49/60サンティアゴ巡礼タコ料理で乾杯!巡礼仲間は夢をくれる
6/3(木)→リバディソ・デ・バイソ 朝焼けが見えない 26km/€33 公営イソ川近く @€5×2
昨夜もかなり暑く、寝苦しい夜でした。私はベッドが窓の近くで夜風が入り、かなり助かりました。
トイレに行きた~い。
6時にアルベルゲを出発することができました。
まだ、薄暗い中を歩きました。
朝焼けが見れたらいいね!
ところが、今日は朝焼けが見えませんでした。
曇りなのかな、朝焼けが見えないなんて…、そんなこともあるんだね。残念!
せっかく朝焼けショーを観れる~と思って、頑張って早起きしたのに….。
このところ、日中は本当に暑さが厳しくなるので、距離を稼ぐためには朝10時までが勝負でした。
早く、はやく~!
時間を惜しみ、歩きながら朝食をとり、立ちながら休みました。
私たちはまるで
「バックパックを地面におろしたら負け!」
というゲームをしているようでした。
朝もやが掛かっていました。
今はまだ、涼しくて歩きやすいのでした。
古くで素朴な教会がありました。中がどうなっているのか気になりましたが、とにかく今は先を急ぐのでした。
カミーノの道標
犬がコンニチハ!
59㎞という何でもない数字のカミーノの道標は、静かに存在していました。
節目の数字の道標は、たいてい名前を落書きされているのでした。
こんな風に、靴が置いてあったりすると、どんなストーリーで置いていったのかな~って気になるね。
草っぱらの田舎道を行きました。まだ8時半だというのに、人が前後に連なるように歩いていました。
石造りの家に朝陽が当たり始めました。
スペインのドーナツはアニス
8時45分、手ごろなバルを見つけました。
カフェラテ、コラカオ、ケーキ、そして道での休憩おやつとして、袋に8個入りのドーナツを買いました。
お皿の左側に、割って置いてある、割ったかけらがそうです。
カミーノのあちこちのお店で見掛けるこのスペインの地元ドーナツは、ロスキージャといってオールドファッションを小ぶりにした硬めなタイプでした。 おいしそう~!
ChaiとDenは一口かじると これ、いらない〜。 ああ~、ニオイがダメ~・・・。
ドーナッツ全体の風味がシナモンではなく、アニス=八角?の香りがしました。ChaiとDenは、それが中華料理っぽくて変、というのでした。
う~ん…、そうかしら…。
よくよくスパイスを嗅ぎ、確かめてみると… なるほど…、これもそうだったのね~。
前にも同じような大きさのドーナッツを買いました。それと同じ香りでした。その時もChaiとDenは、手を付けませんでした。
今回は違うと思って買ってみたのですが...
これもそうだということは…、
この国の?、この地方の?、この大きさのドーナツは、アニス(八角)の風味がスタンダードということなのね!
でもそれはそれで、そういうものだと思えばおいしいのに~。また、8個全部、私が食べるの〜?
そこへSNおじさんが通りがかりました。6時40分に出発したのだそうです。 えっ~、わたしたち、40分早く出たのに、もう追いつかれてしまったんだ…。
私はドーナッツをSNおじさんにすすめてみました。 よかったらいかがですか。
「お~、ありがとう!」
SNおじさんはと私は、ドーナッツを美味しく食べながらカフェレチェを飲みました。
バナナの色
途中、果物屋さんがありました。
DenとChaiはサクランボを2ユーロ分買いました。
4人は一緒に歩き出しました。
SNおじさんが先頭で、私たち3人が後に続きました。今日も日差しが、強く照り付け始めました。
SNおじさんのバックパックには、ビニール袋に入れた
一本の真っ青なバナナが、ゴムでぶら下がっていました。
そのバナナが歩く度に
ビヨーン、ビヨーン!
と揺れに揺れていました。
10分、30分、45分~と時間が経つにつれ、バナナは徐々に黄色くなっていくのでした。
私は、そんなささいなことが面白く、歩きながらついついそこに目がいってしまうのでした。横目で見ると、ChaiとDenも同じようでした。
暑さの中、2時間ほど歩きました。
4人は、お昼ご飯にしようと、適当な木のベンチを見つけました。
私たちは座るやいなや
「バナナがどんどん黄色くなるね!」
と、3人同時に一言一句、違わずに声をあげました。
私もChaiもDenも、すごく気になっていたのでした。
SNおじさんは
「そうなの?お、食べごろだねぇ。一緒にべよう。」
と一本のバナナを、ナイフで4つに切り分けてくれました。
ええっ!貴重な1本のバナナを4人に分けてくれるなんて!
