドを使っていいわよ!」
と、チェックインしたばかりの自分たちのベッドを差し出してくれました。
私たちにそんなことを言ってくれるなんて…。
その申し出に胸が熱くなりました。
「ムーチョ・グラシアス!」と答えたものの
でも…、でも…、いいのだろうか…。
まだ、ホセとおばちゃんの怒鳴り声が聞こえてきました。
不意にお姉さんが
「隠れて!」というので、私たちは部屋の奥の入口から死角となる壁にぺったりと貼り付きました。
3人は川の字になった立ちんぼで、しばらく息を殺していました。
おばちゃんは各階の部屋を探して回っているようでした。バタバタした足音と、怒鳴る呼び声が聞こえて来ました。
私たちはヒソヒソ声で話しました。
ううう、怖いよ~。
ね、Chai、Denどうする?このまま彼女たちの申し出をありがたく受けて泊まる?それとも、おばちゃん怖いし…
そうやって泊まると、タダで泊まることになるよね。まずくない?どうしよう…。
お姉さんとお兄さんたちが、入り口に見張りに立ってくれていました。
今はここで息を殺し立っているしかないのでした…。
あ~ん、お腹すいた〜。
ああ、待たせている!私たちがなかなか来ないから、きっとSTおじさんとSNおじさんは心配しているはずだわ。
...
んん…??
怒鳴り声がおさまり、外が静かになりました。
入り口で見張ってくれているお姉さんに言いました。
向かいのバルに行きたいのです。友だちが待っています。心配しています。この状況を説明しないといけません。
「オッケー!でも、今おばちゃんに見られるとマズいね、付いてきて!」とお姉さんが先頭に立ち、階段まで誘導してくれました。
おばちゃんは、この4階建てのアルベルゲの中のどこかにいるのでした。不意に出てくるかもしれません。
私たちは身をかがめ、忍者のようにぬき足さし足で移動しました。
これは遊びではなく、本気のおそろしく緊張したものでした。隠れて様子を窺いながら、お姉さんに付いて進みました。
階段まで来ると、お姉さんは
「オッケー、大丈夫そうだよ!4階に行ったみたい。今のうちにGo!」とささやき声で私たちを送り出してくれました。
叫びながら強行突破!
階段は学校のように広く、半分降りるとUターンをするようでした。
私たちは3階からそろりそろりと降りて行きました。
一階までもう少しのところで
ひっ!
階段の途中におばちゃんがいました。 うわっ、下にいたんだ…。
私たちに背中を向け、誰かと立ち話をしていました。
私たちは、しばらく階段の上に身かがめ、様子をうかがっていました。おばちゃんは、なかなかそこを動く気配がありませんでした。
私は、ここがダメならもう2km、
それがダメならその先5kmでも、歩くのは仕方ないと思いました。
けれど、ホセの仲間たち4、5人が、いままさに私たちのために、頑張ってくれているのでした。私たちが泊まれなかったとなると、おばちゃんと再び怒鳴り合いつかみ合いが始まるかもしれない…。
そして、おばちゃんは本当に怖いのでした。怒鳴りながらホセを突き飛ばした時、ホセの身体がすっ飛びました。その迫力に度肝を抜かれました。
ヒイイ、見つかったら絶対、叩かれる… わわわ、怖い〜!
おばちゃんのおしゃべりは、続いていました。私たちは息を殺して待っていました。ただただ時間が過ぎて行きました。本当は短かったのかもしれませんが、とても長く感じました。
ああ、冷や汗…。いつまでこんな…。
どうしよう、バルでおじさんたちが心配して待っているし…。
Den、Chai、いいかい?おばちゃんに目を合わさなで、階段を一気に駆け下りてバルまで走るよ!靴は履かないでいいから! うん、わかった! OK!
いくよ~!
ドカドドドッ〜・・・
おばちゃんは、その足音に振り返りました。
私たちを見るなり
「◎✖▽▲✖✖~!!」
怒鳴り声をあげ、通りざまのDenのシャツをひっ掴みました。 ぎゃぁっ!
私も瞬時にそれを振り払い
うわあああ~!
