28/60 犬も耐える寒い雨、普通の事の有難さが浸みるカミーノ
5/13(木)サアグーン 雪!冷たい雨 21.3km/€33 石造り素敵な教会 @€4×2
今朝は、7時に起きました。
冷んやりとした部屋の中、寝袋が恋しいChai とDenを追い立てるようにして起こし、朝の支度をすすめました。
ここは、人が多過ぎるし、食べるスペースも無いから早く出発しよう!
そして、今は雨でした。とても冷たく寒い雨…。
ああ、やだなぁ。けっこう降ってるよ。
8時、合羽を着て、意を決し玄関を出ようとすると、ふとゴミ箱が目に入りました。
パン文化のこだわり
硬くなったバケットパンが、何本も捨ててありました。
わあ、もったいない!
みんな、硬くなったら食べないんだ。捨てるなら、くれたらいいのに~。
硬いパンのおいしい食べ方おしえるよ。板チョコと食べればいいんだよ~。
チョコラスクみたいでおいしいのに。
私たちは米文化なので、パン文化の当たり前やこだわりは、よくわかりません。もしかすると、硬くなったパンを専門に引き取る業者があるのかもしれません。
道すがらで見たトラックは、荷台に立てた木の柵の中に、硬いパンがギッシリ、詰め込まれていました。たぶん、家畜のエサになるのでしょう。
もし、そういうシステムがあるというのなら、パンを気楽に捨てられるのかもしれません。
また、日本でバケットパンを買うと、スペインの値段の3倍以上します。それなので、私は捨てられたパンが、よりもったいない~、ああ残念!と感じてしまうのでした。
雪道で靴に水が浸みる
雨の中、外に出ました。
後ろには、昨日歩いた17㎞続く道が見えました。
すぐ、靴に水が浸みてきました。
うあ~、冷たいっ!
しかも今日は、雨で靴がぐちゃぐちゃに濡れてしまっただけではありません。
雪の冷たさもこたえました。
このままだと、私たち、足の感覚を失ってしまうわ…。
足の冷たさに成すすべも無く、3人は黙々と歩きました。
この年は(2010年)5月の中旬に、雪が降るという異常気象でした。
バルで生き返る
雨は、みぞれになりました。
寒くて身体が冷え切っていました。 あ、バル発見!
9時過ぎでした。胃袋に何か温かいものを流し込んでおかないと!
先客の巡礼者が7~8人
カフェレチェのカップを包み込み、手を温めながら大切に飲んでいました。
私たちは、カウンターに3人並んで座りました。Denはコラカオ、Chaiと私はカフェレチェを頼みました。
あ~、生き返るよ〜
他に何にも考えることはなく、
今、この一杯の温かさが幸福感そのものでした。
胃袋って、すごい正直!
温めて満たしてあげると、即効で気持ちが上がってきました。
雪、雨、寒さなんて通り過ぎるだけさ!と強気になってきました。
びしょ濡れチビ犬に励まされる
バルの入り口にびしょ濡れの小さい犬が、雨宿りをしていました。
寒さと雨を逃れた軒下で、耐えるように立っていました。毛がびしょ濡れで見るからに不憫でした。
Chai が頭を撫でて
いっしょだからね。
あんな小さな犬も雨や寒さの中、外にいるんだもの。
私たちも頑張ろう!
