20/60 カミーノ全行程を歩く・乗り物に乗らない我ら巡礼スタイル
5/5(水)→ブルゴス 手袋をもらう 28㎞/€60 巨大な5F建て公営 @€3×3
私は、スペインがこんなに寒くなるとは思いませんでした。
猛暑が連続したある日 もう、手袋なんていらないね!
寒い~!ああ失敗したぁ…
と思っていたところ
巡礼仲間のリアが手袋をくれました。
素敵なブルーグリーンの毛糸のものでした。リアはもう一つあるから要らないのだそうです。
嬉しい!助かった〜。リア、ありがとう~!
お礼にオレンジをひとつ、届けました。
荷物が重い理由
朝8時に出発しました。
今日もすこぶる寒くなりそうでした。
途中の道にベンチを見つけ、朝食タイムにしました。
メニューはパンとサラミとトマトでした。
私は前の日にお店を見つけると、必ず翌朝の分の食料を仕入れておきました。
いつでも3人分です。
パンやサラミ、チーズなどの他、必ずりんごかオレンジかトマトを4、5個、ビスケット、チョコレート、ナッツ、ドライフルーツ…、
そして、もちろん水も!でした。
それで、いつでも荷物が重いのでした。
そして距離を稼ぐには、午前中が勝負でした。
歩き出し、朝食の食べものを探す事で時間を取られないようにしたいのでした。
この荷物の重さは 仕方がな~い!
気温2℃、寒さに弱る私
雪こそ降りませんが、気温は2℃でした。
空が鉛色でした。風が吹きつけ空気が刺すようでした。
もう、手が限界だわ~。
感覚が無くなり、じょじょに痛みになってきました。歩き出して2時間ほどで、何も楽しめなくなってきました。
町が見えてきました。 バルッ!バルを探そうっ!温まろう~!
バルで作戦会議
バルが見つかりました。
コラカオとカフェレチェを頼み、コーヒーカップで指先を温めました。それで私は、やっと心身ともに復活してきました。
さて、作戦会議です。
昨日は雪で冷えっぱなし、シャワーもダメでした。しかも同室のパーティーの騒音と2段ベッド転落の心配のせいで、睡眠が浅く疲れが取れていませんでした。
少し休養が必要だな…と感じていました。『町と宿と距離のプリント』を見て 今日は13㎞ 歩いた町で休むことにしようか。汚れた服を洗濯をして、食事もきちんととりたいよね。 うん、そうしよう! 温かいシャワーを浴びられたらいいな~。
バルに、サッカーゲーム台がありました。
お店を出る間際に、 バルのおばちゃんがChaiとDenにチュッパチャップスをくれました。
グラシアス!
バルを出るとやる気充分になっていました。
ベーカリーを見つけました。
バケットとチョコレートパンを買いました。これで気持ちがひと安心です。
常に何かしら食料を持っていないと、心配になってしまうのでした。
いつ、何が起きるかわからないので…。
そこが子連れ旅のちょっとした努力ポイントなのでした。
大草原に木のクロス
あいかわらず、空は寒くてどんよりでした。
同じような景色が、延々と続きました。
あらら、ワンコが甘えに来ました。
「クーン、クーン…」
田舎道が続きます。先が長いね~。
原っぱに続く道を行きました。
木のクロスが建っていました。
うんとこしょ!上ったよ~、ほら頂上だ~!
えへへ、実はこんな高さでした~。
こんな風に、工夫して抜いた文字の看板がありました。
カミーノで何がしたいですか?
マイクみたいな木の実を拾い、Chai がDenにインタビューしていました。
カミーノで何がしたいですか? はい、プルポ・ア・フェイラが食べたいです。
Denは「チュッパチャプス ポルファボール(ください)」と同様に
「プルポ・ア・フェイラ ポルファボール!」とそれだけはすぐに言えるように、チェックしていました。
だだっ広い大草原が、しばらく続きました。
ねぇ、遠くに動く白のもじゃもじゃは何?うじ虫みたい〜。 違うよ。羊でしょ~っ!気持ち悪いこと言わないで!
近付いてみるとわかりました。
時々、カランコロンと鐘の音がします。 羊飼いの人が犬と一緒に、羊たちを丘の上へと追い上げているのでした。
アルベルゲがあるはずなのに~っ!
お昼過ぎにリオピコの町に着きました。朝から13㎞ 歩いた街でした。
お昼の休憩にしました。
さっき買ったチョコレートパン、最高!
手にした一枚の『町と宿と距離のプリント』には、この町にアルベルゲがある、と書いてありました。 寒い寒いわっ、アルベルゲに入ろう!
