25/60 カミーノ馬の触り方・スマホガイド本も無し感じたまま歩く!
5/10(月)→パブラシオン・デ・カンポス アスタルエゴ‼ 18km/€17 庭が公園@€3×2
朝8時、アルベルゲのおばあちゃんが見送りをしてくれました。
手を振ってくれる人がいる出発はいいものです。 アスタルエゴ~‼
3人は振り返って叫びました。スペイン語の本でみた「サヨナラ」でした。
ポカポカした気持ちで、歩き出しました。
早速、公園で遊ぶ
アルベルゲの近くに公園がありました。
ちょっと、遊んで行きたい!
スペインの公園は、シーソー、滑り台、ボート漕ぎといった遊具のほか、バーベキュー用かまど、
そして、ここにもなぜか卓球台がありました。
こんなにも、卓球がスペインで人気があるとはね…。
歩きながら、こんな壁の絵を発見しました。
ナイトメア・ビフォァ・クリスマスの映画の中のジャックでした~!
土管で朝ごはん
歩き出して30分ぐらいしたところで、大きな土管を道端に発見しました。
うわ~土管⁈中に入って寝れるぐらい大きいね! 土管に乗りた~い!
先を急ぎたいのだけど…。そ、そうなの…?
2人のリクエストは、3人旅の中では多数派になります。無視する訳にもいかず、そこで朝ごはんを食べていくことにしました。
けれど案外、土管の上は土の上よりも汚れや湿気の心配がなく、なかなかいい感じでした。
おばあちゃんがくれたお弁当の包みを開けました。
パン、ポテト、ポークソテー、ヨーグルト…!!
土管の上でステキな朝ごはんをとることが出来ました。
ピルグリムディナーやめる
さあ、モリモリ行こう!
今日は18㎞歩く予定でした。
広がる青空、天気よし、道も平坦、睡眠もよし、おばあちゃんの見送りもあり、晩ご飯、朝ご飯も、ご馳走をしっかりと食べ、気力よし、体力よし、全てオッケー!のはずなのですが…
歩き出してしばらくすると… 今日は、なんか身体が重い感じする。
Denも。疲れてる感じする。
あ、やっぱり?私だけかと思ったわ…。
みんなもそうだったんだ…。
そこで、Chaiが発見したように言いました。
なんかさ、ピルグリムディナー食べた次の日って歩くの疲れない?
そういえば…そうだね!
私は、こんな話を思い出しました。 その食事を見た西洋人は、あまりの粗食に驚き、もっと栄養をつけたほうが速くたくさん走れるだろうと肉料理やごちそうを食べさせたところ、飛脚は身体が重くなり、かえって走れなくなってしまった…。
私たちも、ご馳走を食べて 気合十分!なのですが
身体のほうは 消化に疲れている…。
といった感じでした。
この日以降、どんなに疲れ空腹でも、翌日に20㎞以上歩くという前日には、ChaiとDenのほうから
「ピルグリムディナーはやめておこうよ。」と言うようになったのでした。
雲の影をジャンプ!
晴れて青空だけれど、いくつもの雲が羊みたいな固まりでポッカリと浮いていました。
風が吹き、飛ばされた雲は、道の正面から私たちに近付いてきました。
雲は、いくつもいくつも風に流され向かってきました。
雲の影が道にくっきりと黒く映り、私たちの頭上に迫ってきました。
そして通り過ぎる時、あたりがスッと暗くなり、通り過ぎるとパッと明るさが戻るのでした。
なんだか私たちは、雲の影にスキャンされているようでした。
雲の影が頭上を通り過ぎるとき、ChaiとDenは、その黒い影を
それっ!
ひとつや二つでなく、数秒ごとに流れてくる雲を
私も一緒になって、飛び越しながら歩いて行きました。
来たきたきた〜ッ、ジャ~ンプッ‼︎
背中のバックパックの重いことなど忘れて…。
すると後ろから、クスクスと笑い声 が聞こえて来ました。
オランダから来たお兄さん二人でした。
「なんで、そんな疲れることするんだい?」
そう言いながら追い付いて
来たきた〜ッ、ジャーンプッ‼︎
結局、一緒に雲の影を飛び越しながら歩きました。
しばらくそうしてゲラゲラ笑ったあと、一緒の写真を撮ると、コンパスが長い彼らは
「じゃあね!」と先に行ってしまいました。
ペケーニョ攻撃多発!
カミーノで 子どもが歩く、しかも東洋人はさらに珍しいのでした。
毎日、一緒に写真を撮ろうよ!と5〜6人の人に声をかけられました。
記念撮影で横に並ぶとき、決まって
「ペケ~ニョ、バモス!」(おチビさん、がんばって行こう!)
または「チャンピョーン!」といった激励といっしょに
なぜか必ずDenの頭を、ポンポンッ!とたたくのでした。
それを「ペケーニョ攻撃」と呼んでいました。
近頃それが多くなって来たのでした。
あ~、また来た!
