サンティアゴ巡礼が教えてくれた学校では教わらないこと

59/60カミーノ最後の歩き、母激しい腹痛、守る側が守られる特別な日

Kumi3
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613ムシア サンティアゴ巡礼 最終地Muxia 23手つなぎ
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Kumi3
「学校に行けないなら、旅に出てみようよ!」と不登校をきっかけに15歳次女と弟10歳を連れ、サンティアゴ巡礼・カミーノへ行くことにしました。930kmを60日間かけて歩きました。もちろんカミーノは初めてです。英語もろくに出来ない私は、一体どんな旅になるのか見当もつきませんでした。そんな体で子どもたちを、異国のスペインに連れ出してしまうのですから、本当にチャレンジャーでした(-_-;)。けれど、何かを変えてみたかったのでした。
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6/13(日)→ムシア 朝ラーメン 38km/€35 公営@€5×3

 

早く出発したいのですが、昨日寝たのはを過ぎていました。

今日は、28km歩く予定でした。

遅くとも8時には出発したいわ~。

Kumi3

午前中に距離を稼いでおけば、午後の疲れ具合は断然、楽になるのでした。

ChaiとDenは、ぎりぎり7時20分まで寝かせてあげることにしました。

いよいよ二人を起こし、足にササッ~とクリームを塗りマッサージしました。

ずっと続けてきた、歩くための足のマッサージ儀式でした。

今日で、最後になるんだわ…。

Kumi3

素早く、そして念入りに終わらせました。

613ムシア サンティアゴ巡礼 最終地Muxia 朝ごはんラーメン

朝ごはんはラーメンにしました。お腹を温めるとともに、今日のやる気を呼び起こすためでした。

 

フィステラ出発早々、大迷子!

 

8時、出発しました。

613ムシア サンティアゴ巡礼 最終地Muxia フィステラ町出る 12

昨日、フィステラのフェロー岬で大西洋に沈む夕焼けを観ました。

カミーノ、またはサンティアゴ巡礼の終了の儀式でした。

巡礼のゴールはサンティアゴ大聖堂です。

私たちは、時間に余裕があったので、さらにその奥のフィステラ、大西洋の海までカミーノを続けたのでした。第二の巡礼終了地でした。

今日行く予定のムシアは、第三の巡礼終了地でした。

そして海に面したムシアは、ヤコブの縁りの地でもありました。

ヤコブは、布教活動が上手くいかず自分の力不足を海辺で嘆いていたところ、小舟に乗った聖母マリアが彼の前に現れ、励ましてくれた…という逸話が残る奇跡の地でした。

そこまで歩けば、ムシアの巡礼証明書が発行されるということでした。

ここフィステラからバスで行けば、1時間程度で着く距離なので多くの人は日帰りで訪れるのでした。

それゆえに、歩いて行く人は格段に少なくなるのでした。

日本に帰るまで、日にちに余裕があるし、カミーノの最後の最後まで歩いてみたい!

Chai

ムシアまで行こうよ。ピノたちも行くって言ってたよ!

Den

ムシアまでの道は、歩く人の数が少ない分、道標や黄色い矢印も少なく、道の整備がほとんどされていないと聞きました。

しかも28㎞の間、お店が無いということでした。食料や水を用意し持って行かないといけないのでした。

そうね、最後の大きな山ね。チャレンジしてみよう。ここまで巡礼に慣れて来たしね!

Kumi3

613ムシア サンティアゴ巡礼 最終地Muxia フィステラ海 ガードレール

曇り空の下、右手に海を見ながら、国道沿いを歩き出しました。

 

613ムシア サンティアゴ巡礼 最終地Muxia フィステラ海 六角家

出窓がたくさんある屋根の家が、見えました。

サンティアゴの街で、巡礼仲間からもらったガイドブックによると、

『ガソリンスタンドのところで左折する…。』と書いてありました。

ガソリンスタンドはあったけれど、左に入る道はどこにもないのでした。

きっと次のガソリンスタンドなのだろう??とその先をしばらく歩き続けました。出遅れていたのと、歩き始めで体力もあり、どんどん歩き進めてしまいました。

なんか、違うみたい…。

Chai

そうね、戻ろうか…。

Kumi3

やっぱり、さっきのガソリンスタンドのことだったんだ…。

613ムシア サンティアゴ巡礼 最終地Muxia フィステラ道 2正面

でも、ガソリンスタンドのところを左に行く道は、絶対に無かったよ!

Den

ママも、そう思うんだけど…。う~ん、とにかく戻ろう。

Kumi3

このまま行くとダメな気がしました。

ガソリンスタンドから、30分近く歩いて来ていました。

行って戻って60分のロスタイム…

しかも長距離を歩くには、出発時間が出遅れていました。

貴重な午前の時間なのに、フィステラの街から出ることすら出来ず、右往左往していました。

道標や矢印がどこにも見つからず、人通りも無く、道を聞くことも出来ませんでした。

私たちは、あせり出しました。

613ムシア サンティアゴ巡礼 最終地Muxia フィステラドア緑

ふと見た家のドアに、配達したパンの袋が掛かっていました。

 

613ムシア サンティアゴ巡礼 最終地Muxia 田舎道 黒犬

「あれ?さっき通ったのに、また戻るのかい?さては道に迷ったな!」

黒い犬が、不思議そうに見ていました。

 

救世主、ワンダーウーマン!

 

すると向こうから、巡礼者らしき女の人が歩いて来ました。

チャンスとばかりに駆け寄り、道を聞いてみました。

「あら~、随分と来てしまったね。2キロぐらい戻って曲がるんだわ~。」と言いました。

その人はUターンをして、私たちを先導してくれました。

ムシアへ向かう、左に上がる坂道の入り口まで来ると

「私もムシアへ行こう。」と、その人はその場で行先を変更してしまいました。

ええっ、いいんですか?