私はSNおじさんの優しさにいいショックを受けました。バナナ一本でも重いのです。ずっと運んできたのだから、当然一人で食べるのだと思っていました。
バナナを4人で分けるなんて…
そんな発想がなかったものだから、余計に嬉しくなりました。
うわあ、甘~い!
サリアから増える巡礼者
巡礼者たちは、10時を過ぎたころから増えてきていました。
前に、アラン先生が言っていた通りだね。
途中、3歳の男の子が両親と三輪ベビーカーと一緒に歩いていました。
わあ!100㎞を頑張るんだね。
ムーチョ・ペケーニョ!(とてもちび助)だね!
人がいっぱいだね。アルベルゲの定員が心配になるよ~!
素朴な教会
途中、石造りの古い教会がありました。ドアが開いていて中に自由に入ることができました。
素朴なマリア様の像がありました。
これはまた、別の教会です。
教会の中には、素朴で素敵な祭壇がありました。
サンティアゴ近くのモニュメント
暑くなってきた~。
サンティアゴの街が近づくと、このようなモニュメントをいくつか目にしました。
スペイン語が解らないので、なんて書いてあるのかわかりません、残念~。
古い石橋を渡りました。
何百年とここにあって、数えきれないほどの巡礼者たちが渡って行ったのね~!
プルポ・ア・ラ・フェイラというメリデのタコ
歩いていくと、道の途中で一台のタクシーが停まりました。
すると、ドライバーとSNおじさんは、お互い手を挙げて挨拶をした後、スペイン語で話し始めました。
タクシーの運転手は
「じゃあね、良い旅を!」と言い巡礼客の荷物を運ぶため、ペンションへと向かいました。
歩きながらSNおじさんは
「あと2~3㎞でメリデという街でね。そこはタコ料理 が有名なんだよ。どの店がおいしいかな?ってドライバーに聞いたんだ。あの運転手は、よく会うので顔見知りになったんだよ。」ということでした。
Denは思い切りはしゃいでいました。 プルポ!プルポ!プルポ・ア・ラ・フェイラ~!
「ポルファボール」=「〇〇をください」
というのを見つけ、いざという時すぐに使えるようにと、この言葉を練習していました。
☝チュッパチャップスください→「チュッパチャップス ポルファボール」
☝ゆでダコください→「プルポ・ア・ラ・フェイラ~ ポルファボール」
町が近くなると、呪文のようにこの言葉を唱えながら歩いていました。
それほど、タコ料理を楽しみにしていました。
以前、ブルゴスのバルで食べましたが、タコよりもジャガイモが多く、しかもアゴをやけどしました。
メリデの町にはいると、店の前に大きな茹でたタコが逆さまにディスプレイされていました。
わあ、ちょっと怖っ!ディスプレイなぞ! でも、うまそ~う!
お店の中を見ると、人がワイワイ、ビールと共に豪快なぶつ切りタコを食べていました。
わあ、仲間にいれて~!
お店に入ろうと!と思いきや
SNおじさんは素通りしてしまいました。
えええっ!
「ここじゃないんだ~。」
ハーイ…。
気持ちはすっかり、座ってタコ料理でした。
もう少し頑張って歩き進むと、別のお店がありました。
「ここだ!」
私たち4人はテーブルに付きました。
まわりを見ると
どのお皿にも、たっぷりとタコが乗っていました。
「1皿でいいやね。」とSNおじさん。
飲み物をたのみました。ChaiとDenはコーラでした。
SNおじさんは、当然のように私の分までビールをたのみました。
私はカミーノを歩いている途中で、ビールやワインを飲んだことはありませんでした。基本的にアルコールに弱いので、歩き終わってアルベルゲでくつろいだ時にしか飲みませんでした。
ここでビールを飲んでしまうと、バックパックを背負う足元がふらついて、この先かなりしんどくなると思いました。しかし…。 こんな美味しそうなタコとこの暑さ。ビールを飲まないわけにはいかないわ!後半、這ってでもがんばるのだっ!
まずは
「サル~!カンパ~イ!」
わお!タコが来た~!
ああ、嬉しすぎる!憧れのプルポ・ア・ラ・フェイラ~だよぉぉ!
木の皿にタコのぶつ切りが山盛りでした。
オリーブオイルと塩コショウ、パプリカが掛かっていました。 うん、ピリ辛でおいしい~!
パンもモチモチしていて美味しい〜。シアワセ~!
次々と茹でられるタコ、タコ、タコ!
厨房は大忙しでした。
さて、プルポ・ア・ラ・フェイラで幸せになったところで、バックパックを背負い、再び歩き出しました。
あと10㎞か~。ハァヒィ…。
あ~、タコのおいしかった町よ、
サヨ~ナラ、またね!