3人とも大声をあげながら階段を駆け抜け靴下のまま、向かいのバルへと掛け込みました。
アドバイスは流れに任せる
ハアハアハアハア…。
STおじさん、SNおじさんのSSコンビは
「どうしたの?遅かったね~。」と言いながら
私たちの慌てぶりに、目を丸くしました。
ハアハアハア、これこれこういう訳で、、、、
今さっきの事件の一部始終を説明しました。
お姉さんたちがベッド使っていいよって言ってくれたんだけど、おばちゃんがすごく怖いの…。
いま、とりあえず抜けてきました。まだ3人のバックパックは3階にあるままなのです。スペイン人の巡礼仲間4,5人が私たちが泊まれるようにと協力してくれて。それで…、私たちは、どうしたらいいと思いますか?
お金を払いたくてもおばちゃんは怒ってるから難しいし。どこか別の宿へ行ったほうがいいのかな….。
STおじさんSNおじさんのSSコンビは、腕を組みながら考え出しました。
「うーん、そうだな、そこまでホセたちが言うのなら、
流れに任せてみたら?」とSTおじさん。
「そうだね、
地元スペイン人の、彼らのやり方に添ってみるのも有りだね。」とSNおじさん。
そう…、そうですね。流れに任せてみましょうか…。
とにかくとにかく…、腹ごしらえしよう!
ハンバーガーセットとコーラをChaiとDenに、わたしは野菜サンドセットを頼みました。
安堵感が押し寄せ、私たちはお昼ご飯をワシワシと食べました。
ああ、おいしい~!
まともな食事は久しぶりのような気がしました。
そして、嬉しい事におじさんたちがご馳走してくれました。
有り難うございます!!
バルでひと息ついていると、ホセがやって来ました。
SNおじさんさんがスペイン語で受け答えをしてくれました。
ホセは言いました。
アルベルゲのおばちゃんは…、
私たちのベッドの空きを、別のスペイン人に回したかったのでした。そして残念なことですが
「東洋人にあげるベッドはないわ!」と言ったそうです。
それを聞いた瞬間
ホセは頭に血がカーッ!と上って
「こんな小さな子どもが、炎天下のなか25kmも歩いて来たっていうのに!
何で断るんだ。差別するのか!
それに、臨時用のマットが向こうにあるのを見たぞ。
もっと人数が泊まれるはずなのに!
何でそんな意地悪をするんだ!」
と、怒鳴ってしまったのだそうです。
しかし、おばちゃんは主張を変えず、口論は続いたのでした。
そうだったんだ…。
さらにホセは、私たちのために、最良の方法を考えてくれていました。
「ここから1km離れたところのアルベルゲに予約が取れたから、そこに行くといい。このアルベルゲは、おばちゃんも最悪だが、シャワーも最悪だ。男女いっしょでドアも釘もないから、ChaiとKumi3は、多分シャワーを浴びれないだろう。」と言いました。
1kmなんてへっちゃら。大丈夫!!
ホセ!私たちのためにありあがとう!
なるほど、流れとはそういうことになったか。
よかった…。気が楽になった!
私たちは、バックパックを取りにアルベルゲに戻ろうとすると、ホセの友だちが3階の部屋からバックパックをバルまで運んで来てくれました。ついでに靴もお願いしました。
「おばちゃんに顔を合わせるとややこしくなるから、このまま行けばいいさ!」
うん!
ホセ、かくまってくれたお姉さん、荷物を運んでくれたお兄さん。
みんな、本当にありがとう!
私たちは、それぞれハグをして別れました。
ホセ!またどこかで会えるだろうか…。
タクシーに乗っちゃっていいの?
その1km先のアルベルゲは、たまたまSNおじさんの泊まるペンションの近くでした。
私たちは、一緒に歩き出しました。
「まだまだ暑いね、今日は疲れたでしょう。ビールも飲んだことだし、ここはタクシーで行きましょう。」とSNおじさんは言いました。
これまた、ありがた~い!
正直、寝不足とおばちゃん事件、そして暑さでクタクタ。
さらに、バルでビールを飲んでしまったので、バックパックを背負って歩き出すと、フラフラしていました。
ところが、ChaiとDenは声を上げました。
ええ~!、乗り物に乗っちゃうの?