Kumi3

Si  Si! (いいよ、いいよ)

613ムシア サンティアゴ巡礼 最終地Muxia フィステラ道 12c

彼女のいで立ちは

困った人を助けるワンダーウーマンでした。

そして、いきなり行き先を変更する、風まかせっぷりが、

最高にいい感じでした。

 

613ムシア サンティアゴ巡礼 最終地Muxia フィステラ道 12c正面

その人は、カルメンと言いました。

一緒に歩いてくれて、とても心強く感じました。

 

613ムシア サンティアゴ巡礼 最終地Muxia フィステラ舗装路 正面石垣 12c

私たちは、しばらく4人で歩きました。

 

フィステラ大西洋の街とお別れ

 

坂道を登り歩いて行くと

613ムシア サンティアゴ巡礼 最終地Muxia フィステラ海 グレイ

大西洋とフィステラの街が眼下に広がりました。

ここで昨日、巡礼仲間たちと手作りパエリヤを食べ、海水浴をし、大西洋に沈む夕焼けを観ながら乾杯し、胸がいっぱいの嬉し涙がこぼれました。

613ムシア サンティアゴ巡礼 最終地Muxia フィステラ海 2

さよなら、フィステラ!

Den

613ムシア サンティアゴ巡礼 最終地Muxia フィステラ海 1

フィステラ!楽しかった。また、いつか来るね。

Chai

613ムシア サンティアゴ巡礼 最終地Muxia フィステラ海 街

フィステラ、たくさんの思い出をありがとう!

Kumi3

613ムシア サンティアゴ巡礼 最終地Muxia フィステラ教会

素朴な石造りの教会は、朝の日を背中に受けながら、私たちを送り出してくれました。

 

ロバくん、一緒に来るかい?

 

草っぱらにロバがいました。

613ムシア サンティアゴ巡礼 最終地Muxia 田舎道 ロバアップ前にポニーの触り方を教わっていたので、代わる代わる撫でてみました。

 

613ムシア サンティアゴ巡礼 最終地Muxia 田舎道 ロバ1

How are you? 元気~?

Chai

こんちわ~!

Den

613ムシア サンティアゴ巡礼 最終地Muxia 田舎道 ロバこちら見る

ポニーは人懐こく

「ええっ、もう行っちゃうの~?」という顔をしながら、見送ってくれました。

 

速足カルメンと別れる

 

カルメンは、健脚で速足でした。

613ムシア サンティアゴ巡礼 最終地Muxia フィステラ舗装路 12c後ろ姿 

私たちの中で一番速足のChaiが、やっと付いて行ける速さでした。

カルメンはムシアまでの道を、力強くけん引してくれました。

 

613ムシア サンティアゴ巡礼 最終地Muxia 田舎道 犬2匹こちら見る

「ほらほら、お母さん遅れてるよ。置いて行かれないようにね!」

2頭の犬が、そんな顔で私を見ていました。

 

10時半、休憩にしました。

613ムシア サンティアゴ巡礼 最終地Muxia フィステラ道 チョコビおやつ

チョコビスケットと水を飲みました。

バックパックを下ろしたカルメンは、財布から何かを取り出しました。

それは、成人したハンサムな息子さんと、おしゃれな娘さんの写真でした。

カルメンは、子どもたちが独立したので、自分のカミーノを歩きに来たのでした。

わあ、カルメンもお母さんなんだ!

Kumi3

もっと、たくさんお話しがしたかったのですが、スペイン語なので、身振り手振りで、簡単なことを伝え合うことしかできませんでした。

休憩が終わり、皆でバックパックを背負いました。

するとカルメンは

「先に行くね!」と自分の足をパンパンッ!と叩き、笑って見せました。

ああ、はい。どうぞどうぞ。先に行ってください!

Kumi3

カルメンが、私たちの速度に合わせ加減して歩いていることが、よく分かっていました。

カルメンと一緒だと心強いけれど、このまま気を遣い、ずっと合わせながら歩いてもらったら、きっとカルメンは疲れてしまうだろう…。

ムーチョ・グラシアス!!

Kumi3

私たちは、カルメンとぎゅっ!ハグをして別れました。

カルメンがいて、本当に助かったね!

Den

行き先まで変えて、道案内してくれるなんて!! 嬉しいね!

Chai

 

しぶり腹、トイレ休憩の嵐

 

途中、Den

トイレ~!暑い、上着脱ぐ~!

Den

と、休憩が入りました。それは、通常のことでした。

普段からトイレの近い私ですが、今日はお腹の調子が変でした。

トイレ休憩ね、待ってて~。

Kumi3

また、トイレね。ちょっとお腹痛いのよ〜。

Kumi3

613ムシア サンティアゴ巡礼 最終地Muxia 3アップ 田舎道12

もう一回トイレね、ごめんごめん…。

Kumi3

またか…。は~い。

Den

私は、何度も何度もトイレ休憩を取り、ChaiとDenを足止めしていました。

今日は長距離なので、少しでも早く前に進みたいと思っているのですが、今までにないほど、お腹が不調で下痢が止まらないのでした。

今朝、日本から持って来た整腸剤を5錠、飲んで来ました。

まったく…。せっかく最後のカミーノなのに…。

Kumi3

お腹を押さえながら、騙しだまし歩いていました。

 

高床式穀物保管庫、オレオ

 

さらに道案内の矢印、道標が見つからず、どこを歩いているのか、わからないのでした。

613ムシア サンティアゴ巡礼 最終地Muxia フィステラ泥道 12後ろ姿

しばらく未舗装の田舎道が続きました。

 

613ムシア サンティアゴ巡礼 最終地Muxia ムシア 田舎道穀物倉庫これは、ガリシア地方でよく見られる高床式穀物保管庫・オレオと言いました。中にトウモロコシやジャガイモなどを貯蔵しておくのでした。

 