牛馬牧場ストリート
家が、だんだん少なくなってきました。
こんな標識がありました。
牛…? ウシに注意ってこと?
あと、サンティアゴの街まで49.5㎞。草っぱらには馬がいました。
木陰に牛が集まっていました。黒白のホルスタイン種でした。
牛だって暑いんだね…。
うわーん、牛の臭いが…。
イソ川沿いのアルベルゲ
アルベルゲに着きました。
今日泊まるところは、イソ川という川沿いにあるアルベルゲでした。
着いてから、レセプションで40分ほど並んで待たされていました。少しづつ進み、やっと順番が近くなりました。
すると、受付のお姉さんは
「あと7人!」
と叫びました。私たちはセーフでした。
うしろ3~4人を残して、並んでいた十数人が
「あ~あ…。」
と残念な声を上げ、バックパックを背負いのろのろと歩き出しました。
次の2.7㎞先のアルベルゲまで歩くのだろうか。荷物と今日のこの暑さ、きついだろうな…。
するとChaiが
私たちは3人だけれど、ベッド2つで良いです!
受付のお姉さんは、大きな声でChaiに応えました。
「サンキュー!」
また、別の声が叫びました。
「僕はテントを持っているから、僕のベッドを誰かにあげて!」
大きな荷物を持ったヒゲのお兄さんでした。
再びお姉さんが「サンキュー‼」
これで、ベッドが2つ空き、二人が救われました。
「今日のお仕事、お疲れさま~!」
働き者の靴たち。
アルベルゲでくつろぐ人々
このアルベルゲは広い庭がありました。
巡礼者たちが、日向ぼっこする芝生やベンチがイイ感じに点在していました。
さっきのヒゲだらけの青年は、フランスからきたニコラスといいました。
Chaiは、英語とイラストで、しばらくおしゃべりをしていました。
ここガリシア地方のアルベルゲは、キッチンはあっても、鍋釜などのキッチン用品が一切無いのでした。
そんな中でニコラスは、ミントの葉を摘み、四角いアルミのお弁当箱で煮出し、砂糖を入れたミントティーを作っていました。モロッコを旅した時に覚えたのだそうです。
あら、Chaiったら、英語で楽しそうにコミュニケーションとってるわ~。
Chai は、しばらくして戻ってきました。
ニコラスね、絵本を描いているんだって!ああ、もっと英語が話せたらなぁ。
英語が流暢に話せたらなぁという夢を、この時にもらいました。
私は、カナダから来た黒人のお母さんと、身振り手振りを加えながらおしゃべりをしていました。
娘の大学の卒業記念に、サリアからサンティアゴ大聖堂までを、一緒に歩きにに来たそうです。
そういう節目や記念にカミーノに来るっていうのもいいわね~!60歳の還暦になったら、また来てみたいわ!
絶対に体力を落とさないようにしたい!
再びカミーノに来れるように...。
今後の自分に、そんな夢を抱きました。
アルベルゲの庭に沿うイソ川に、足をひたしてみました。 うわっ!冷たい!!だけど気持ちいいよ~。疲れが取れるよ~。ママもおいでよ!
ハーイ!
あ、トンボ!
暑さの中やっと休める~。
今日は、アルベルゲにギリギリで入れて良かった…。
そして、26㎞を歩いてきた~!という達成感…。
とてもハッピ~な気分になっていました。
日本人のお兄さんに夢をもらう
アルベルゲの隣のバルで、SNおじさんがビールを飲んでいました。SNおじさんは近くのペンションを予約してあるのでした。
あ、ほら、前に見掛けたお兄ちゃんがいる!
「ども。ピノです。」
「私はKumi3、ChaiとDenです。」
私たちは、お互いにざっと自己紹介をしました。
「なんだ~、Kumi3は鍼灸マッサージ師なの?いま鍼もってないの?足に打ってほしかったなあ。」とSNおじさんが口を挟みました。
ピノは5年前に世界一周をしていました。
ええっ!期間はどのくらい?費用は?
「1年間の旅で130万ぐらいかかったんですよ~。」とピノは言いました。
「いまは、何やってるんだい?」とSNおじさんが聞きました。
「料理やってるんですよ。いつか、
スペイン、イタリア料理レストラン、自分でやりたいっす。」と言いました。
「SNおじさん、ピノがレストラン開いたら食べに行きましょうよ。」と私が言うと
Denも行きたーい! スペイン料理、魚介があっていいよね!