全部歩いたってことに、ならなくなるよ~…。
とにかく、ここも流れで行こう!ホセが予約してくれたアルベルゲにたどり付けなかったら、それも困るからね。
SNおじさんがタクシーを呼んでくれました。私たち4人は荷物をトランクへ入れたり、抱えたりして座席に小さくなって座りました。
歩いて20分の道のりをタクシーは5分で、ピューン!と移動しました。
二つ目のアルベルゲ
アルベルゲの前にタクシーが止まりました。
私たちを降すと、SNおじさんはそのまま座席に残り、ペンションへと向かいました。
アルベルゲに入り、受付でホセの名前をいうと
「ああ、OK〜!聞いてるよ。」
と、スムーズにチェックインすることができました。
シャワーと洗濯を終えると、やっと落ち着きました。
新しいアルベルゲは、キッチンがありましたが、まわりには一軒もお店がありませんでした。
今日と明日の食料を仕入れておかないといけません。最初のアルベルゲの町は、バルやスーパーメルカド(マーケット)が近くにあり、賑やかでした。
ね、思ったのだけどね。さっきの町に戻って買い物しようか。そして、タクシーに乗った区間を歩き直せば、乗り物に乗ったことにならないんじゃない? うん!無事チェックインできたって、ホセたちに知らせたいな。 うん!そしてコーラとチップスも買おうよ。
ChaiとDenの顔がパッ!と明るくなりました。
Chaiは、何やらノートをちぎってメッセージカードを作っていました。
タクシーに乗った距離を歩き直す
アルベルゲにバックパックを置き、さっきの町へ戻ることにしました。
途中、教会がありました。
中に入ってみました。
素朴な祭壇を見学しました。
バックパック無しで歩くと足取りも軽く、すぐに町に着きました。スーパーメルカドを発見し、ピザやヨーグルト、パンにハム、シリアル、果物などを買い込みました。
コーラとチップス、ホセたちにも買おうよ!
わあ!サクランボ。美味しそう!これもホセたちやSNおじさんに、お土産に買っていこうよ。 グッド・アイデア~!
買い物が終わりました。
サクランボの差し入れとカード
最初のアルベルゲに行ってみました。多分、定員まで受付を済ませると、オスピタレロは居なくなってしまうのが、ガリシア地方に入ってからのアルベルゲでした。
でも万が一、おばちゃんがいたら気まずいので、入口の外で、ホセたちが来ないか待っていました。
待ち始めてすぐ、ベッドを譲ってくれたお姉さんが、通りがかりました。
聞くと「ホセは出掛けてしまって、何時に戻るかわからないわ。」ということでした。
では、これみんなで食べてください。
カードに書いた言葉は
”Thank you Jose and beautiful friends!”
でした。
お姉さんは
「ワーオ!」と声を上げ、
ビッグスマイルで手を振りながら、アルベルゲの中へ入って行きました。
これで、ホセも安心してくれるね。私たちのために、あんなに頑張ってくれて、涙がでるほど嬉しかった。
まだ残る日差しの中、3人はタクシーで飛び越えた道を、歩き直しました。
これでタクシーに乗ったことにならないね!
DenとChaiは、満足そうなピカピカした顔になっていました。
青空の下ブランコセラピー
道の途中、SNおじさんにのペンションにも、サクランボを届けに寄りました。
美しい芝生に囲まれた、山小屋風のしゃれた建物でした。
「ほら、こんなとこだよ。見てみるかい。」
落ち着いた木調のシンプルな部屋でした。
これで、45ユーロならいいですね!
ええ、ええ、まったくその通りです!
と、力強く頷きました。今朝のアルベルゲは
まさしく爆音イビキで、睡眠崩壊でしたから!
ペンションの外に出ました。芝生は公園のようになっていました。
木のベンチとテーブルに座り、晩御飯にしました。
今日のおばちゃん、怖かったね~!
でもさ、いつも誰か救いの神が現れるよね~!
ことのほか、おいしく感じられる野っぱらディナーでした。
食事が済んだ後、ブランコに乗りました。
途中、SNおじさんが芝生に出てきました。
「イタリアにはね。ブランコセラピーという心理療法があるんだよ。大人もブランコに乗ると童心に返るでしょ。それで、うつが治ったりするらしいのね。裸足で乗るのがいいんだよ。」と教えてくれました。
わはは~い!
Denは、芝生に大の字になりました。
気持ちいい~や。
スペインの青空の下、自然と笑いがこぼれ身体がプカプカと浮かびあがるようでした。
プラスマイナス、プラスだね!怖い事もあったけど、優しさがいっぱい詰まった一日だったね!