613ムシア サンティアゴ巡礼 最終地Muxia 田舎道 犬12

家があると、そのまわりには必ず犬がいました。

それら犬たちは、首輪をしていたりしていなかったりでしたが、ロープや鎖でつながれている犬はいませんでした。

日本の猫のように、自由に歩き回っているのでした。

613ムシア サンティアゴ巡礼 最終地Muxia フィステラ道路 石垣1後ろ姿

また、左手に穀物保管庫・オレオが見えました。

 

613ムシア サンティアゴ巡礼 最終地Muxia 田舎道 犬人面

そしてまた、自由な犬たちがいました。柵の向こうにも2頭がくつろいでいました。

 

車の人が教えてくれた道

 

田舎道を行きました。

613ムシア サンティアゴ巡礼 最終地Muxia フィステラ杉道は 12正面

3人は出来る限り注意しながら、ムシア行きの矢印、標識を探しながら歩きました。

 

613ムシア サンティアゴ巡礼 最終地Muxia フィステラ道路 12後ろ姿

田舎道から、しばらくアスファルトの道が続きました。

 

613ムシア サンティアゴ巡礼 最終地Muxia ムシア 田舎道 1 左海

海に沿って歩いているから、方向は間違っていないよね…。

Chai

私たちは、今までの巡礼路で頼りにしていた黄色い矢印をしばらく見ていませんでした。

613ムシア サンティアゴ巡礼 最終地Muxia ムシア 道 2後ろ姿

この道でいいのか、常に不安でした。

追い越していく車が「頑張れ!」と声を掛けてくれたので、この道で合っていますか?と聞いてみました。すると…

「そうだよ、この道をまっすぐ行けばいいのさ!」と教えてくれました。

ああ、ヨカッタ。それを聞いただけで安心ね!

Kumi3

 

気が付いたら道が無かった…

 

私たちは、道をまっすぐに歩き続けました。

613ムシア サンティアゴ巡礼 最終地Muxia ムシア 道 電信柱12後ろ姿

けれど、まっすぐ行ったらいいのか、道なりに行ったらいいのか、さっぱり分からない道が出て来ました。

矢印や標識も見あたりませんでした。

さっき、この道を真っ直ぐって、言ってたよね…。

Chai

613ムシア サンティアゴ巡礼 最終地Muxia ムシア 田舎道12 杉並木

歩き続けると、舗装された道は未舗装の道になっていきました。

あれれ?道が寂しくなってきたわね…

Kumi3

613ムシア サンティアゴ巡礼 最終地Muxia ムシア 草原道 2後ろ姿

なんか、草がボーボーだよ…。

Den

 

613ムシア サンティアゴ巡礼 最終地Muxia 田舎道 行き止まり草12

完全に行き止まり…。

草野原のど真ん中に、たどり着いてしまいました。

仕方ない。この道に入った地点まで戻らないといけないね…。

Kumi3

かなりの距離を、歩いて来ていました。

道を戻ることの虚しさ…。

3人のテンションは、どっと下がりました。

さらに私は、フィステラでお土産をたくさん買ってしまったせいで、いつもよりバックパックがずっしりと重くなっていました。

しかし、いいことも有りました。天気には恵まれていました。

雨にならなくてよかったよね!

Chai


朝のどんよりした暗い空から、晴れて来たのでした。

暑くなり過ぎると、脱水をおこしてしまいそうですが、今日は歩くには最適の気温でした。

大丈夫、時間はたっぷりあるさ!

スペインの夕暮れは、遅いんだもの。

しかし…、28km

今日は手強い…。

3人は言葉にはしないものの、今までのカミーノの経験上、まずい展開になっている…と感じ取っていました。

 

草の穂たね事件ぼっ発!

 

今日の道は、いろんな表情を見せてくれました。

613ムシア サンティアゴ巡礼 最終地Muxia ムシア 道アスファルト景色

しばらく単調な道が続きました。

Denは、道端の草っぱらからひっつき虫(オナモミ)を採っては、私のバックパックに投げつけ、遊びながら歩いていました。

私のバックパックは、知らない間にオナモミがいっぱいくっ付いていました。

一方、私はわたしで、こっそり二人をびっくりさせよう、休憩の時に笑わせようと、たくらんでいました。

613ムシア サンティアゴ巡礼 最終地Muxia コップ12

ChaiDenは、バックパックにフィステラで買った、とても軽いアルミのコップをぶら下げていました。

613ムシア サンティアゴ巡礼 最終地Muxia 田舎道 行き止まり草

私は草の穂たねをしごき、それを二人のコップにこっそりと入れながら歩きました。

私は、時々お腹が痛むものの、

今日の度重なる迷子、道の不安を『笑い』に置き換え、ムードを変えよう!と思ったのでした。

そして事件は起こりました。

さあ、ここらで休憩にしようか。

Kumi3

Denが相変わらず私の背中にひっつき虫、オナモミを付けているので、Chaiが注意しました。

Den、やめなよ!

Chai

でへへへへ〜

Den

あら!Denやったな~!でもね、うふふ!二人ともコップを見てごらん!ジャジャーン!

Kumi3


ウケると思い、自信満々で白状しました。

ChaiDenのコップの中に、草の穂たねが乾杯出来るぐらい、貯まっていました。

あ~っ!いつの間に?ギャハハ〜!

Den

Denは、ゲラゲラと笑い出しました。

私は、Chai笑ってくれるかな〜と思いました。

ところが…

なにっ?食べ物を入れるものに何するのっ!草のにおいが付くじゃない‼︎

Chai

と、モーレツに怒りました。

すぐさま、アルミのコップをバックパックから外し、道端に放り投げました。

私は、あまりの剣幕にポカン…としてしまいました。

目を丸くしたDenが、ササっ!コップを拾いに走りました。

私はすぐに

ごめんなさい…。

Kumi3

と謝りました。

そのあと3人は無言になり、ひたすら歩き続けました。

613ムシア サンティアゴ巡礼 最終地Muxia 田舎道 羊群れ1

「どうしたの~? ンメーエら?