Denはこの「ペケーニョ攻撃」が腹立たしいのでした。
手でたたくのに、ちょうどいい高さに頭があるのよ~。まあ、カリカリしないでさ。
巡礼仲間たちが持ち帰った記念撮影のDenの表情は、かなり不機嫌に写っているはずです。
仕方ないニャーン!と猫も言っているね~。
ポニーの触り方 を教わる
空き地に、ポニーが繋がれていました。
ChaiとDenは、動物園の「どうぶつふれあいコーナー」ぐらいでしか、ポニーに接したことがありませんでした。カミーノで出会う野放しの牛、馬、羊、ロバ、犬に初めのうちは驚き、ちょっぴりビビッていました。
うわ~、柵がないんだね~! ヒモが長くて動き回れるよ~。
ChaiとDenは、恐る恐る近付きました。
噛まないかな、蹴らないかな…、触って平気かな…。
すると、後ろからお姉さん近付いて来ました。
そして…
いきなりポニーのほっぺたを
パンパンッ!とはたきながら
「ハウ アー ユー?」と声を掛けました。
わあ、かっこいい!そんなことしていいんだ…。
おねえさんは
「アッハッハ〜!」と笑いながら
「いいかい。まず、グーで鼻面を10回ぐらいこするの。それが挨拶なの。それからゆっくりと手を開いて、撫でてあげればいいのよ!」と初心者向けの馬の触り方を教えてくれました。
咬まないでね…。そ~っと、そ~っと。いい子だね。
ポニーは、賢そうな目をしていて
「触っても大丈夫だよ!」と言っているようでした。
スペインは動物の自由度が高いね~!大らかで人と距離が近いね。
日本は、人間の立場になって考える度合いが高いのかな。事故や危険を避けるため、柵の向こうでしかロバ、馬、牛、羊は見ることはできません。
柵で仕切ってしまえば安全だけれど、付き合い方を考えるチャンスも出来ないよね…。
伝言ゲームの塔
田舎道から徐々に建物が増えてきました。
石造りの教会。
レンガ造りの家。
少し歩くと大きな塔がありました。なんの気にも掛けず通り過ぎようとすると、近くで休んでいたおじさんが、駆け寄ってきました。
そして、私たちに言うのでした。
「この塔は歴史がある、知る人ぞ知る素晴らしいものなのだ!是非、写真を撮ったほうがいい。カミーノNo.1の価値があるのだ!」と力説しました。
ええっ!そんなに言うなら、ちょっと見ようか…。先を急ぎたいけれど~。
塔の前で、記念写真を撮りました。
気が付くと おじさんは、行ってしまいました。私たちはそこで休憩することにしました。
そこへ、他の巡礼者のカップルがやって来ました。彼らは塔に気付かず通り過ぎてしまいました。
それを見て、私は居ても立ってもいられなくなり、その人たちに追い付いて声を掛けました。
この塔はカミーノNo.1です…‼
そうして彼らも塔を見上げながら、なるほど!と思ったのか、バシバシと写真を撮り始めました。
私たちはそれを横目に歩き出しました。彼らは、私たちが立ち去ったあとの場所で、休憩をとるようでした。 うふふ。絶対、あのカップル、次の人に言うよね!
あの塔は、伝言ゲームのように、その存在感が伝わっていくのかな。
なんだか、歩きながら笑ってしまいました。
道草が多すぎる!
川に出ました。
おたまじゃくしがいる!
川沿いに歩いて行きました。
木漏れ日の木陰が、気持ちいいね!
途中でガマの穂わたがフランクフルトみたい!というので、近付いて観察タイムにしました。
ガマの穂わたは、手でしごくと綿毛がむわむわ〜ッと飛び出し、広がりました。それが面白くて、しばらく遊びました。
川から離れ、素敵な並木道を歩きました。絵はがきの中を歩いているようでした。
石のテーブルを見つけ、ランチにしました。朝ごはんと同じくおばあちゃんの包んでくれたポークソテーやポテト、パンの残りを食べました。
今日は寄り道がおびただしく、朝8時に出発し16時にアルベルゲに到着しました。18km歩くのに8時間かかっていました。
1時間に2kmちょっとしか歩いていない計算でした。
そんなスローペースの巡礼者は、多分他には居ないでしょう。
「なんでそんなに遅いの?」とよく聞かれました。
シーソー、土管、塔、雲飛び、ポニー、おたまじゃくし、ガマの穂わた、、、
私たちは、道草が多すぎるのでした。
今日は、目についたことを気の済むまで探索、つまり寄り道をして歩きました。
また、ケータイやガイドブックが無いという事は、
いつでも目の前に広がるあれこれが全てでした。
歩く途中で、メールのお知らせ音に中断されることもなく、矢印を探しながら歩き、道をマップで調べることもありませんでした。
行き先の頼りは、3人で見たままの黄色い矢印のみでした。
ひたすら感じたまま、自由気ままに歩いていました。
すると、こんな風に遅くなってしまうのでした。
オムレツを作りたい~!