ランチを食べたあと、アルベルゲを探しましたが、どこにも見つかりませんでした。
バルを見つけ、聞いてみました。
するとバルの主人は
「この町にはアルベルゲは無いよ。」と言うのでした。
ガーン!
次のアルベルゲまで
15km!!!
いま13時だよ…。どうする…?
どうするったって…、
相談するまでもなく
私たちはノーチョイスでした。
行くしかないのです。
だってアルベルゲ…
泊まるところが無いんだもの…。
寒さで弱った私に
平気だよ、頑張ろうよ~!
夕ごはん前には着くでしょ。
へえぇ~…。
10日前、ロスアルコスの町に行く途中、アルベルゲを見落としてしまい、
「プラス10㎞!」
と言われた時は、もう泣きが入り、疲れ果てボロボロの姿になって、アルベルゲにたどり着いたというのに。
今日の、プラス15㎞でこの反応とは!
随分とたくましくなったなぁ…と感心しました。
犬も「まあ、仕方ないですね。お母さん…。」と言っているような、、、。
ブルゴスは街に入ってからが長い…
ずっと道は続くね。天気が良ければいいのにね。
15㎞なんて、あのトラックならすぐだよね。僕らは3時間かな、4時間かな…。
街が見えてきたけど、まだけっこうあるよね…。
そうして、どうやら街の外れに入ったようでした。
ブルゴスの街は大きく、ここからアルベルゲのある中心地まで、あと2時間?、いやもっとかかるかな…。
水道を見つけ、水を汲みました。
バスで行くそれぞれのカミーノスタイル!
ベンチを見つけ、休んでいると巡礼者を見掛けました。英語を話す西洋人のおじさんでした。
あの人もブルゴスのアルベルゲまで行くはずです。あと7~8㎞、抜きつ抜かれつで歩くのかなと思い、挨拶をしました。
すると…
「俺はバスで行くから。バーイ!」
右手に見えるバスステーションのほうへと行ってしまいました。
!!!!?…
そういう方法もあったんだね…。
寒いし、この時間からアルベルゲに向かえば
満員で入れない可能性もありました。
私たちは、予想外の返事に驚きながら、相変わらずテクテクと歩き続けました。
いよいよ、ブルゴスの看板を目にしました。
しかし、ブルゴスに着いた~!と思ってから長いこと長いこと…。
まだ?まだなの?ここ、もうブルゴスよね~⁈
不安になってきました。まさか、また…アルベルゲを通り越していないわよね?
途中に公園がありました。
Denは必ず遊びたがり、Chaiは先を急ぎたがります。
いつもなら、時間を見計い
「さあ、もう行こうよ。」と調整する私でしたが、もう疲れ過ぎて
アハハ~状態でした。
どうぞ好きにしなされ~!
Denはブランコに乗り、はしゃいでいました。
私はベンチに座り、うつむいてしまいました。
Chai が「りんご食べようよ。」と声を掛けてくれました。
うん…と一緒にかじりました。
すると、いつもは私が止めるまで遊び続けるDenが
さあ、行こうか。
あら、もういいの?もっと遊んでいてもいいのに~。
さあ、行こう~!
Denに出発の号令を掛けられてしまいました。
日本カミーノ・デ・サンティアゴ友の会のトモコさんに会う
ブルゴスの街は大きく、都会の雰囲気が漂っていいました。
巡礼者の杖とバックパックが場違いな感じでした。
それにしても、どこにアルベルゲがあるのだろう…。
不安になりながら、ひたすら通りを歩き続けると
あれっ?あの人、日本人みたい⁈
ええっと~?
あっ~!日本カミーノ・デ・サンティアゴ友の会の、トモコさんだ!
カミーノに出発する前、巡礼生活のあれこれをアドバイスしてくれた人でした。
わあ、こんな所でバッタリ会うなんて‼
お互いに出会いの偶然を笑い合い、写真を撮りました。
「 アルベルゲはどこですか?」と聞くと
「この近くに、寄付で小じんまりした良いアルベルゲがあるわ。」と教えてくれました。トモコさんはスペイン語が堪能でした。一緒にいたオビディオに何か話してくれました。
するとオビディオが、スペイン語で答えてくれました。それは
「オビディオの紹介だと言えば泊めてくれるだろう。」と言うことでした。
そのアルベルゲのオスピタレロと親しい友人なのだそうです。
オビディオとも、一緒に写真を撮りました。
わあ、ありがとうございます!行ってみます。
アルベルゲが見つからない〜!
トモコさんに教わった道順は
道の突き当たりの左手、道の突き当たりの左手~
あの人の名前は
オビディオ、オビディオ、オビディオ〜
3人で忘れないよう、呪文のように唱えながら歩きました。
20分ほど歩いたのですが、見つかりませんでした。
右手には、ブルゴス大聖堂が見えました。
わあ、すご~い!