 

613ムシア サンティアゴ巡礼 最終地Muxia 田舎道 羊群れ

「なんか暗いメエエエ~!

これ見て笑ってよ、せ~のっ!

お尻~!!

613ムシア サンティアゴ巡礼 最終地Muxia 田舎道 羊群れ後ろ向き

え~なに?あのお尻たち!

普段なら、3人で大笑いするのですが…

今は、誰も言葉を発しませんでした。

 

プラス・ユーモアのある人生

 

そんなに怒ることだろうか…。

歩きながら考えてしまいました。

私は、Denにひっつき虫やドロボウ草を付けられても、どうってことないのでした。自然の中を歩いているその中での、自然のモノだから。

あ~、やられた〜、コラ~!

と、笑って怒るポーズをするぐらいでした。

それが飴やガムや毛虫を付けられたのなら、猛烈に怒るだろうけれど。

Chaiは、カミーノに来る前よりも断然ユーモアのセンスが広がったナと感じていました。

カミーノ でたくさんの人々と出会い、そのやり取りの中で、たくさんの笑うシーンを見て来ました。

Chaiってこんなに笑うんだっけ?

というぐらい、よく笑っていました。

そして、よく食べ、よく寝て、よく歩きました。

それで、これぐらいのことヤダ〜っ!」と一緒に笑ってくれるものと思い込んでいました。

それが外れた時のバツの悪さ…。

迷子で落ち込んだみんなの気持ちを楽しくしようと、下痢っぱらを押してまで頑張ったのですが、逆に怒らせ、雰囲気を悪くしてしまったとは…。

自分のアホさ加減に力を失い、ひどく落ちこみました。

でも、でもさ…。

Kumi3

私はユーモアの感受性の幅が広いと、人生がより楽しく広がると強く思うのでした。

そういえばあの時、サリアで別れた巡礼仲間が教えてくれた言葉。

人に必要なものは…

①愛すること  

②尊敬すること  

③働くこと  

④歩くこと

この4つだよ。

そう言ってくれたアラン先生。

そこに私は…

プラス⑤ユーモアでしょ!

と、付け足したのでした。

しかし…

思えばChaiも、出発が遅れ、度重なる迷子で道の不安を感じ、さらに疲れも出て気持ちに余裕が無くなっていたのでしょう。

増して、私とDenの二人して

危機感がないの?そんなことしている場合じゃないでしょ!

Chai

と、言いたかったのかもしれません。

 

カミーノは物事に寛容になるレッスン

 

けれど、その時の私は

何か掴みかけたものが遠くなっていくような気持ちになっていました。

今日までコントロールのできない自然の中で、果てしない距離を、たくさんのケンカと仲直りをしながら、カミーノを歩き続けてきました

そこでChaiは

あらゆる物事に対し、寛容に変化したナと感じていました。

2ヶ月、900kmの道のりを歩いたのは、寛容になるためのレッスンだったと言っても過言ではない!と思いました。

このあと日本に帰ってから、生活、学校、部活、バイト、仕事など、生きていくうえで沢山の出会いや物事を経験していくでしょう。

寛容な心があれば、たくさんの困難なシーンに直面しても、生きていきやすくなる。自分自身を守る助けになる…と思いました。

それがこの出来事で

「錯覚だったかのかな…。」

そう思えてきて、歩きながら涙がにじんできました。

 

613ムシア サンティアゴ巡礼 最終地Muxia 田舎道 松ぼっくり

ああ、松ぼっくり…か

家の近くの神社を、思い出しました。

 

犬の死骸が示す心の声を聞く

 

それから、再び道に迷いました。

弱った心と身体に、次い々とやっかいな難題が降りかかるようでした

613ムシア サンティアゴ巡礼 最終地Muxia ムシア 舗装道 右柵12

3人はバラバラの気持ちで、別れ道に立ち尽くしました。

道標がなく、どちらに行けばいいのか見当も付きませんでした。

今までの巡礼路なら、このような交差する道に、必ず黄色い矢印が描いてあり、行き先を示していました。

それは、建物や、柱、道の上、縁石など、よく探せば必ず見つかるのでした。

しかし、ここでは表示がどこにも見つからないのでした。

どうしようか…。

Den

黄色い矢印がないね。どっちにする?

Chai

困ったわ。どっちでもいいなら、右に行ってみようか。ガイドブックには、とにかく右のほうへ、と書いてあったからね。

Kumi3

私は、涙目が見つからないようにしながら答えました。

3人は、確信のないまま右の道を歩き出しました。

5分ほど歩くと

うわっ!なに?ひっ…。

Den

っ!イヌ…?どうしたんだろう?

Chai

右の道の端に、犬の死骸がありました。腐敗していました。

ひい~っ戻ろう!! きっとこっちの道じゃないのよ…。

Kumi3

うん…、そうだね。この道は違うって、示してるんだ…。

Chai

私たちはその場で、手を合わせ合掌をしました。

それからUターンをして、歩き出しました。

いま見た犬の死骸が怖ろしくて、怖ろしくて、逃げるように歩きました。

道の交差に出て、もう一つの道を歩き直しました。

そして、その道は結果的に合っていたのでした。

感じた気持ち、カンを頼りに歩くことは、とても大切なのでした。

しばらく、黙々と歩き続けました。

私は、さっきの草の穂たねコップ事件、さらに犬の死骸の恐ろしさも加わり、どこまでも気持ちが落ち込んでしまいました。

その落ち込みと比例し、どんどん体調が悪化していきました。

お腹の状態は、シクシクと痛みが増していました。

ああ~、お腹が痛い、イタタタ…。でも、でも…。Chaiに言っておかなくては…。

Kumi3

私は、30mぐらい先を行く速足のChai に、全身の力をふり絞り、お腹を押さえ斜めになりながら、小走りに追いつきました。そして

ごく親しい間柄だから、冗談が通じると思ってやったのよ。皆んなを楽しくしようと思ってやったのよ。意地悪じゃないのよ~。

Kumi3

それだけ言うと、私はフェードアウトするようにChaiから遅れていきました。

Chai無言でした。

私を一べつすることもなく、歩き続けました。

無視?