「いいねえ、是非行こう。」とSNおじさんも言いました。
「OKですよ!頑張るっす。」とピノは答えました。
私は、世界一周をした人に初めて会いました。
世界一周かぁ、いつか行ってみた~い!
そして、ピノはカミーノに行く前にモロッコを旅して来たのでした。
「何もかも青い街があるんですよ。シェフシャウエンて言うんです。もう、そこがすご~く良かったんですよ。絶対おすすめです!」
へー、全部が青い街だって!モロッコってアフリカ?行って見たい‼ Denが買ってもらったスペインのお土産のお財布、モロッコ製って書いてあったよね。
あ~、そうだった!スペインのお土産に買ったのにね!よく見ないで買ったらモロッコ製だったのよね~。
ピノに聞いてから、Denを始めとした私たち三人は、アフリカ大陸に上陸してみようか…という夢を抱きました。それは心の準備も荷物の準備もなく、大それたことのように思えました。
(そして…、カミーノの後モロッコへ行くことに…。)
私は、ピノに質問攻めでした。
どこの国が一番良かったの?
「メキシコが良くて、3か月も居ちゃったんですよ!ご飯と人が良くて!」
イスラム教の国はどうだっだの?
「それが、旅人をもてなすという教えがあって、よくご馳走してもらったんすよ。」
楽しい会話は続きました。
暑さの中、ビールとコーラはみんなの喉にグビグビと吸い込まれていきました。
ピノの話だと、巡礼はサンチャゴ・デ・コンポスーラの大聖堂で終わりではなく、その先の大西洋の町フィステラまで続いているのだそうです。それは、知っていました。
するとピノは「そして、もっと先まであるんすよ。
最果ての地、ムシアで最後なんですよ!」
と教えてくれました。
どうせなら、そこまで行ってみたいナ。大西洋が見てみたい!
ピルグリムディナー
夕食はピルグリムディナーを頼みました。
DenとChaiは前菜にパスタ、私はスープを選びました。パンとメインディッシュ白身魚、鶏肉のソテー、デザートヨーグルト、といったコースでした。
また、ここでもハウスワインが出ました。
私は赤ワインを連日のように飲んでいるかもしれません。水と同じように、テーブルに出されるのでした。大聖堂まで100㎞を切ったので、毎日が前夜祭のような気持ちになるのでした。
豆のスープは具がたっぷり。パスタはケチャップを掛けただけかな…。
食事の後は歯磨きしなくちゃね!
夕焼けの中、口琴を教わる
夜9時、まだまだ洗濯物は、日差しを浴び気持ちよさそうに揺れていました。
アルベルゲの裏手は芝生とベンチが点在していました。洗濯物を取りに行くと
ビヨ~ン、ビヨ~ン...
不思議な音がしました。
なんだろう。バネみたいなカワイイ音~。
音のするほうへ行ってみると、ピノでした。
「これは、口琴(こうきん)ていうんだよ。」
ピノは、Denに口琴の鳴らし方を教えてくれました。
びょん、ぴよん…
さらに、ピノはこんな楽器も教えてくれました。
「これはディジュリドゥって言ってね、ずっと切れ目なく吹き続けるんだよ。息継ぎしないで、鼻で吸いながら、口ではずっと吐き続けるんだよ。練習が必要なんだ。」
と言って、ピノは、前に見た時に持っていた長い金属の棒を笛のように吹き出しました。
ぶおおおぶう~ぶううぶぶぶ~
夕方の原っぱに、素朴な楽器の音が鳴り響き心地よい風が吹きました。
ピノはスペイン語を話すことができました。
ChaiとDenに、スペイン語のウケるフレーズを教えてくれました。
それは「お前のカーちゃんでーべーそー」みたいなやつでした。
ぷーたまーどれ?
「だめだめ。大きな声で言っちゃダメ!」
ピノは、すごく怒った時に言うんだよと言いました。
お互いに今までのカミーノのこと、食べ物のこと、日本のことなど、話しは尽きませんでした。
ちぎれた雲が陽に反射し、金色に光り始めました。
足のマメの実験
さあ、明日の準備があります。10時にアルベルゲへ戻りました。
木枠の2段ベッドの上下で寝ました。
以前、履いてきた靴が壊れ、奇跡的に手にした靴は、ピッタリサイズだったのですが、2、3日前から、両足の小指にマメができてしまいました。
それは、左右まったく同じような水ぶくれでした。 水を出したほうがいいのかな?、そのままにしたほうがいいのかな?…。
実験をしてみることにしました。
右足のマメは水を出しました。(小さなナイフの先端でチクッと切れ込みを入れました。)
左足のマメはそのままにしておきました。
さて、この実験、どうなることやら。