私たちは冷たいビシャビシャの雨の中を、再び歩き出しました。
温かい飲み物とちび犬のおかげで
体力も気力も、回復しているのを感じました。
食べものがあるだけで有り難い。
このカミーノ旅暮らしの中、食事のメニューは選びようがありません。田舎の雑貨屋では、いつも似たような食べ物しか手に入りませんでした。
バケット、サラミ、チーズ、オリーブ、ピクルス、トマト、オレンジ、リンゴ、ビスケット、チョコレート、ナッツ、ドライフルーツ。
これらが食料の基本ベースでした。プラスお店にあればツナ缶、レタス、バナナ、チェリーといったところです。そして水は汲んだり買ったりでした。
カミーノ中は、ほぼ連日、これらの食材の組み合わせを持ち歩き、朝、昼、晩と食べていました。
しかし、ぜんぜん飽きないのでした。
歩いて疲れているせいもありますが、とにかくパン、ハム、チーズがおいしい!のでした。
それに私たちは贅沢な気持ちがこれっぽっちも無くなっていました。
10㎞、15㎞と歩く途中の田舎道で、座ってパンやチーズやリンゴを食べることが出来るということは、それを運んで来た重さのつらさを知っているからです。食事の時間に食べ物がある、という有り難さを知っているからでした。
今日のような雨や寒さのなか、無言で歩き続ける時のささやかな夢は、次の休憩のときのオレンジやチョコレートでした。お腹にそれらが入っただけで、
ぐぐぐーん!とエネルギーがチャージされる感覚があり、また先へと歩けるのでした。
日本に帰ってピクニックに行くとしたら、このカミーノのシンプルメニューを思い出して持っていこう。
と思うくらい、これらの食べ物はベストチョイスなのでした。
雨の中をハイペースに歩く
雨の中を歩くと、意外とペースは上がりました。
早くアルベルゲにたどり着きたい一心が、左右の足をいつもよりハイペースで押し出すのでした。
疲れてはいますが、休む時間が惜しいのでした。
雨の中に長い時間居ればいるほど、消耗してしまうので、限界が来る前にアルベルゲにたどり着いてしまいたいのでした。
休憩も、立ったまま休みました。
お昼ごはんは、手でバケットに穴を作り、チョコを詰め込んで、歩きながら食べました。
雨の中のトイレは「仕方がない」事ばかり
Denは男子なので、トイレはいつもその辺で済ませることができました。
Chaiはトイレに長時間行かなくても大丈夫な人でした。
トイレ問題を抱えているのはいつも私でした。雨の日はことさらゆううつになるのでした。
左右には麦畑があるのみ。高さのあるものは何も見当たりませんでした。
木や建物があれば、その後ろを探すのですが、今日はうまく見つかりませんでした。あったとしても、下草や足場が悪く近寄れないものでした。
しばらく何も隠れるところが無いのでした。
トイレタイムした~い!
もう一時間半、限界を我慢していました。
ほんとにもう超限界だわ!
決心しました。
そうなると、連れの2人は、ザーザ降りの雨の中、立ちんぼで待つことになるのでした。
トイレ!? え~っ、いま?
我慢できないの?
ごめん、我慢できないわ~。
人が歩いて来ないことを祈りながら無事に済ませ、ホットした安堵感はあるものの、顔や手、靴、バックパックまでも、雨でずぶ濡れになってしまうのでした。
あ~、仕方な~い…。
雨の中、待ちぼうけの人
そして、かわいそうなのは雨の中で待ちぼうけの人たちでした。
ごめんね~!! 寒かったでしょ。
ChaiとDenは、野っぱらで見た馬のように、雨に打たれるがまま立っているのでした。
は~い…。
う~ん、寒いよ~っ!
そして、ママのせいでロスタイム!
それを心に持っているのでした…。
私のトイレタイムの後、3人はハイペースとなり、黙々と歩くのでした。
スタスタスタ~!
失なわれた時間と距離を取り戻すかのように…。
雨が止んだね、はやくアルベルゲ着きた~い!
空が少し明るくなってきました。
サアグーンのアルベルゲ
橋を渡ると古い教会が見えました。ムデハル式ロマネスク様式の聖母教会でした。イスラム教の影響が入った建築デザインでした。
貨物列車が通る線路沿いを歩きました。
アルベルゲには14時に着きました。
悪天候の中21.3kmを歩きました。
受付のお姉さんはDenを無料にしてくれました。
ラッキー!! グラシアス!!
サアグーンのアルベルゲは、大きな教会の2階に、2段ベッドが100台ほどありました。
ロンセスバージェスの時のような大人数の大部屋は、騒がしくて落ち着かないのですが、ここの良さはベッド一つひとつが木の板壁で仕切られていることでした。
今まで、ほとんどがパイプ製の二段ベッドだったため、いつでも隣の人、さらにその奥の人の一挙手一頭足が丸見えでした。
今晩は、間仕切りがあります。
たったそれだけで、プライベートが守られるのでした。
それが、どれほど安心感があることかというのを実感しました。 ここは、居心地がいいね!