Chaiは料理が好きでした。
歩きながら
あ~、オムレツ作りたいな〜!
スーパーマーケットにあるスパニッシュオムレツじゃだめ?
⇈⇈(スーパーで売っている丸いパックのスパニッシュオムレツです。)
違うの。食べたいんじゃなくてね、オムレツを作りたいの。そして食べたいの。
う~ん、生卵はスーパーマーケットのある大きな町にしかないし、買って持って歩いたとしても、アルベルゲにキッチンがある可能性は五分五分だから、、、。
それ無理でしょ!
わかってる!言ってみただけっ。
そこにDenが、割り込んできました。
1リットルのコーラ買いたい!コーラいっき飲みしたい‼
無理無理!普通、コーラは500mlで1ユーロだもの。Denのお小遣いは一日1ユーロでしょ。一日、我慢して貯めれば買えるだろうけどね。
一日コーラを我慢⁈、それはできないな~。でもさ、たまには1リットルで買ってくれたっていいじゃん。ケチ~!
そんな話をしながら歩いたのでした。
パブラシオン・デ・カンポスのアルベルゲ
小さな町に入りました。
アルベルゲを探さねば!
スペインの街路樹で、こんな風に丸くアレンジされている木を、しばしば見かけました。
しばらくして、パブラシオン・デ・カンポスのアルベルゲをみつけました。
隣のホテルが経営しているようでした。クレデンシャルはホテルでスタンプを押してもらい、それからアルベルゲへ移動しました。
30人も入ればいっぱいの、小さなアルベルゲでした。
シャワ~はぬるくてダメでしたが、目の前に公園がありました。
遊具、ブランコがありました。 やった~、遊ぼう!
私も、公園の草っぱらで昼寝をしたり日誌を書いたりして、のんびりと過ごしました。
コーラの奇跡!
アルベルゲの周りの探索に出ました。
町は小さく、食料品店は見つかりませんでした。
近くにあったバルで、何か食料を仕入れてみようと入ってみました。
すると、なんと!
1リットルのコーラに、1ユーロの札が付いて売っていました。
今までにない、あり得ない価格!
普通は2ユーロでした。
私は何かの間違いかな?と思いました。
バルのマスターはニコニコして
「そうだよ、1ユーロだよ!」と言いました。
わあ、コーラの奇跡だ!これなら買っていい?
うん、お小遣いの範囲だしね…。
やった~!神様ありがとう~‼
Denは、ぴょんぴょん飛び跳ねて大騒ぎでした。
コーラ1ℓ、一気に飲んでみたい!
ぐびぐびぐび~っ、ぐへっ!
ああ、やっぱりもったいない!
キッチンのブレイカーはどこ?
キッチンはあるけれど、電気コンロは壊れているのかしら…。少しも熱くならないわ~
それともブレーカーが下がっているのかしら?
後から来たオーストラリア人のカップルと一緒に、電気のブレイカーを探しました。キッチンの周りにはなく、食堂にも居間にもありません。さんざん見て回ったあと、隣のホテルに滞在のオーナーに聞きにいきました。
建物の外の納屋にあることがわかりしました。
こんな目立たないところにあるのね~!
そうして、電気コンロが使えるようになりました。
私たちは定番の素食、トマトパスタを茹でることができました。
ヨカッタ~。温かいものが食べられるだけで嬉しい。卵は手に入らないから、オムレツは作れないけれどね~。
カミーノのんびりした時間の産物
夕飯の後、3人でトランプをしました。
こんなことができるなんて…。
私はカミーノでトランプをするたびに毎回のように感動していました。
日本の暮らしの中で、子どもたちに「トランプやろうよ!」と言われても
「えーっ、忙しいから自分たちでやってー、、、」ときょうだいに放り出していたのを思い出すのでした。
真剣にカードを配って勝負をする、
やってみたら、ホントに楽しいのね!
日本に帰ってからも、やりたいなぁ。できるかなぁ…。子どもたちのほうが忙しくなってしまって、それどころじゃないかもね…。
こんな親子でカード遊びも
カミーノ限定ののんびりした時間の産物なのでした。
ロウソクで瞑想ナイト
3人でアルベルゲの部屋の隅っこを、占領したような形になりました。
眠る前、サイドテーブルに小さな燭台とロウソクが有りました。
「火を灯して瞑想するよ~!」とChaiとDenに声をかけました。
以前、トサントスのアルベルゲの夜、ロウソクの下で瞑想し、神聖な気持ちになったことを思い出しました。自分たちでもやってみよう!
うん、いいね。ろうそくの火、見るの好き!
Denがライターつけたい!
火が点きました。
さあ、心にな~んにも考えないで下さ〜い。目を閉じて深呼吸をしてみてくださ〜い。ゆっくり、ゆ~っくり〜…
ChaiもDenも、穏やかな心持ちになった様子でした。
そのまま、ス~、ス~と寝息が聞こえてきました。