ガクッ…、ドサッ!

私の心の中で、何かがぶっ倒れました。

 

仲直りを断る私にバチ

 

私は、いま追いついた時に渾身のパワーを出したので、もう、ヨロヨロになっていました。眉間にしわが寄り、あごが上がっていました。

613ムシア サンティアゴ巡礼 最終地Muxia ムシア 田舎道1 杉並木一本道

私は置いて行かれないように、歩くので精一杯でした。

ハアハア、ヒイヒイ…。

Kumi3

613ムシア サンティアゴ巡礼 最終地Muxia 田舎道 菜の花

畑の奥に、お花畑が見えました。金色に輝き美しくとも、今は気にかけていられませんでした。

613ムシア サンティアゴ巡礼 最終地Muxia ムシア 杉並木景色

山道が続きました。

道はでこぼこ、水たまりや石がごろごろしていました。

少しでも距離を稼ぎたいというのに、あいかわらず私のトイレ休憩もひんぱんでした。

便は水様状態になり、完全にお腹がぶっ壊れていました。

613ムシア サンティアゴ巡礼 最終地Muxia 3左向き 草地の山

ハアハア、ハアハア...。

身体に力が、入りませんでした。

歩くんだ歩くんだ…。とにかく歩けばいつか着く…。

Kumi3

私は、ChaiとDenに遅れないようにと必死でした。

613ムシア サンティアゴ巡礼 最終地Muxia 馬草原 12

馬が草原をギャロップしていました。心配そうにこちらを見ていました。

 

先を行くChaiが、歩みを遅め私と肩を並べました。

そして、私が手に持ったペットボトルの水を指し

水、持とうか?

Chai

と声を掛けてきました。

そこで私は…

いい!

Kumi3

と、拒否をしてしまいました。

その時の私は心身ともに余裕が無く、さらに裏切られた感にかられていました。

けれど冷静に考えてみれば、

これは仲直りをしようとして、Chaiが勇気を出して掛けてくれた、貴重な一言 でした。

そして、この私の仕業を

カミーノは見逃さないのでした。

断ったそのとたん、私は道の凸凹に蹴つまずき、すっ転んでしまいました。

ベッタ~ン!

うぎゃあっ!

Kumi3

前方に全身を投げ出しました。

きっとそれは

「素直に助けてもらいなさい!」

というカミーノからのメッセージが、私に向けて投げつけられたのでした。

転んだ私をChaiとDenが助け起こし、泥を払ってくれました。ケガはありませんでした。

うう~、Chai ありがとう。ペットボトルのお水を持ってくれるの? 助かるわ…。

Kumi3

 

車で通り過ぎていくおじさんが、声を掛けてくれました。

「ムシアまで行くのかい?あと10㎞ぐらいあるよ。」と言いました。

え~っ!まだそんなにあるの?もう5時すぎてるのに~ッ?

Den

613ムシア サンティアゴ巡礼 最終地Muxia 田舎道 ニワトリ

コケ~!遠いぞ、気の毒だケッ~!

 

ムシアまでの悪路、水浸しの道

 

途中、道が浸水している所に出ました。

先に着いたものの、渡るのを躊躇している老夫婦が居ました。

「あんたがた、どうぞ先に行っておくれ。」と言いました。

どれだけ深いのか、私たちの渡る様子を見てから考えたいようでした。

そうですか。では、お先に行きますね。

Kumi3

いま、お腹が痛いなんて言っていられないのでした。

やはり、ここは私が一番に渡らないといけません。

水の深さはどのくらいなのか?

さらに…、ワニがいるのか、ピラニアがいるのか、はたまたヒルが出るのか、確認しておかないといけないのでした。

不思議なことに、この時はあんなに痛かったお腹のことを忘れていました。

ズボンを足の付け根の近くまでまくり上げ、山靴はリュックに縛りました。サンダルに履き替え、水の中に足を浸していきました。

うわ、冷たいっ!おっとと!コケで滑るわ!気をつけて!!

Kumi3

ChaiとDenに声を掛けました。

613ムシア サンティアゴ巡礼 最終地Muxia ムシア 水没道 2足

オッケー!これ道?川でしょ!

Den

613ムシア サンティアゴ巡礼 最終地Muxia ムシア 水没道 12

水が澄んでいて、リズムのある流れがありました。魚が泳いでいそうでした。

Chaiちゃん、最後ちょっと深いよ!

Den

613ムシア サンティアゴ巡礼 最終地Muxia ムシア 水没道 1深い

オッケー。わ!ほんとだっ。

Chai

613ムシア サンティアゴ巡礼 最終地Muxia ムシア 水没道 12向かい

よかった。転ばないで渡れたネ!

無事に川を渡り終えると、自然と3人の気持ちは打ち解けていました。

 

613ムシア サンティアゴ巡礼 最終地Muxia 川道越え 老夫婦

老夫婦は、私たちの渡る様子を見て、水の深さが分かりました。奥さんのほうは、ズボンを脱いでトライするようでした。

 

 

激しい腹痛に母ダウン!

 

 

613ムシア サンティアゴ巡礼 最終地Muxia ムシア 田舎道1 右石垣

川のような道を渡ったあと、田舎道が続きました。

 

613ムシア サンティアゴ巡礼 最終地Muxia ムシア 草はら田舎道12 

私は水没の道を、

3人無事に渡らなければ!

荷物を落とさないようにしなければ!