素敵だあ~。
けれど、しげしげ見る余裕はありませんでした。
アルベルゲ、アルベルゲ、アルベルゲ~
とにかく、今日の宿を探さなければ~っ! あれれ?建物が少なくなってきた~。街を通り過ぎてしまうよ~。
もおお~、どこだぁ〜!
通行人に聞いてみました。すると、親切にもその人が先導してくれました。大きなアルベルゲの前まで来ると
「ここだよ。」と指をさしてくれました。
あ~、でもここはトモコさんが言っていたのとは違うよね、小ぢんまりしてないよ。5階建てだもの…。
もう、ここでいいじゃない。いいよね。入ろう!
5階にベッドをもらい、シャワーを浴びました。
あああ、温か~い!
うあ~、生き返る〜‼︎
ご褒美ディナー、ウサギとタコ!
シャワーを浴びてさっぱりし、身体が回復して来るのを感じました。
時間を見ると夜7時でした。スペインはまだまだ明るいのでした。
街の探索と晩ご飯を食べに出掛けました。
石畳の街を歩きました。子どもたちは荷物がないとスキップができそうなくらい、まだまだ元気でした。
アルベルゲのすぐ近くのバルに入りました。
さあ、みんな、今日は好きなものを頼んでいいよ~!
Denは、プルポ・ア・フェイラがある!とコーフンしていました。この一瞬のために暗記していたスペイン語で、オーダーしてみました。
プルポ・ア・フェイラ ポルファボール!
オーダーは、しっかり通じたようでした。
私はコネホ?ウサギ肉のソテーに挑戦してみようかな。 いいね!じゃ、私はシーフードリゾットね。
今日、私たちはちょっぴり上客でした。いつものピルグリムディナーという、巡礼者向けの格安セットメニューではなく、普通のディッシュを頼んだのでした。
値段もそれなりにしました。ちょっぴり、背筋を伸ばし気取って料理を待ちました。 今日は私たち頑張ったものね~。30km近く歩いたかも。えらかった~!自分にご褒美だね~。
Chai のウサギ肉ソテーが来ました。
なんかね、鳥肉みたい。さっぱりした味で食べやすかったよ。
プルポ・ア・フェイラでやけど
Denの憧れのプルポ・ア・フェイラは、茹でタコのオリーブオイル和えですが、ここではちょっと、ジャガイモでかさ増しな感じでした。
けれどニンニクが効いていて、美味しそうなにおいがプンプン漂ってきました。
いい香り、アツアツの熱々~!
ところが...
来た早々…
あぢっ!あぢぢぢ~!!
お店の人が氷を包んで持ってきてくれました。
氷、離すと痛くなるよぉぉ…。
食事中、ずっと氷をあごに付けながら、憧れのプルポ・ア・フェイラとデザートのプリンを食べていたDenでした。
お気の毒さまね〜。
ディナー代はで3人で40ユーロでした。だいたい5000円ちょいでした。 ちょっと奮発しちゃったけど、今日は本当に頑張ったものね!!
それぞれの巡礼の形
バルでごちそうを食べながら
あのおじさん、バスで行っちゃったね。ちょっとズルだよね!
いや、いいのよ。みんなそれぞれの巡礼の形があるんだからさ。
絶対、乗り物に乗らないからね。ちょっとでも乗っちゃうと歩いたって言えなくなると思う。どんなに疲れていても全部歩こうね!
うん、Denもそれがいい。それ決まり!
なんだか、Chai とDenの前向きな意地の張り方が、とても微笑ましく感じました。
柵無しベッドに策有り!
今日も3人とも、上の段でした。
あらら~、また柵が無いわ~。もう、やだ〜!
あ、そうだ、90度向きを変えて寝ればいいんだ!
二つのベッドをまたぐように寝れば
Denが横に転がっても、柵があって大丈夫なはずです!
なるほど!発想の転換だ~!!
柵無しベッドに策有りでした。
カミーノ1番のシアワセな夜
美味しいものをたっぷりと食べ、ベッド問題も解決し、いい気分でベッドに横になりました。 しかし寒い中、よく30kmも歩いたよね!迷ったからもっと歩いてるかもしれないね~。
ChaiとDenは、まだまだ元気でした。
私は子どもたちと違い、もうヘトヘトでした。
ママ、足にクリーム塗ってあげる!
Denも!
え~っ、ほんとに?嬉しい~!!
右と左の足にChaiとDenのそれぞれがクリームを塗り、足マッサージをしてくれました。
寒さに弱い私は、今日の道で一番の弱者でした。一日を通して、ChaiとDenに遅れ、さらに励まされていました。
ああ、カミーノで最高の日だ~!
私はすぐに、ぐっすりと深い眠りにつきました。