Soloスーパーメルカドで買い出し
アルベルゲにキッチンがありました。調理用具が揃っていて使いやすそうでした。
ダイニングルームの天井が高くスペースもあり、居やすい雰囲気でした。
今日はディナーにパエリアつくろうか!!
サアグーンの教会は、少しイスラム的なデザインで趣がありました。
スーパーメルカドを探して歩きました。
Soloというお店を発見しました。
安い!品ぞろえも豊富!!
お肉売り場も充実!
豚肉、にんにく、パエリヤ用の米、ほか野菜、たまご、イチゴ、スモモ、生クリームスプレー缶、赤ワイン、ミルク、パン、コーンフレーク、ナッツを買いました。全部で18.5ユーロ、だいたい2400円ぐらいでした。
パン屋さんもありました。
こんなカルメ焼きのような焼き菓子をかいました。カリカリとおいしいのだけれど、甘くていっぺんには食べられません。
パン屋さんでたまごが売っていました。
バルの前でパチリ!
写真館を発見しました。
大きめの街には、必ずありました。スペインは写真館で写真を撮るのが、かなりポピュラーのようでした。
おいしい匂いは人の笑顔を呼ぶ
サアグーンのアルベルゲに戻りました。
以前、トサントスのアルベルゲで教わったように、パエリヤを作りました。肉を焦らずゆっくり、にんにくとオリーブオイルで炒め、油と旨味を出します。それから野菜、水、ブイヨン、米を入れて煮炊きしました。
キッチンの場所は、階段を上ってすぐのところにありました。
にんにくの香りをぷんぷんさせながら料理をしていると、たどり着いた巡礼者たちが
「うまそうな匂い!」と叫びながら階段を上がってきました。
「何作ってんの?」とフライパンをのぞいていく人。
「味見させて!」とパエリヤをパクッと食べて
「うーん、塩味が足りないね。」とコメントをくれるおじさんもいました。
おいしい匂いって、人の笑顔を呼ぶのね~。
知らない人同士、和やかなコミュニケーションが生まれていきました。
そして、こうやって料理ができると、温かいものや、野菜料理をたっぷりと食べることが出来るのでした。いくら、パン、ハム、チーズ、リンゴが美味しいといっても、野菜が不足になりがちでした。
キッチンがあり、近くにスーパーメルカドがあるアルベルゲは、本当に有難いのでした。
ホットケーキを焼く
アルベルゲのキッチンで、チェックした使ってよい食材に、小麦粉と砂糖がありました。
Chaiは、たまごを買いました。
たまごと小麦粉と砂糖でパンケーキ作ってみるね!
わあ、やったー!
イチゴと生クリームスプレー缶も買ってありました。素敵なデザートが出来そうです。
バルのピルグリムディナーみたいだね。ご馳走だね!
今日の寒さ我慢大会の賞品は、パエリヤとイチゴパンケーキでした。
お腹も満たされ、いい気分でした。
寝る前までキッチンの食堂で日誌や宿題をしたり、お茶を飲んだりしてのんびりと過ごしました。
バケツいっぱいのサラダ!
私たちの隣で料理している人は、ひそかに皆の注目を浴びていました。
お相撲さんのように大きなおじさんでした。どうやらサラダを作るようでした。
レタスを3つ、キュウリ5本、トマト4個を並べていました。
ここには26㎝の平皿しかありませんでした。
大きなおじさんは、シャワールームへ行きました。プラスチックの青い掃除用のバケツを取ってきました。
それをキッチンでジャブジャブと洗い、切った野菜とハム、チーズを入れ、バケツいっぱいのサラダが出来上がりました。
豪快なバケツサラダでした。
あら、すごーい!でもあのバケツ、さっきシャワールームでモップが入っていたのよね~。まあ、洗えばいいのか…。あのサバイバル精神は見習わないといけないわ!!
見習わなくていいってば!
さて、、、
だんだんと眠くなってきました。
今日は、ベッドに間仕切りがあるので、とてもリラックスし、直ぐに眠りにつくことができました。