という緊張感でアドレナリンが噴出していたのでしょう。

腹痛は棚上げされていました。

しかし、しばらく歩き出すと、再び腹痛が追いかけてきました。それは、預けた分を返すように、痛みは激しさを増していました。

私は、道端の木の陰を見つけると

う〜ん、5分間だけ寝かせておくれ…。

Kumi3

ChaiDenにそう言うと、バックパックを降ろし、それを枕にしドサッと道に転げました。泥や草の地面でしたが、構っていられませんでした。

とにかく、横になりたい!

私はこんなこと、巡礼をしていて初めてでした。

腕時計の秒針を見ながらウトウトしていました。

すると、物凄い風の音がしました。いや雨の音?スコール?波の音かな?

ゴゴゴゴゴ~!と大爆音が響いていました。

私の頭の中の音?

Kumi3

あまりの爆音に、どこにいるのか、何をしているのかも分からなくなりました。

ここはトンネルの中なの?

Kumi3

轟音の中で、

このまま…、

ずっと眠ってしまえたら楽なのに…。

フッ!と気を失いました。

一瞬で、すごく深い眠りに入ってしまったようでした。

そして…

あっ!と飛び上がるように目が覚めました。

どれだけ寝てしまったのだろう?

Kumi3

と、あわてて時計の針を見ました。すると、1分しか過ぎていませんでした。

ずいぶんトリップしたように、思ったのだけれど。

ああ、行かなくては…。

起きて歩かなくては…。

ごめんね。5分をちょっと過ぎちゃったね…。

Kumi3

ううん、大丈夫だよ。

Chai

私は、立ち上がると少しお腹が楽になっていました。

再び、道を歩き出しました。

 

あ〜、やっぱり痛い…。

Kumi3

前かがみになり、一歩一歩、足をを意識的に前に出さないと進めませんでした。もう、お腹は全て下ってしまい、カラッポでした。

ただ立って、歩くだけでもしんどいというのに、バックパックを背負わなければいけないのでした。

ロボットのような歩き方になっていました。

ウウーン、オナカがイタイ、イタイヨウ〜

Kumi3

あ~ん、大人も泣いていいですか?

 

いつもピンチに助っ人が現れる

 

 

613ムシア サンティアゴ巡礼 最終地Muxia ムシア 田舎道1後ろ 2先 杉並木一本道

Chaiが再び歩く速度をゆるめ、私の近くになりました。

 

613ムシア サンティアゴ巡礼 最終地Muxia ムシア 田舎道1横 2杉並木一本道

私の体調を察し、考えたようでした。

ママ、ショルダーバッグ貸して。わたし持つよ。

Chai

と、オレンジ色のバッグを渡すよう声を掛けてくれました。

それはカメラや充電器、スマートフォン(ほぼ使わないけれど)日焼け止め、眼鏡、スプーン、ナイフなどが入っており、小さい割には肩に食い込む重さでした。

それが無いだけで、随分と助かるのでした。

さらにDenもそばに来ました。

Denも食料の青い袋を持つよ。

Den

と言ってくれました。

それは、パン、チーズ、お菓子、ナッツ、リンゴなどが入っていました。それも、ちょっとした重さがありました。

…、二人とも、本当にありがとう~。

Kumi3

私は、遠慮や、やせ我慢など出来る状態ではありませんでした。

荷物が減っただけでも、ずいぶんと歩きが楽になりました。

さらに、驚いたことに…

613ムシア サンティアゴ巡礼 最終地Muxia ムシア 田舎道13手

Chaiは私の手を取り、引きながら歩き出しました。

ああ~すごく助かる、ありがとう!

Kumi3

私は、やっと立っている状態で、フラフラしていました。

いつでも私のほうが気力も体力もある!と思っていました。

しかし、今日はどれもダメでした。

手を引かれている途中、ふと死ぬ前にChaiに言っておきたいと思いました。

(なんて大袈裟な!しかし激しい腹痛と、重いバックパックを背負い、あと3時間は歩かないといけないという絶望感の真っ只中でした。)

Chai、そのやさしさがあれば充分だよ。この先どこでもやっていける。でも、何かの拍子で忘れてしまったら、またそこから。そこから、やさしさを始めていけばいいのよ…。いつだってね…。ハアハア…、イテテ…。

Kumi3


それから、ずっと二人手を繋いで歩きました。

何年ぶりだろう…、こんなこと。

私は、苦しさで顔がゆがんでいました。

613ムシア サンティアゴ巡礼 最終地Muxia 田舎道32ばてる

Denも心配し、Chaiと交代し私の手を取り、引きながら歩いてくれました。

私は、私の助けになりたいというChaiとDenの気持ちを有難く受け取りました。

それは、涙が出るほどありがたい申し出でした。

613ムシア サンティアゴ巡礼 最終地Muxia 田舎道1 雲

ママ、大丈夫?

613ムシア サンティアゴ巡礼 最終地Muxia 田舎道3 雲

ハアハア、がんばるね…。

今や私の夢と希望は、

ベッドに横になること!でした。

 

杖を持つのすら重い

 

実のところ、Denも相当に疲れていました。

613ムシア サンティアゴ巡礼 最終地Muxia 田舎道2 袋

自分の荷物だけでも重く、いっぱいいっぱいだったのでした…。

それなのに…、

私の青い食料バッグまで頑張って持って歩くと申し出ていたのでした。

613ムシア サンティアゴ巡礼 最終地Muxia 田舎道道標2

道の途中…

もう、杖が重くて持てないんだ…。

Den

と、サン・ジャン・ピエ・ド・ポーから歩いてきた杖と、途中で拾った杖、2本を道標の前に置いて来てしまいました。

 

613ムシア サンティアゴ巡礼 最終地Muxia 田舎道12

あ、あれムシアの町じゃない?Den、もう少しだよ!

Chai

613ムシア サンティアゴ巡礼 最終地Muxia 田舎道12ばてる

そうじゃないみたい。まだ遠いよ!疲れたよ~。

Den

 

613ムシア サンティアゴ巡礼 最終地Muxia3 田舎道倒れ

それからDen

ドサッ!

ううっ、もう無理…。

Den

と、その場に倒れ込みました。

朝の8に出発し、今夕方の7時でした。11時間歩いていました。

Chaiはその場に立ち尽くし、しばらく考え込んでいました。

 

辛くて嬉しい特別なカミーノの日

 

Denの持ってる食料バッグ貸して。持ってあげる。

Chai

ありがとう。Denね、へとへとなんだ…。

Den

613ムシア サンティアゴ巡礼 最終地Muxia1 後ろ草地の山

Denを先頭にし、歩くペースを合わせました。

 

613ムシア サンティアゴ巡礼 最終地Muxia12 左向き草地の山

木がなくなり、草の丘がいくつも見えて来ました。

 

613ムシア サンティアゴ巡礼 最終地Muxia12 後ろ姿草地の山

行き先の見えない砂漠のような丘に囲まれ、あても無い気持ちにさせられました。

ああ…、あとどれだけ歩けばいいのだろう〜。

Kumi3

613ムシア サンティアゴ巡礼 最終地Muxia 石矢印 草地の山

あっ!矢印があったよ!!

Den

幸いなことに、黄色い矢印がひとつ見つかりました。ゴロンとした石に、黄色のスプレーペンキでやっと読みとれる、かなり雑な矢印でした。けれど、有るだけでも本当に有難いのでした!

ヨカッタ~!

それを見ただけで、三人の顔はパッ!と明るくなりました。

道は、間違っていないね!あとは、だだ、歩くだけだね!

Chai

今日、私たちをけん引しているのはChaiでした。そして、Chai自身も相当に疲れているはずでした。

私のショルダーバッグと食料袋を足すと2㎏近く有りました。今まで、靴下一足ですら重い…と減らしながら歩いて来た私たちでした。

同じ距離を歩き、同じ様に疲れている小柄な15歳のChaiが、これほどの体力と精神力を発揮して歩いているとは…。

ああ…、すごいことだわ…。

Kumi3

Chaiの後ろ姿に目を見張りました。

どれだけ頑張っているかが胸に響いてきました。

今日、私は全面的に助けられる存在として歩くことになりました。

今までにない 特別なカミーノの一日が起きていました。

ハアハア、お腹がイタイ~、荷物が重い、ああ~苦しい…。イタタタ、けれど…なんか、なんかね…思うの。

Kumi3

これほど 辛いカミーノってある?

そして…

613ムシア サンティアゴ巡礼 最終地Muxia 3左向き 田舎道

これほど 嬉しいカミーノってある?

Chai、荷物をずっと持ってくれてありがとう。まだお腹が痛くて、私が持つよ、とは言えないわ…。ごめんね。けれど、荷物が減って、歩くことが出来てる。Chaiが助けてくれなかったら、今日は道の途中で野たれ死んでいたかもしれないわ!

Kumi3

613ムシア サンティアゴ巡礼 最終地Muxia 牛 草地の山

牛番のおじさんと、のんきな牛が視界に広がりました。

 

『笑い』の力!『あるあるカルタ』

 

黄色い矢印があった…。

この道はもう迷わなくて大丈夫!

極度の疲れと荷物の重さで苦しみながらも、それを受け入れカミーノを歩き続けているChaiとDenの頼もしい姿を見た…。

わたしも、頑張らなくては!

よしっ!今度こそ、皆んなを明るくするんだ。荷物は持てないけど、少しでも疲れを忘れさせる工夫があるはずだわ!

Kumi3

思い付くのは、みんなを楽しくすること!でした。

家の犬のプちゃん、留守番のお姉ちゃん、お父さんの『あるあるカルタ』を作りながら歩きました。

『ひ』

ひゃんひゃんと言うと  座って  両手を振るプちゃん。

『さ』

さつまいもより  さといもが  好きなお姉ちゃん。

『と』

とりのからあげを  毎日  食べたいお父さん。

さっき、道に転げ泣きが入っていたDenは、

『ま』毎日コーラを飲みたいDen!ギャハハ~。

Den

笑いが出て来ました。

すると、今まで疲れてボロボロだったことも、忘れてしまったようでした。

水も、チョコレートも、コーラも補充してしないというのに、足取りは回復したように動き出しました。

613ムシア サンティアゴ巡礼 最終地Muxia3 田舎道

あ、この石、ちょっと透き通ってる!

Den

歩きながら、石を拾い集める余裕が出て来ました。

『笑い』という力で、歩く集中力が戻ってきたのでした。

 

ムシアの海が見えた!

 

草の丘を登りました。

そして下りになった時…

613ムシア サンティアゴ巡礼 最終地Muxia 海景色

わあ、海!

Chai

 

613ムシア サンティアゴ巡礼 最終地Muxia 海2シルエット 2シルエット

ここまで遠かったナ…。

Den

613ムシア サンティアゴ巡礼 最終地Muxia12 青空ガードレール

ついにムシアに来たんだよ!

 

613ムシア サンティアゴ巡礼 最終地Muxia12 青空走る

イヤッホー!! 

思わず走り出しました。

613ムシア サンティアゴ巡礼 最終地Muxia 田舎道123影

ムシアの道に三つの影を焼きつけろ!

 

613ムシア サンティアゴ巡礼 最終地Muxia くも

雲は、いつでも私たちをのぞきに来ました。

やったじゃん、あっははは!

613ムシア サンティアゴ巡礼 最終地Muxia12 青空正面

ママ、もうすぐだよ!

613ムシア サンティアゴ巡礼 最終地Muxia23 後ろ姿 標識

ムシアの看板があったね!よかった~!!

Kumi3

 

613ムシア サンティアゴ巡礼 最終地Muxia 馬12

Chai、重たいでしょ。大丈夫?

Kumi3

613ムシア サンティアゴ巡礼 最終地Muxia 田舎道1 正面

うん、大丈夫だよ!ママ、頑張れ!

Chai

613ムシア サンティアゴ巡礼 最終地Muxia 馬シルエット

海岸をのぞむ土手に、一頭の馬がいました。

「Chai、お前さんも疲れてるんだろ。たくさん荷物を持って頑張ったね。ヒヒーン!!」

 

あんたたちに電話だよ!

 

 

613ムシア サンティアゴ巡礼 最終地Muxia 犬おじいちゃん

束ねた枝木を運ぶおじいさんを、犬が待っていました。

 

ムシアに入ってから、表示が見られるようになりました。それに沿って歩き続けました。

613ムシア サンティアゴ巡礼 最終地Muxia ホタテマーク

小高い丘の上に、アルベルゲがありました。たどり着いた時は21を過ぎていました。

カミーノ 最後の日、13時間、道をさまよい歩いたのでした。

スムーズに来れば28㎞でした。

しかし、しょっぱなに3㎞ほど行って戻り(6㎞)、次に草っぱらの行き止まりまで2、3㎞ほど行って戻り(約5㎞)、そして二股の道でも選び違え、引き返していたのでした。

少なく見積もってもプラス10㎞…。

実質、40㎞近く歩いていたのでした。

613ムシア サンティアゴ巡礼 最終地Muxia 町海2シルエット

アルベルゲの建物の前から、ムシアの町が見下ろせました。

ああ~、ベッドで横になれる!!

Kumi3

玄関に入り、オスピタレロがクレデンシャルにスタンプを押してくれました。

丁度その時、アルベルゲの電話が鳴りました。オスピタレロは手続きを中断し、電話に出ました。私たちは、カウンターの前で待っていました。

すると、オスピタレロは

Japanese?

Mom and two children? I see, I see!

(日本人?ママと子ども二人?わかった、わかった!)

Your phone!

(あんたに電話だ!)

えっ?私に⁈

Kumi3

オスピタレロは、電話に出るようにと、私に受話器を渡してくれました。

それは、まるで誰かがここに着いた私たちを見計らい、電話をかけたようなタイミングでした。

それは、ピノからでした。

「朝起きたら11時だったんすよ、出遅れてしまったのでムシア行きはパスします。」

OK!

Denも代わる!

Den

Denは嬉しそうに話していました。

「あさって、サンティアゴの神学校アルベルゲで会おう!それからホセの家に行こう!」と約束をして、電話を切りました。

すご~い!!、ナイスタイミングだね!

Chai

 

ムシアの巡礼証明書をもらう

 

ここムシアでも、巡礼証明書を発行してもらえるということでした。

わあ!嬉しいな!!

Chai

ところがオスピタレロは、名前のところが白紙の巡礼証明書を3人に渡し

名前を自分で書け!」と言うのでした。

え~!それはなんとも、淋しいわ~。

Kumi3

とにかく、巡礼証明書を受け取り、ベッドに荷物を運びました。

 

門限まで45分、バルでディナー

 

私は、もうクタクタでした。

ChaiとDenはクタクタの腹ペコでした。

バルを探そう!今日はご馳走を食べなくちゃね。

Kumi3

私は、どうしてもChaiとDenに美味しいものを食べさせてやりたいと思いました。

貴重品だけ持ち、バルへ急ぎました。

アルベルゲの門限は10でした。それまで45しかありませんでした。

町へ下って行き、一番最初に見つけたバルへ駆け込みました。

とにかく、すぐにできる料理をお願いします!あと、ビールとコーラ2つ!

Kumi3

飲み物がすぐに出て来ました。

ああーい!

613ムシア サンティアゴ巡礼 最終地Muxia バル料理ビール

Chaiが私に、ビールを注いでくれました。

今日は最高に頑張ったね~。

Den

ついに、カミーノが終わったんだね…。

Chai

よりによって、今日が一番長い距離で、一番体調が悪いだなんて。ChaiDen、助けてくれて本当にありがとう!

Kumi3

サル〜、乾杯!

すぐに、肉野菜の油炒めと、イカフライ、ポテトフライが出てきました。

熱々でおいしい!のですが、

私の壊れたお腹に揚げ物は、かなりキツイのでした。食べないほうがいいのですが、嬉しくて、今日の晩餐を共に味わうのだ~!と思いました。

イタタ〜、ああ、美味しい!お腹がイタイ、うまっイタタ…。

Kumi3

私はひと口食べて十分でした。ビールもほとんど残してしまいました。

613ムシア サンティアゴ巡礼 最終地Muxia バル料理

ChaiDenは、わき目も振らずにパクパクと食べ始めました。

うまいっ、うま~い!

ああ~完食!

お腹いっぱいになりました。

時計を見計い、バルを出ました。

帰りは、アルベルゲまで坂道を登って行くのでした。

私はもう、なにもかも出し切ったダシガラのようになっていました。

やはり、お腹はキシキシと痛みました。ChaiとDenに両手を引っ張ってもらい、四苦八苦しながら坂を上りアルベルゲへと戻りました。

なんとか門限に間に合いました。

613ムシア サンティアゴ巡礼 最終地Muxia アルベルゲベッド

Chaiが寝袋を出し、ベッドメーキングをしてくれました。

私はシャワーも浴びず、着換えもせず、そのままドサッ!と倒れ込み

ChaiDenを頼むね…。

Kumi3

うん!分かった!! ママ、おやすみなさい。

Chai

今日は、最後の最後までChaiが頼りでした。

私は、そのまま朝まで気を失ったように眠り続けました。

 

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Kumi3
「学校に行けないなら、旅に出てみようよ!」と不登校をきっかけに15歳次女と弟10歳を連れ、サンティアゴ巡礼・カミーノへ行くことにしました。930kmを60日間かけて歩きました。もちろんカミーノは初めてです。英語もろくに出来ない私は、一体どんな旅になるのか見当もつきませんでした。そんな体で子どもたちを、異国のスペインに連れ出してしまうのですから、本当にチャレンジャーでした(-_-;)。けれど、何かを変えてみたかったのでした。
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